任天堂ゲーム「東北大学 川島隆太教授 監修の脳を鍛える大人のDSトレーニング」が、脳を若返させるとテレビCMで話題になっている。
川島教授と言えば、脳の"前頭前野"の研究が有名だ。百ます計算(簡単な計算の繰り返し)の成果について、 脳が活性化し、準備運動となって記憶力を高めるという医学的な裏づけをした。
"前頭前野"は、簡単な計算を何度も何度も解いたり、本を声を出して繰り返し繰り返し読んだりすると、血液の流れが良くなり、脳全体が活性化するそうだ。
そう言えば、小学校の頃、誰しも、九九算を声を出して覚えたり、漢字を何度も何度も繰り返し書かされたことだろう。
歴史の年号を丸暗記したり、英単語を暗記したりして、一体これが何に役に立つんだと思っていた。
ところが、川島教授の研究によれば、この丸暗記法は、育ち盛りの子供には大きな意味があったわけだ。
最近、脳の分野以外でも、この量が質をかえるという考え方が生まれてきた。
これまでは教育の分野でも、量よりも質が重要だという考えが主流であった。受験のための代名詞と思われる丸暗記法は、本質を理解させず、大人になっても役に立たないことばかりだという考えである。
確かに一理ある。思えば、あれほど暗記して苦労した歴史の年号は、大人になった今はほとんど覚えていないし、古文や漢文などは、全く理解できなくなっている。
このような考え方は、経営の分野にもある。何でもカンでも売るような姿勢よりも、品物を選んで売ったほうが良いという考えである。
量より質で勝負だというごもっともの考え方である。
しかし、これは、求める結果と、その結果を導くための方法とを一緒に混在して考えているだけなのである。つまり、求める結果は、「量より質」に決まっている。そして、質という結果を求めるためには、「量が質をかえる」という考え方が重要なのである。誰も「質より量」が重要だなんて言っていない。
求めるものは、経営の世界でも「量よりも質」を重視したサービスなのである。それでは、そのサービスの質を高めるために、「量が質をかえる」という考え方を取り入れて見てはどうだろうか?
「量は質をかえる」というのは、"量質転化の法則"と呼ばれ、ある一定量を積み重ねることで、質的な変化を起こす現象を表す。
例えば、紙の上に点を描いた時、何点か描いても点は点に過ぎないが、千、万と点が増えていくと、点が線になったり、模様や図のように変化し、単なる点ではなくなるというものである。
"量質転化の法則"は、川島教授の繰り返し計算と同じで、上達法や、向上法における原則と言える。良くしたければ、上手くなりたければ量をこなすという考え方で、質が変わるまで大量に行うということである。
ところが、普通の人は、質に変わるまでやり続けることができず、量を増やすことを止めてしまうことが多い。
マーケットを考えるときもこの"量質転化の法則"は重要だ。マーケット分析とは、言わばあるデータを集めたデータベースを分析することである。
一つ一つのデータを個々に眺めていると、各データが色々なことを主張しているように読み取れ、一体何を言いたいのか収集付かなくなってしまう。
ところが、このデータをできるだけ多く集めて、いくつかの集団に分類したり、整理すると、データとは別のデータベースという質をかえたものに変化する。
データベースとは、量が質を規定したものと言っていい。量が多く集まれば集まるほど、色々な分類ができ、階層化も、グループ化も可能になる。そして、中心をとったり、平均をとったりして分析すれば、各データがバラバラに主張していたことが、マーケットの声として聞き取ることができる。
これからの経営には、"量質転化の法則"は極めて重要となる。今、CRMという顧客管理が叫ばれているが、これからの商売では、できるだけ多くの見込み客の獲得が重要となる。それは、"量質転化の法則"で、これまでそばにいた既存顧客だけでなく、まだ客になっていない多くの客の声に耳を傾けることが、次の経営の一手が打てるということになるだろう。
弊社のイージョブゴーというサービスでも、会員企業が800社を越え、集まってくる案件や人材の質に変化が生じてきた。これがさらに1,000社を越え、10,000社を越えると、恐らく、IT業界だけの利用でなく、エンドユーザ企業をも利用できる形態に自然に変化するだろう。
量が質をかえる!
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投稿者 :堀田信弘: 2005年8月24日 09:46