東京地裁は、ソフトウエアの特許権をめぐり、松下電器産業がジャストシステムを相手に、ワープロソフト「一太郎」、グラフィックソフト「花子」の製造・販売差し止めと製品の廃棄を求めた訴訟で、特許権侵害を認め、両製品の製造・販売禁止と在庫の廃棄を命じる判決を言い渡した。特許権侵害を理由に、市販ソフトの販売を禁じた判決は異例だ。
ジャストシステムは、 浮川和宣社長が妻の初子(代表取締役専務)と共に1981年に徳島市に設立した。浮川社長は、 (社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の副理事長、内閣府の総合科学技術会議知的財産戦略専門調査会委員にもなっている。「一太郎」はつくば万博が開かれた85年に発売されている。
前期(2004.3月期)のジャストシステムの売上は、約126億円。97年3月期の311億円をピークに減少し、今期予想では約15億円の赤字になる見通し。「一太郎」「花子」は、売上の約半分を占め、経常利益の約4割になるという。現在のシェアは、約3%と低いが、これまで1800万本もの販売実績があり、中でも学校や官公庁などでは根強い人気がある。ちなみに裁判所も「一太郎」を使用している。
ジャストシステムが好調だった97年頃、マイクロソフトのワードとシェアを二分し、マイクロソフトは、世界中で唯一日本国内のみがワープロソフトでトップになれないと懸命になっていた。その後、マイクロソフトは打倒「一太郎」を掲げ大量の開発要員を投入し、一気にトップに躍り出た。
それにしても、ジャストシステムの貢献は高く評価できる。地方にある小さなソフトハウスでもここまでやれるという存在感を示したことは、業界に夢を与えてくれた。また、一方は、これからの教訓も残してくれた。
ひとつは、日本国内での市場競争では何れ限界が生じ、いち早くグルーバルな市場を意識した展開をしないと、市場力に呑み込まれてしまうということ。
もう一つは、成長時における、ベンチャー特有の専門化、特化からの脱却がいかに難しいかということ。拡大期になってからは、事業戦略と経営戦略は別けて考えるべきである。事業戦略は、できるだけフォーカスし、資源を集中するいわゆるランチェスター戦略をとる。ベンチャー企業の場合、設立時は当然、事業戦略と経営戦略が同一となり、特化した技術を持って一点突破を図ろうとすることが多い。しかし、次第に事業が拡大するにつれて、主軸を補う二本目の柱をしっかり立てる経営戦略が重要となる。
ここで失敗するケースは、単純に事業の多角化を図るケース。二本目の柱と多角化は決してイコールではない。はじめは主軸と相乗効果が生めるような事業を模索し、補完する役目を担わせることが大切である。単純に、点を打つような多角化は、経営資源が分散するだけで、資本力がない限り到底うまく行かない。仮にうまく行ったとしても、将来不採算事業に転落した時の、他の事業に与える影響が大きくなる。
ジャストシステムの場合、どうしてもジャストシステム=一太郎というイメージから脱却できなかった。文献検索システムなどいくつかの柱を模索したが、売上の半分は、次第にシェアが下がっている「一太郎」に依存せざる得なかった。
しかし、携帯電話の登場で、二本目の柱となつつあるATOKのほうは、好調らしい。できるだけ早く、ATOKのシェア拡大が図れればと願うばかりである。ATOKは、前述したように、主軸を補う単なる付属の商品だった。しかも、その付属品を磨けば、主軸にも高影響があり、主軸と切り離した単独販売も可能となる。これがまさに二本目の柱に相応しい。
ジャストシステムは、二本目の柱に力を入れるのが遅すぎた。いや、ピーク時に、既に三本目の柱がないといけなかったのかもしれない。
ドリームクラスターは、屏風(びょうぶ)を意識した経営戦略を持っている。屏風のように、一枚一枚は専門化、特化し、鋭く風を切る。しかし、これがたった一枚の屏風では横からの風に弱い。だから、先を尖らした何枚かの屏風を繋ぎ、横からの風にしのげるようにする。これが、クラスター経営である。決して単純な多角化ではない。何でも屋になるのではない。一枚一枚が補完するように、しかも相乗効果を生み、仮に、一枚が破れても、全体への影響は最大限抑えることができる。しかも、一枚一枚は、その分野のオンリーワンを目指す特化させた強い商品を目指している。
先導を果たしたジャス
トシステムより学ぶところは多い。
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投稿者 :堀田信弘: 2005年2月 1日 01:50