【堀田信弘の今日の語録】 2010年7月31日 『衰退の陰は、発展と共に常に忍び寄っている。』


リーダーについて  「活・喝・勝」


われは非情か

これからの経営は、"情より理"が重要だ。

村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)が阪神電鉄の株式を買い進めている。阪神タイガースの上場も提案した。タイガースファンも穏やかでないらしい。

彼が動くと、いつも経営者たちは、揃って反発する。阪神電鉄の西川社長も「会社存亡の危機」と話した。

世間も「乗っ取り」と批判する。本当にそれで良いのか。好きか嫌いかではない。 古い体質の甘い経営体制にメスを入れ、この国の企業社会がオブラートに包んできた問題に刃を突きつけ、弱い組織の襟を正すのが悪なのか。 上場していて株を買うなという論理は矛盾している。

640年も続く幕府制度を築いた源頼朝は、冷酷な政治家と評される。"理より情"の弟義経を死に至らせたせいか、"情より理"の頼朝の人気は高くないが、義経の業績は頼朝には及ばない。まるで村上氏も頼朝のようだ。

今から28年前の1977年9月28日、パリ発羽田行きの日本航空が日本赤軍にハイジャックされた。3日後、福田赳夫首相は、 身代金の支払いおよび、超法規的措置としてメンバーの引き渡しを行った。

当時、私は中学校1年生だった。放課後は、毎日部活動に明け暮れ、夜は王貞治選手が756号を打つ日を楽しみにしていた、 そんな時代だった。

「人命は地球より重い」という言葉を聞いて、多くの日本人は超法規的措置を支持していた。中学生だった私には、日本が「テロまで輸出するのか」という国際的な非難を受けることが理解できなかった。

日本人の常識では、理より情、法より超法規的措置なのだった。

その年の11月15日、新潟県に住む同じ中学1年生の女の子が、バトミントンの部活動を終えて下校中、消息を絶った。

1964年10月5日生まれの横田めぐみさん。今日41歳の誕生日を迎えた。

超法規的措置で赤軍派は、世界各地のテロ実行や、北朝鮮による拉致への協力を行い、多くの被害者がそのツケを払わされた。

理より情の判断は正しくなかったのだ。

経営者においても、政治家においても"愛"は絶対に必要である。しかし、"愛"と"情"は別だ。特に、組織運営において、"情" を聞いていたら、誰もが"情"を訴え、コントロール不可能な「大きな政府型」組織となる。

誰もが、自分の所属する組織は、他の組織と比べて強くなってほしいという願望がある。リーダーは、強い組織にするために、 弱いところを補強したり、強いところをもっと強くする。しかし、その組織の中にいる人は、 自分にはそれを求めないでほしいという矛盾した論理が存在する。

会社が潰れないようにするため、ある事業を撤退させるという総論は賛成。しかし、 自分がこれまで一生懸命にやってきた事業が対象になるのは誰だって嫌だ。

しかし、リーダーは、全体が倒れないようにするため、一部を新しいものに変える勇気が必要なのだ。 ダメなものはダメとする原理原則を貫く姿勢がなければ、有事の際に毅然とした対応が取れない弱腰リーダーなのである。

弱腰リーダーは、突如として敵が現れると、敵を批判し、自らの襟を正そうとしない。阪神電鉄には、 全く落ち度が無いと社長は言い切れるのか。

福田赳夫の自宅で書生生活を送った小泉純一郎。自らを「われ非情か」と評し、師とは違って、理より情を覆す政治手法を持つ。

思い切って解散に踏み切り、反対派を斬り捨てた破壊的手法。"情"を捨て、古いものと決別し、新しいものを迎え入れる"政局" の捌きは見事だった。

政策はどうか。2002年9月17日、首相は平壌に渡った。国民の"情"は高まり、支持率が上昇した。"情" を掴み常に大衆を意識する。

拉致家族が求める"理" の早期経済制裁発動に応じないのはなぜだ。情より理は政局だけで、政策には理も情もない。誠に非情だ。

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投稿者 :堀田信弘: 2005年10月 5日 15:30