日産のゴーン社長は、社長就任直後から、コストカットの一貫として、取引先の見直しを指示し、
現行より2割以上も仕入れ価格を引き下げる目標を立てた。
その結果、部品調達などの取引先は大幅に減少し、生き残った企業とは、これまで以上の発注量を流すことで、全体のコストを下げることに成功した。
いわゆる集中購買の手法で、この例を参考に、他の業界でも外注コスト削減として取り入れられるようになった。
IT業界でも、大手メーカを中心に、コアパートナー制とやらを掲げ、上位わずか数十社の企業及び関連子会社を経由させる方針を出した。
IT業界は、もともと古くから同様な手法で運営されてきた経緯があり、その結果が階層構造を生む結果となっていた。しかし、業界の発展とあわせ、深刻な人材不足のため、次第にこの手法は緩み、つい最近までは小さな企業でも取引が可能となったいた。
小さな企業は、メーカからの直案件として喜び、実際には下請けには変わらないものの、一種のステータスとして誇りに思っていた。
しかし、これがまた出来なくなろうとしている。
大手メーカだけでなく、中堅SI会社でも、大手のやり方をそのまま取り入れ、同様に外注費の削減を目指してきている。
元請企業は、外注比率を高め、安い外注費で利ざやを稼ごうとしている。だから、外注を使おうとする流れはむしろ強まっている。
ところが、昨今の個人情報の漏洩や不良社員等の問題から、深い階層の外注は使いたくない。だから、元請は、その下請けに対し、社員かその一社下までと指示する。
コアパートナー制を行って、この人材不足の時代に、このようなことが実現できるのだろうか。外注量は増やし、外注先は減らす、2つ下の外注先は使えないということをあちこちの企業が行おうとしている。
さらに、「外注先は減らすけど、おたくが太い外注先となってくれるのなら、新規取引をしないわけではない」という。つまり、小さな企業は排除して、安くて大きな供給ができる企業と取引したいというのだ。
千人規模の会社であれば、500人程度の規模の会社を外注化したいのだ。決して自分より大きなところが外注先になるはずもない。
それなのに、できるだけ安くて大きなところに発注したいというのであれば、同規模のライバル企業に発注すれば良い。
製造業の代表である自動車のゴーンがやったことは、そのままサービス業の人材提供にも当てはまるのだろうか。全ての元凶は、大手メーカの製造業意識からくるものだろう。
IT業界はいつも大手メーカに振り回される。ついこの間まで、「パートナー」と呼んで、対等に付き合おうと言っていたものが、また昔のように平気で「外注」「下請け」と呼ぶようになった。
大手メーカは、自社のリストラがひと段落し、不良債権の人材は一掃された。
つまり残った社員は頭が良くて汗をかかないエリートという訳だ。それが、人種差別的意識を持つ。メーカでは「パートナー」という言葉が死語となり、変わって「アライアンス」という決して「下請け」がなることはできないライバル企業とのタックとなった。
100人程度のある下請け企業では、外注を使うことが困難になってきた。そのため、新人社員を多く採用し、外注比率を下げて、正社員比率を上げようと方向転換しようとしている。
メーカに求められれば仕方ない選択だが、メーカは喜ぶけど、部品と違って人間の原価を下げるのは限界がある。少子高齢化社会を考えると、その選択は死へのカウントダウンを意味する。
だが、メーカを向いている会社にとって、それしか選択の道がないのも事実だ。
IT業界の将来は険しい。
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投稿者 :堀田信弘: 2005年7月 9日 10:19