「判断」と「決断」の違いを理解しているか?
リーダーは、「判断」と「決断」の違いを十分に理解して、その違いを使い分ける能力が求められる。
頭の回転が速い人ほど、「判断」を早くしなければという妄想がある。一般的に、「答え」を早く出す人のことを、素早い「判断」力があるイメージで捉えているからである。だから、問いかけ、質問に対して、一瞬で「答え」を出す癖がついている人を時々見かける。
そういう人の多数は、「判断」と「決断」の違いを混同して考えていることが多い。
一見、「判断」も「決断」も「答え」を出すという意味では同じである。だから、自信を持った「答え」を素早く返そうというのは、ある意味でリーダの素養をもっていることは間違いない。リーダーの素養がない人は、「判断」であれ「決断」であれ、「答え」を出すのが遅いし、曖昧な「答え」しか出さないようなタイプでは将来はない。
しかし、真のリーダーを目指すのであれば、「判断」と「決断」の違いは、心の底から理解しておかねばならない。
「判断」というは、過去の経験から、メリット・デメリットを考え決定されていることが多い。つまり、経験則ということになる。
数多くの経験を積んでいる人ほど、より正確で的確な「判断」ができるのである。ところが、もし、半ば当てずっぽうな考えで「判断」を早くしている人は、無知なのである。自分の経験不足を勘で「判断」しているということであり、他者から見て、頼りにしがたい存在に思えてしまう。
経験したことであれば、当然素早い「判断」ができるはずなのであるが、そうでないとしたら正しい「判断」はできないのである。だから、もし、「判断」が遅い人、もしくは「判断」が早すぎる人というのは、経験が足りないことを自覚しなけばならない。
一方、「決断」は過去の経験に基づかず、自分の意志により、決定することが多い。つまり、頭で考えたことを「判断」とすれば、「決断」とは、理屈ではなく心で考えたことと言えよう。「決断」とは、散々考えた末に、それ以降の考えを断ち、導かれた答えに対し決心することを意味する。
だから、「判断」と「決断」とは、その後の結果に対して、大きな違いが生じる。「判断」による選択は、これまでの経験から導かれた考えであるため、答えが外れた場合には、後悔することがある。しかし、将来おき得る予測に対して答えを出し、これと決心した「決断」による選択は後悔しないという違いがある。
リーダーが本来やるべきことは、「判断」することではない。それを誤解している人が沢山いる。私は、長たるものの「判断」などいい加減で良いと思っている。正確に言えば、必要ない。「判断」は、現場に任せておけば良いと考えている。
だから、日常的におきる運営上の「判断」は、概ねプラス思考で考えているのであれば、答えはどうでも良いと思っている。従って、「判断」が早いとか遅いとかという概念はそもそもない。
しかし、「決断」は違う。リーダーが行う仕事で最も大切なものが「決断」なのである。これまでの経験から導き出せない事柄に対して、潔い「決断」ができるかということが、真のリーダーとして問われる。逆に言えば、「決断」が行えるのは、リーダー以外いないのである。
そのリーダーが「判断」と「決断」を混同しているようでは、甚だ疑問である。
私の場合で言えば、「決断」とは、「考え抜く」ことである。「考える」ことではない。「考え抜く」というのは、自分が考えられるあやゆる想定を出し尽くすということである。これは、言うが易く、行うのは簡単ではない。
通常は、ものすごく時間を要するのが普通である。時間を要するというのは、「決断」しなければならない期日よりも遥か前、もしくはその事象が起きる前より、日々考えていなくては到底できない。
そうして「考え抜」かれたことに対して、私は、一瞬で答えを出す。つまり、「決断」する。心を決めるのである。周りの部下からすると、突然ふってわいたような答えを出すように思われることがあるようである。
しかし、誤解してほしくないのは、私の「決断」は決して思いつきではない。もちろん、「判断」でもない。前々より練りに練って、考えた末に出した「答え」が、ある日、絶妙のタイミングで披露されるだけなのである。
そのため、「決断」が早いと誤解されることがあるが、決して「決断」が早い訳ではない。
もしろ、私からすれば、「決断」が早く出せるのは、思慮が足りないとしか思えない。「決断」までの過程は実に長いし、険しい、しかし、一旦「答え」が出た後の行動は誰よりも早ければならない。これが「決断」である。
「決断」したことには、後悔しない。小さな「判断」にはこだわらない。これが私の考え方だ。これを混同すると、小さなことにこだわって、大きなことを一瞬で決めてしまういい加減なリーダーとなる。「決断」には、大きなことも小さなこともない。
小さなことでも、これからのことを考えることは「決断」が必要なのである。だから、「決断」したことには、大きさに関係なくこだわる姿勢が必要なのである。
「判断」は誰でもできる。しかし、「決断」は、リーダーしかできない。
正しい「判断」は、経験豊富な人ほどできる。しかし、「決断」は、経験に関係なく、若い人でもできる。
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投稿者 :堀田信弘: 2005年3月11日 07:01