先日、青色発光ダイオードの特許委譲に対する対価を巡って争われた日亜化学工業と職務発明者の中村修二さんが和解した。
ニュースでの中村さんの記者会見の様子をご覧になった方は多いであろう。
そこで、成果報酬について、考えてみたい。
どこのテレビでも言っていなかったことだが、成果報酬について、どうやら世間的にも誤解があるようだ。あるテレビの街角アンケートの結果では、会社貢献した割合に対し、和解金は安いと答える人が多かった。ここでは、その金額が安いかどうかを議論するつもりはない。成果報酬とは何なのか、ビジネスの観点から考えたい。そう、あくまでもビジネスの観点から。
このコラムを読んでいる方は、経営者か、もしくは将来経営者を目指している人が大半である。であれば、成果に関する考え方をしっかり抑えてほしい。そもそも、成果主義とは、これまで、潜在的な保有能力を中心に評価する能力主義に変って、顕在化した能力や結果について評価しようという方法である。
ここで大切なことは、その顕在化した能力や結果とは、単純に結果主義と呼ばれる金額で換算できるものではないということである。恐らく、この程度は理解されているであろう。問題なのは、結果ではなく、事前のコミットである。結果が出てから、どうのこうの言うのではなく、事前のコミットがあったか否かである。
経営者の見方で言うと、コミットというのは、リターン(結果)に対するリスクだ。ビジネスでは、ハイリスク、ハイリターンである。
リスクを持ったほうがリターンが多いのが当然である。リスクを持たないものは、結果が顕在化してもリターンは少ない。新人のプロ野球選手がホームランを30本打ったとしたら、翌年の年俸は前年の何倍にもなるだろう。しかし、年俸1千万円で入団した人が、1年で1億円プレーヤーになることはない。それは、「30本売ったら十倍の1億円下さい」というコミットをしていないからである。
逆に言えば、「30本打てなかったら年棒は十分の一の100万円で良いです」というリスクを背負っていないからである。
経営者の成果報酬というのも、リスクとリターンの関係である。資本主義である以上、投資したものや、創業者というのはリスクが大きい、だからリターンも大きくなる。どんなにスタープレイヤーになってホームランを打っても、その球団の売上が20億円から100億円に5倍になったとしても、プレイヤーが差額の80億円をもらうことはできない。
経営者である以上、大きなリスク(又は自らへのコミット)を持たなければ、顕在化した結果だけでリターンを求めるのはあるまじきだ。もし、自らがリターンのみを要求するのであれば、リスクをとらない社員を生むことになる。成果主義を自ら誤って使ってはならない。そして、正しい成果主義を社員に教え込まなければ、どこかのメーカのように低い目標を立てて、目標を簡単にクリアするような社員が横行し、そのうち企業は衰退する。IT業界のそのメーカは、まさにそのような結果を招いたではないか。
その会社を教訓にして言えば、実は、この成果主義、一番理解させるのが難しい相手は、社員よりも取締役クラスの役員である。社員に毛が生えた程度の給料と同じような形で報酬をもらっている役員は、ほとんどリスクを背負っていない。役員である以上、結果がでなかったら報酬を半分にするとか、自らコミットして辞するべきだ。(実は私はそうして辞めた)
切腹する覚悟がないような役員から教育が必要だ。(場合によっては社長もだ)
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投稿者 :堀田信弘: 2005年1月21日 19:40