【堀田信弘の今日の語録】 『この会社は、きっと伸びるだろうな。他の会社と違うことができること自体に可能性を秘めているから。』


組織について  「活・喝・勝」


教えることは学ぶこと

二年振りの入社式だった。

私は、これまでも、会社の行事で最も大切なものは、入社式であると言ってきた。入社式というのは、入社する人も、 向える人も共に新鮮な気持ちにさせるものである。

この出会いの瞬間というは、最もその人が輝いている時に思えてならない。目の輝きは、やる気と意気込みを表し、 瞳が少し上を向いている姿は、正に未来を見つめている希望の表れだ。

私は、この行事で、何度も彼らから精を頂いてきた。彼らの漲る志が、私にフンドシを締めなおさせるのである。前途洋洋とした姿は、 私を奮起させ、更なる決意を新たにさせてくれた。

これまで、何百人もの部下と接してきたが、私のいい加減な経験からすると、この入社式の瞳の輝きは、 残念ながらそれ以降見ることができなくなる。経験を積めば積むほど、現実を知り、常識的になる反面、角が無くなり、やがて妥協を知る。 そして、不満を覚え、将来に不安を感じ、臆病となるのが一般的なパターンだ。

私は、過去の入社式では、半分を入社する人のために、残り半分は向える人のためにメッセージを伝えてきた。それは、 朱に交われば朱になるというように、向える側が、彼らの目の輝きを少しづつ消してしまうからである。

だから、新入社員に負けないような緊張感を持ってほしいと、これまでは既存社員に訴え続けてきた。

でも、私の中には、いつも疑問があった。なぜ、あの輝く目を見て、先輩社員は奮起しないのだろうかと。

ドリームクラスターができて初めての入社式で、少しその答えが見えたような気がした。

それは、こんな零細企業に、いつ倒産するかわからないような会社に、私と一緒に仕事をしてくれるという彼らを見て、 感謝の気持ちで一杯になったからだ。それは、初めて自分の子供が生まれた時の感情に似ている。

私と妻は、結婚して5年間子供が出来なかった。その間、妻はとても苦痛な不妊治療に通い、健康な体に毎回注射をするのを見て、 痛々しい思いをした。そんな苦労の末に誕生した長男の姿を見たときは、とても感動的であった。

そして、これから頑張らなくてはと心に誓ったものである。親であれば、誰でもこのような気持ちになることだろう。

入社式もいわば、会社に新しい生命が宿ったようなものである。

ところが、例えはよくないが、親ではなく兄弟だとすると、子供の誕生は、一瞬は嬉しいが、 頑張らなくてはという身に降りかかるような思いにはならないであろう。

私は、過去の入社式で、いつもこの違和感を感じていた。自分にとっては、とても大切な社内行事で、 その立会いができることに喜びを感じ、やる気をもらう願ってもない儀式だと思っていた。ところが、社内を見わたすと、 兄弟が増えたというような少し冷えた眼差しを感じていたからかもしれない。

つまり、社内に親となる意識がなかったのかもしれない。

私は、今年の入社式で、その原因はトップにあると確信した。トップは、何人目の子供であろうと、その子供がどのようになってほしいか、 もしくは、この家はどうなっていくのかの信念を語る必要があるはずである。

ところが、どこの企業の社長の訓話を新聞で読んでも、当たり障りのないことや、例年と代わり映えしない話題など、 そのトップの意気込みが全く見えてこないのが実情である。つまり、入社式という新しい仲間との出会いに対し、 トップが心より歓迎していることがどうも感じないのである。

親になるということは、子に教えなくてはならない。しかし、子に教えることは、これまでの経験を教えるのではない。 その子が最も発揮できる環境を提供したり、アドバイスをしたりすることである。教えるのは、決まった型はない。 同じ子供でも全く違った個性や能力を持っている。だから、型はない。

型がないから、親は色々なことを学ばなくては、とても教えることはできない。そう考えると、 教えることより教わることのほうのが多いのかもしれない。

私は、子供が誕生することによって親が子供から学ぼうとする気持ちこそが、会社の入社式なのではないかと思う。 こういう気持ちになっていれば、あの輝いた目を見て、何も感じないはずはない。感じればこそ、自分自身にもやる気が宿るのだと思う。

これまで、入社式が一年の行事で最も大切にしていたのは、それを感じらるからである。しかし、逆に考えれば、このような気持ちは、 一年に一度しか起きなかったのかもしれない。それは、あの輝きが数ヶ月で消えていってしまうのを見ていたからであろう。

でも、それは、親の責任なのだ。親が輝いていれば、子もきっと輝くはず。常に後輩から学ぶ気持ちがあれば、 教えられることも増えるはずだ。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2005年4月 3日 22:15