本日、内閣改造・組閣人事が行われ、第三次小泉内閣が発足した。安倍晋三氏を官房長官に入閣させた小泉首相は、今回の組閣を適材適所と評した。
組織というハコを編成し、各ハコを守るイスを決め、時には、自分自身の退任までもを決定する人事はまさにトップの要だ。
企業内の人事でも、色々な思惑や、しがらみ、感情、時には周囲からの抵抗、反発など、様々な人間模様が交差する。 そのような複雑なパズルを、トップがどのように組み立てるかは、トップの性格、生き方を表す。
トップがどのようなポリシーの持ち主で、部下や人材についてどのような考えを持ち、これからどういう組織のカラーにしたいか、 全てが人事結果に集約されると言っても過言でない。
年功序列、終身雇用性が崩壊した今の企業では、年齢や性別に捕らわれない適材適所の配置は極めて重要である。
人は、適材適所についたとき、一番力を発揮する。これまで動けなかった人が、水を得た魚のように動けるようにすることが理想の人事だ。
では、改めて適材適所とはどういう意味だろうか。
通常、適材適所とは、適性に合わない仕事では、やる気を失い、成果が上がらないから、 適性にあった仕事に配置することである。
しかし、私の考える適材適所は少し違う。
ある適性を持った人を、適性に応じて配置するわけだが、私の考えは、 配置された時点でその人の能力が最も発揮されるかどうかという視点ではない。それよりも、配置された後に、 これまで顕在化していない新たな能力が発揮できる場所か否かを中心に考えている。
つまり、私は、適材よりも適所に軸を置いた考えを持っている。
人間のやる気というのは、自分ができること、自分が知っていることをすれば良いというものではない。もちろん、 それら過去の経験やノウハウは活かすべきだが、今の地に安住するのではなく、これまでの経験を新しい分野の糧とする、そのような人を抜擢し、成長させることが組織の成長にも寄与するのである。
何年か前に、何が人をやる気にさせるかという実験が行われたという話しを聞いたことがある。
アメリカの炭鉱労働者を使った実験で、百人一組のグループを三つ作って行われた。ひとつのグループには、いつも使用しているシャベルを持たせ、もうひとつのグループには、いつもより柄が短いものを、残りのグループには、柄が長いものを持たせた。
結果は、普段使用しているシャベルを持たせたグループが、最も成績が悪かったそうだ。
これは、使い慣れている道具や環境だけが、勤労意欲に影響を与えているのではないということである。もちろん、これが組織でなく、個人同士の競い合いであれば道具の違いは大きいだろう。ところが、百人もの組織になると、普段は数合わせだけの単純労働者と感じていた彼らが、道具が変化しただけで、ハンデを見事にプラスに転じたのである。やる気とは中々不思議なものであることが判る。
私にとっての、適材適所とは、新しい機会を与えることで、これまで以上の成果が生めるようにすることである。言わば、新しい道具を持たせることで、これまでより成長させようというものだ。もし、現在の役割が適所であるならば、組織は、それ以上成長することはできないし、人事異動など不要になるのだ。
そして何よりも、トップの要である人事を適材適所で行うには、まず、トップであるまず自分が、このハコのトップに適材か否かを考えるべきである。外部も内部も見渡して、他に適材がいれば、それに委ねることのほうが、 遥かに組織の成長に寄与できる。
リーダーは、部下の適所を考え、自分の組織に安住させてはいけない。優秀な部下を持つと離したがらない上司がいるが、それでは部下を不幸にする。それよりも、自分はそのような上司で良いのかと、自分自身の適材性を考えるべきである。
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投稿者 :堀田信弘: 2005年10月31日 14:15