【堀田信弘の今日の語録】 『この会社は、きっと伸びるだろうな。他の会社と違うことができること自体に可能性を秘めているから。』


組織について  「活・喝・勝」


精神主義と行動主義

"心"という目に「見えないもの」を何とか理解しようと心理学が発展し、やがてビジネスの世界でもマーケティング、組織論などにも応用されてきた。

「見えないもの」は、誤った根性主義や、全体責任主義などに代表される非科学的な精神主義を生んだため、スポーツ、ビジネスなどあらゆるところで、見直されてきている。今や精神主義は通用しくなった。

人がどう感じ、どう思ったかという「見えないもの」を、他人がどうこう言って「見えた」かのような判断をするよりも、その人がどのような行動をしたかという目に「見えるもの」で判断しようという行動主義が生まれた。

ロシアの生理学者パブロフ博士は、犬に餌を与えるときにベルを鳴らした「パブロフの犬」の実験が古典的な行動主義の原型だ。

犬に餌をあげるときに、いつもベルを鳴らしていると、そのうち餌がなくてもベルの音を聞いただけで、犬が反射的によだれを垂らすようになるというもの。

これを利用したのが、細いロープでつながれている動物園にいるゾウ。調教師は、小さなゾウのうちに、杭に鉄の鎖でつなぎ調教する。

最初のうちは、何とか逃れようと鎖を引っ張るが、やがて諦めてしまう。そこで、鎖を細いロープに変えると、ゾウは鎖との違いに気づかず、細いロープと小さな杭でこと足りるようになるという訳だ。

この条件付けの理論は、過去の記憶が未来の思考を止めさせてしまうというもので、人間も、過去に失敗すると、鎖のように脳裏に焼きつき、過去を引きずってしまう。

アメリカのスキナー博士は、鳥かごの中にボタンをつけ、それに触れると、エサがでるようにした実験を行った。鳥は、偶然にボタンに触れたとき、エサが出ることを知る、その後は、食べたいときにボタンを押すようになるという行動主義を応用した。

「パブロフの犬」やゾウの鎖のように、過去の刺激を手ががりとして行動をさせるのとは異なり、
自らが思考錯誤できるような環境を提供することで、未来を積極的に考えさせ自発的に行動させようというものである。

やがて、鳥かごの中に色々な道具を置くと、自然に興味を示し、回ったり、触ったりするようになる。

私は、この行動主義を知って、最近になってはじめて二つのことが理解できるようになった。

ひとつは、リーダーが組織を運営する上で、単なる精神主義ではダメだということ。

かつて、私には150名近い部下がいた。当時私は、各ユニットのリーダーシップの欠如と、ユニット間のつながりの薄さから、組織全体の脆弱さを感じていた。そのため、いつも頭には「意識改革」があり、何とか皆の考え方を変えたいという思いでいた。つまり、その当時の私は、精神主義に近い形であったように思う。

私は、何とか理解してもらおうと色々な場面で私の考えを伝えようとした。しかし、所詮、目に見えない私の考えは、不平や不満を生んだり、誤解されたりと上手く行かなかった。

今になって、どんな考えを持っているリーダーであろうが、ほとんど考えを持っていないリーダーであろうと、目に見えないもので比較しても、意味がないということに気がついた。

そして二つ目は、行動主義には二つあるということを理解した。リーダーが刺激を与えることは大切だが、やり方によっては、行動を萎縮させ、依存性が生まれ、自発的な行動を抑制してしまう可能性があるということだ。

しかも、動物と違って人間は、刺激を与えたことの意味を知るため、部下はやがて不満を言い出す。ダメなリーダーは、なだめるために飲みに連れて行き、処遇を改善して引き止めたりする。こうなるとリーダーは無用になる。

人間は鳥ではないが、リーダーの役目とは、事が起こりえる前にどのような環境を提供できるかだろう。

飛びやすい環境と飛べる範囲を明確にすることによって、自主的な考えを持つようにし、未来を志向できる組織にしなければならない。

世の中には、何も考えていないリーダーや、考えているけど行動しないリーダー、ポリシーのない行動をするリーダーなど言っていることとやっていることの違うリーダーが実に多い。正確に言えば、そのような人は、リーダーではなく、単なる組織のトップであって、リーダーシップは全くない。

しかし、どんな考えを持っているリーダーであろうが、何の考えを持っていないリーダーであろうが、最終的には、考え方より、組織がどんな結果を残せるかが、リーダーの評価なのである。

これからのリーダーシップとは、リーダーが何を言うかだけでなく、リーダーがどういう結果や環境を残せるかだ。

ゴルフをしたり、飲ミニュケーションばかりしていては、何年たっても変わらない。しかし、それでも結果を出したものが勝るのをとやかく言っても仕方ない。

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投稿者 :堀田信弘: 2005年10月23日 16:49