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世の中について  「活・喝・勝」


第一印象

多くの人と会っていると、第一印象がその後の波長に大きく影響することが判る。動物的な直感であり、非定型的なものだから、 そのような一瞬の感覚で、人を決めつけるように判断することは正しくない。が、人間という感情を持つ動物である以上、動物的に自然に感じ取ることは仕方ない。

先日1日、自民党本部での懇談会に行ってきた。私は、新政調会長になった中川秀直衆議院議員に、前日成立したばかりの 「障害者自立支援法案」について質問した。

中川政調会長は、広島4区選出で、昭和19年生まれの61歳。慶応大学法学部を卒業後、日本経済新聞政治部キャップを経て、 衆議院議員になった。信条は「誠実、謙虚、進取」とある。

ニコニコした表情で挨拶が終わると、タバコに火をつけ一服。私が質問すると、真剣な眼差しに変わった。再び、 新しいタバコに火を付けると、ギュッと睨みつけ、苦味虫を噛み潰したような表情に変化した。

私が自民党に行った目的は、日本の中枢にいる政治家に直に会うことで、経済人とは違うリーダー像を見てみたいという思いからだ。

中川政調会長のHPの中に、「政治家・リーダーの条件」が次のように書かれている。

『政治家に必要とされる第一の要件は政治的判断力であると言えます。そして、 この政治的判断力を涵養し、有意味なものとするものこそ、「慎慮(プルーデンス)」に他なりません。 それは実践的知とも言うべきものであるといってもよいでしょう。これこそが政治の質、そしてその将来を決定する要因であると考えています。 「慎慮」とは、具体的状況における政治の在り方を、そして目的を明確化するものです。いいかえれば、具体的な状況に応じて、<目的- 手段>の関係を設定するものといってもよいでしょう。

従って、それは過去と現在との対話を通して、将来への展望を切り開く指針の役割を果たすのです。

政治の要諦は、「国益」、そして「総合益」をどう実現していくかということだと思います。 過去においても、講和条約や日米安保改定などがありました。また、竹下内閣では消費税導入をやり遂げました。一時的に反対が強くとも、 次第にその決断の正しさが多くの国民に理解され、それが自民党への信頼に繋がってきたと思います。』

「誠実、謙虚、進取」の信条を持ち、「国益」「総合益」を実現しようというリーダーとは、 どんな人物なのか。これこそが、私の最大の興味であった。

私は、 「老人介護の場合には介護される側の親が先に亡くなるが、障害者の場合には介護する側が先に亡くなってしまう。だから、 同じ介護でも介護する側の立場が全く違う。今回の法律は、 障害者がお金を払って働かせてもらうというようなことが起きてしまう可能性があるなどの問題点があると思うが、どのように考えているか」 と切り出した。

彼はタバコを右手に持って、私の質問にゆっくりと答えた。

「その分野は専門ではありませんが、現在は施設の費用負担等を通じて障害者の支援を行っている。 働いて所得を得られるような施設を作ったり、小規模作業所等に公費を使っており、ある程度の手は打っている。色々やりたいことは出てくるが、 必ず財源を考えないといけない。老人介護も障害の一つだと思うし、みんなが受け入れるような仕組みにするために、 全部一本化にした方が良いのではないかと考えている」と答えた。

私がこの質問をした理由は、障害者というのは「国益」「総合益」を考えると、むしろ対極にあり、 極めて少数で、例外的な扱いを受けるのではという思いからだ。法案の内容がどうのというより、 政治家としてのビジョンを聞き出すことによって、彼の人間像を知りたかった。

彼のHPに、趣味は「人と会うこと」とニッコリした写真の脇に書かれている。私の質問だけでなく、 他の質疑のやり取りを見る限りでは、「人と会うこと」 を好んでいないと思えるくらいHP上のイメージやこれまでテレビで見ていたものと正反対であった。

人の第一印象は、最初の5、6秒で決まるという恐ろしいものだ。 1対nの関係となる組織のリーダーであるならば、どれだけその後の組織運営に影響がでるかを考えなくてはダメだ。リーダーは、 nに対して印象を持たなくても、1であるリーダーに対しては、それぞれが第一印象を持ってしまうのは防ぎようがない。

こちらが、どんなに第一印象で先入観を持っては行けないと思っても、相手がどう受け取るかを意識しないようではリーダー失格である。

コワモテの顔つきの人でも、中には意外にもやさしい人がいるのも事実だ。しかし、リーダーであるならば、 自分がコワモテの顔つきなら、余計に気をつけて第一印象を良くすることを考えなくてはいけない。 顔は生まれつきだから治せないと開き直るのでなく、仕草や表情も含めて顔の印象が生まれることを知らなくてはいけない。

それを理解していないリーダーと、実のところ本当の怖い人とは、結果として同じように受け取られるのである。

ましてや政治家。国家観、ビジョン、人間愛、生き方というのは、 ちょっとした仕草や表情に表れるものである。私の第一印象だけで決めつけるつもりはないが、優秀なリーダーであるならば、 周りのスタッフがさりげないアドバイスをしているはずだし、聞き入れているはずだろう。

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投稿者 :堀田信弘: 2005年11月 4日 13:40