私の長男は、養護学校の小学部に通う6年生。生まれた時から知的障害を持つ重度障害Aという認定となっている。 毎日スクールバスで通学する。同じクラスには、5人の友達がおり、先生はクラスに2人。全校生徒約120人に対し、90名の教諭がいる。
日本では、養護学校に在籍する児童は、義務教育全体の約1%に満たない。普通学校に特殊学級などが整備されていることもあって、 イギリスの2%、オランダの5%、ドイツの4%などと比較して少ないほうであるが、若干増加傾向にある。
通常、普通学校の児童は、年間一人あたり60~100万円ほどかかると言われているが、 養護学校の児童は500~1,000万円かかると言われている。
7月13日衆議院・厚生労働委員会で、野党の猛烈な反対にも関わらず強行採決された 「障害者自立支援法案」は、衆議院の解散に伴い廃案となった。
この法律では、増え続ける在宅サービス利用に対し、原則1割の利用者負担が盛り込まれている。 尾辻厚生労働大臣は、「"他の制度との整合性"などを考えると1割負担は言わざるを得ない」 とし、次期国会に再提出する姿勢だ。
「小さな政府」と「大きな政府」のどちらを選択するかと言われれば、ほとんどの人は「小さな政府」と答える。それは、 これまで公共投資などに多額の税金をムダ遣いしてきたものを止めさせるためだ。誰も「大きな政府」など望んでいない。
ではどのような「小さな政府」を目指すのかを議論しても良いのではないだろうか。つまり、全体の支出額を減らすためは、 全体的に減らすのか、それとも不要なところを減らすのか、支出バランスを考える必要があるのでは。
今の政府は、"聖域を設けず"という聞こえの良い表現で、満遍なく減らそうという単純な発想だ。
「小さな政府」の代表はアメリカ。年金もなければ、社会保険もない、金のない人は、例え障害者でもホームレスになるしかない。 深刻な被害を生んだハリケーン・カトリーナは、アメリカのもろさを露呈させた。
尾辻大臣の"他の制度との整合性"とは、老人の介護保険制度のことか。
障害者の場合は、 老人と違って親である介護者の方が先に亡くなるのである。親亡き後も自立して生きなければならない。この法案では、本人に自己負担しろと言っている。 でも、介護者がいなければ生きられない重度の障害者が金を持っているはずなどないのである。これでは、本人が払えないなら家族が払えと言っているのと同じで、 これでは親が死んだ後も心配で死ねないということになる。
この法案のどこが「自立支援」なのか理解できない。
授産施設というものがある。養護学校を卒業した障害者が、社会に出るための訓練の一貫として、軽作業などをする「自立支援」 するための場所だ。業者から名札入れなど簡単にできるもの請け負ったり、農作物を作ったりする。朝から夕方まで働き、 障害者といっても仕事だから給与を貰う。その額は、一ヶ月約1~2万円ほど。
授産施設は、これらの売上だけでは賄え切れないため、国や自治体から補助金をもらっている。このままでは、 補助金もカットされることになる。ということは、一日中働いて、お金をもらうのでなく、 お金を払わなければ授産施設にも通所できないということになるのか。
授産施設や作業所に入れない重度の障害者はもっと酷い。一銭も収入がないのに、国にお金を払わなくてはならない。親がいる間は良いが、 親が死んで兄弟がいない障害者はどうやって生きていけば良いのだろう。
障害をもったことは本人の責任ではない。私の子供は、この法案を理解できるはずもなく、反対の意味すら判らない。「イヤダ」 という言葉を発することができない。でも、「イタイ」という言葉は知っている。
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投稿者 :堀田信弘: 2005年9月 7日 12:20