左脳の民主党マニフェストと、右脳の自民党キャッチフレーズ、結果は、右よりの右脳に軍配が上がった。
インターネット時代は、まさにワン・クリック、秒殺時代を生んだ瞬間だった。
最近では、自分の自社のホームページを見てもらうためにと、SEO(検索エンジンの最適化)対策が流行っている。 キーワードの配置やリンクの数や質などを高め、Googleなどのロボット型検索エンジンで上位に表示させようというものだ。
また、企業では、アドワーズなどのクリック型PPC広告も盛んだ。SEOやPPCをしている人であれば、 如何に表示させる単語が重要か感じているはず。それは、検索エンジンに表示されている単語が、 興味を引く表現になっているかでクリックされるからだ。クリックする人は、1ページに10もの検索結果が表示されているものの中から、 ほんの一瞬で判断する。
つまり、このような取り組みが行われてきたのには、ブログをはじめ大量のホームページが毎日生まれているため、 自分のところにホームページ訪問者を増やすのが大変になってきているからである。
どんなに素晴らしいホームページを作っても、訪れてもらわなければ意味がないということ。
そして、折角クリックしてもらって何とか訪れてもらっても、内容がつまらなかったり、見づらかったりすると、 一瞬のうちに訪問者は逃げてしまう。アクセスログを見れば、訪問者の滞在時間が把握できる。ほとんどのホームページは、 30秒未満の滞在者が多いはず。一見さんと呼ばれる存在なのだ。
訪問者は、ほんの数十秒でその内容を把握する。正確に言うと、内容を読んで把握するというより、一瞬で"感じ取る" といったほうが適切だ。
訪問者は、そこに書いてある文章を理屈で判断しているのではない。数多くのホームページを見慣れている訪問者は、 一瞬のイメージで判断しているのだ。つまり、左脳ではなく右脳で判断しているのである。
このように、インターネット時代の到来は、日常的な右脳的判断を増大させる結果となった。 インターネットをやったことがある人であれば、ほぼ100%の人が一見さんになったはずである。
これは、政治の世界でも言える。
小泉純一郎のワンフレーズ・ポリテイックスは、まさにワン・クリック時代の流れに乗り、 自民党を圧勝に導いた。ここでは、キャッチフレーズでの劇場型政治に対して論ずるつもりはない。 このような時代背景にあったリーダーのプレゼンテーション能力について考察してみることとする。
これからの時代、リーダーにとっては、プレゼンテーション能力が最も重視されるようになるだろう。対部下であれ、対顧客であれ、 その人の持つ個性というのは、会話やそこで発せられる言葉を通じたプレゼンテーション力で表される。
ここで言うプレゼンテーション力というのは、シナリオの作り方や、資料の作り方ではない。説明の仕方とも少し違う。言わば"語り口" である。
アメリカでは、SOT(sound on tape)対策として、"サウンド・バイト" と呼ばれる短くて端的でわかり易い表現を用いることを言う。これは、会見やインタビューを放送する際に、 全体を端的に表す数十秒の見出し音声が、その後の視聴者に与える影響が多いことから、重視されるようになった。
今回の衆議院選挙でも、各政党のCMが流され、そのインパクトの高さが如何に選挙結果を左右したかは言うまでもない。
サウンド・バイトは、ただ短い単語を言うだけではない。強烈で、主義主張がハッキリした言い切り型の感情をぶつけることである。 「私は自民党をぶち壊す」と言われると、政策も関係なく、聞くものの思考を止め、感性を揺さぶってしまうのである。
ここには、理屈は存在しない。
ホームページと同じように、訪問者を一瞬で"感じ取らせる"テクニックが必要なのである。つまり、左脳でなく右脳に働きかける力だ。
リーダーのプレゼンテーション力を磨くには、感情表現を上手く伝える右脳のトレーニングが重要なのだ。小説を読んだり、 映画を見たり、音楽を聴いたり、如何に感受性が豊かであるかが、これからのリーダーに求められるようになるだろう。
サウンドバイト時代の到来は、理論的で正確なものよりも、感性的で魅力的なものが好まれることを意味している。
これからのリーダーは、右脳派型が主流となり、左脳派型の優秀なブレーンを部下に持つ組織が強くなる。
小泉純一郎は、そんな時代を読んでいたのか、それとも時代が彼を生んだのか、何れにしても新しいタイプのリーダーが登場したのは間違いない。
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投稿者 :堀田信弘: 2005年9月14日 11:07