独立することと起業することとは、似て非なるものである。独立というのは、ある器の中で育てられていた者が、自分で器を用意し自立することである。寿司屋で丁稚として修行したものが、一人前になって自分のお店をもつようなことを独立という。
技術のあるSEが、フリーとなって独立するのも同様であり、仕事の中身を継続して生計を立てる場合が多い。それが個人事業主でなく、企業として独立した場合でも同じである。
IT業界に限って言えば、私の知る限り、社長100人中99人は、この独立型のタイプである。組織の中で身動きがとれず、自分のやりたいようにしたいという気持ちで独立した。
私は、このような独立心がある人を応援したいと考えているから、若い人で独立しようとする人たちがもっともっと出てきてくれればと願っている。
そうすることが、何よりも経済の活性化につながる。
一方、起業というのは、字の如く業を起こすことである。独立のように業の内容を継承し、器を変えるのではなく、新たに業を起こすことが起業である。最近の流行では、どちらも混同されて起業家と呼ばれることが多いが、この二つは全く異なるものである。
IT業界で言えば、100人中1人いるかいないかではないだろうか。孫や、三木谷、堀江、熊谷に代表される起業家というのは、何れも前職で同じことをやっていたスピンアウト組ではない。
全く何もないところから、ビジネスモデルを考え、現状よりも将来を見据えた商売を構築してきた人たちである。
起業家と独立した人とのカラーは違う。独立した人は、ベースが既にあるので、ベースの上に柱を立てていこうとする。そのため、常に改革を念頭においた経営が重要になる。しかし、起業の場合には、ベースがないため、改革ではなく創造が全てとなる。常に、何かを生み出す力が必要となる。そのため、経営者の考え方や話し方も必然と違ってくる。
起業家の最大の特徴は、人を引きつける構想力が高い人が多い。これからどうして行きたいのかを説き、その構想に人が集まる。
集まった人たちによって、その構想の具体化を担う組織が出来上がる。一概に、構想力と人格とは比例しない。一見取っ付き難いタイプもいれば、わが道を行くというタイプも多い。つまり、人格や性格、教養などよりも構想力が全てと言って過言でない。
最初に話を切り出す言わば「言いだしっぺ」である。話を受けて反論、逆説、対案を出すのではなく、ゼロからの発想をする人である。陳腐な発想でも最初に言う人と、それを受けてより良いアイデアを出す人とは、根本が違う。
新たに業を起こすことが起業である。起業家とは、何もないところから、業を起こす人だ。
私は、業の内容がどうのこうのに関係なく、たった一人で、業を起こした。反論、逆説、対案を出すのではなく、ゼロからの発想をする、この気持ちは、起業家には必須ではないか。
その発想が物真似であろうとも、私は、最初に言い出し、反論、逆説、対案を出すのではなく、ゼロから生み出すことは重要だと思う。
そういう人は、たとえ起業家でなくても、日本人には極めて少ない割合であろう。
独立する人も起業する人も、どちらであっても人を引きつける能力は極めて重要である。「この人と一緒に仕事をしたい」と思われる人は、90%以上成功するタイプである。では、あなたはどのようにして人を引きつけるタイプか。現実を改革する力か、将来を切り開く力が高いのか。
あなたの周りに集まってくる人たちは、あなたの包容力に集まるのか、それともあなたの夢に期待するのか。あなたは、ゼロベースからものを考えることができるか、それともそれを受けて具現化、立案するほうか。どんな能力で人を引きつけることができるか?
会社でリーダーシップが取れても、子供会やPTAなど地域行事ではリーダーシップの取れない人が多い。このような人でも、会社を作って社長になれば、誰でもリーダーになることはできる。しかし、その組織を引っ張る力があるかは別ものだ。
独立する人の中にこのようなタイプが多い。肩書きによるリーダーであり、人間力によるリーダーシップがない人の組織は繁栄しないものである。
どのような場所、場面であっても、本当にリーダーシップのある人というのは、存在感が違う。何も話さなくても、その人の周りには自然と輪ができる。このような人は、独立しても成功するタイプであろう。こういう人は、周りにブレーンがおり、どんどん組織が拡大されていく。
ブレーンの活用が極めて上手なタイプである。
どちらのタイプであっても、その先の将来は、大きく変わらない。ようはその人の魅力が組織の繁栄を支えるのだから。そのためには、自分がどちらのタイプかを知ることが大切である。
結果、どちらを選んでも間違いではないから、後は人が集まる存在感を身に着ける努力が必要なだけだ。そんなことできるのかと思うなら、独立も起業もしないほうがマシであろう。
孫のように、両方のタイプを合わせ持った人は、極めて少ない。そういう人が偉人家なのだろう。
最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。
毎朝6時に社内朝礼ブログをこちらで公開しています。こちらもご覧頂けたら幸いです。
この内容に共感頂けたらこちらをクリックして下さい。ありがとうございます。
投稿者 :堀田信弘: 2005年2月13日 09:25