米国ウォルマート社の経営理念「サムの3 Basic Beliefs」は、実にシンプルだ。
1. Respect for the Individual (従業員の尊重)
2. Service to Our Customers (顧客に対する奉仕の気持ち)
3. Strive for Excellence (優秀さへの努力)
サムというのは、創始者のサム・ウォルトン氏のことで、サムは従業員を自分の最大のパートナーと考え、彼らをアソシエイツ(仲間)と呼び、一緒に「学んで行こう」という意味がこめられている。
それをより表しているのが、行動理念とも言える「ビジネスを成功させるためのサムのルール」(Sam's Rules for Building a Business)として、同社のホームページに掲載されている。
① 自分の仕事にのめりこもう。その可能性を誰よりも信じよう。
② 全ての社員をパートナーとし、利益を分かち合おう。
③ パートナーのやる気を高める為に全力投球をしよう。
④ できるだけ知らせよう。
⑤ 社員の行うことのすべての事を高く評価しよう。
⑥ 成功すれば喜ぼう。失敗しても、その中にユーモアを見出そう。
⑦ 徹底的に社員や客の話を聴こう。
⑧ 客の期待にこたえよう。
⑨ 競争相手よりも上手に経費をコントロールしよう。
⑩ より上を目指し、他とは違う道を行こう。
この文をよく見ると、いくつかの特徴がある。「しよう」という表現と、全ての文にNOT(否定形)が含まれていない。
「○○してはいけない」という戒律ではなく、「共にしよう」という気持ちなのだ。
サムが片田舎のディスカウントストアーを始めたときの理念は、「すべてはお客が決める」「お客はすべて正しい」であった。 ウォルマートでもこの理念は継承されているが、日本でもこの顧客第一主義というは、理念としては正しいのだが、中々従業員には浸透しないものであった。
そこでサムは、顧客第一主義を進めるのは、経営者だけなく、現場の従業員が最も理解してもらわなければと考え、経営理念のトップに「従業員の尊重」を掲げ、「ビジネスを成功させるためのサムのルール」を設けたのである。
サムが亡くなったあとも、現在でも経営理念とは呼ばず、「サムの3 Basic Beliefs」、「ビジネスを成功させるためのサムのルール」と「サムの」という言葉を残している。
これは、サムが、会社のルールや社員の規則というのではなく、サム自身のルールとして、自分と一緒に守ろうというアソシエイツ意識の表れである。
日本でも、CS(顧客満足度)以上にES(従業員満足度)のほうを考える企業が増えてきている。これは、顧客よりも従業員を優先するというのではなく、従業員のやる気、働き甲斐がなくては、CSの向上は図れないということからである。
企業のたった一人の社員の暴言で、その企業の価値が下がり、顧客が離れる事件も発生した。
松下幸之助も「松下の事業は、人を育てることだ。ついでに電器製品を作っているだけだ」と言っている。
これは、商店などの個人事業経営と組織による会社経営との大きな差だ。商売の基本は、顧客第一主義にあるのは間違いない。
商店のように「お客さまは神様だ」と言えるのは、主が一人で切り盛りしているからだ。ところが、組織では、全員が頭ではわかっていても、実際に行動できるのはほんのわずかなのが実情である。
私は、以前の会社で、電話の受け答えに対し、徹底的に指導したことがあった。私は、以前から社員の教育レベルは、電話の受け答えで判ると思っていたからだ。実際にやってみると、できる部門と出来ない部門がハッキリした。すぐにできる部門は、活気があるまだ新しい組織で、売上が伸びているところだった。できない部門は、本社だった。
なぜ、本社か。それは、私が指導するより上の上司や社長がいるからである。上が進んでできない部門ができるはずがない。
企業の経営理念は、創業者が作ることが多い。その創業者が商売繁盛を直接的に考えれば、その接点である顧客第一主義を掲げ、社訓のような社員向けの規律を設けるだろう。創業者が、商売をどう成功させるかの過程など間接的に考えれば、どうしたら顧客第一主義が進むか掲げるだろう。
私は、これからの企業経営は、人材教育が全てだと思っている。こうして、ブログを発信しているのも、読者にしめるわずかな社員へのメンセージを込めているのである。
最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。
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投稿者 :堀田信弘: 2005年4月13日 06:59