【堀田信弘の今日の語録】 2010年7月31日 『衰退の陰は、発展と共に常に忍び寄っている。』


若者について  「活・喝・勝」


謙虚さと積極さ

ここ最近は毎日、若い経営者や起業家を目指す人など何人かと出会っている。ビジネスの世界、人と会うためにはアポイントを取るのは常識だ。若い人からメールや電話で日程のやり取りをするとき、その人の人柄が見えることがある。

ある人は、「お忙しいでしょうから、そちら様のご都合の良い日に合わせます。いつでも良いのでお会いして頂けませんか」と言ってくる。

もし、あなたがそう聞かれたら「それじゃ何日ならどうですか?」と答えるだろうか。

営業の経験をした人であればお判りであろうが、相手にボールを渡し、判断を仰ぐというのは、成功確率は決して高くない。

なぜなら、「いつでも良いので」と言われると、「いつでも良いのか(どうでも良いか)」と受け取られてしまう可能性があるからだ。

アポを取る側は、謙虚な気持ちを表すつもりで、相手にボールを渡した訳だが、「忙しいから後で」と断られてしまうのがおちだ。

途中の話に興味があったり、暇な人でなければ中々この問答では上手く行かないことが考えられる。

これは、折角の謙虚さが裏目に出てしまう典型的ねケースである。特に、起業家を目指すような若者の場合は、門前払いもあり得るだろう。

私は、来る者拒まず、一期一会をモットーとしているので、できるだけ多くの人と出会いたいと考えているが、忙しい経営者はそういう者ばかりではない。私の経験からすると、意外にも営業経験の経営者のほうが、遥かにアポ取りが難しいように思う。

なぜなら、営業マンは、多くのアポ取りを経験しており、同時に多くのアポの取れない経験もしているからだ。

そのため、どうすればアポが取り易い問答をするか自然に心得ている。つまり、典型的なアポ取りパターンでないと、「いつでも良いので」は「どうでも良い」に思えてしまうのである。そして、大したことがない者と思われてしまうのだ。

では、どのいうやり取りが上手く典型的なアポ取りパターンだろうか。

「お忙しいでしょうから、そちら様のご都合の良い日に合わせますが、何日など如何でしょうか?」と聞く。そう聞くと、相手は「何日は午前中しか空いていないが」などと答える。それでアポ取りは成功だ。勿論、こんなに単純なものではないが、文脈に大きな違いがある。

それは、あくまでも相手に考えさせるボールを持たせていないのである。できるだけイエスかノーかだけで答えられるようにして、どうしようかという迷いを持たせていないのである。

営業マンでなくても、ビジネスの世界では人との出会いは大切である。人との出会いが多ければ多いほど、見聞が開け、人脈というネットワークができるのである。経営者やリーダーを目指す人は出会いを求めないのでは自身の成長がない。

アポ取りの例を出したが、このようなテクニック的な問題が言いたいのではない。

あなたと会っても良い、できれば会いたいと思わせる何らかの要素がにじみ出なければ、どんなにテクニック的なことを頭に入れても、決して上手く行かない。

それが、謙虚さと積極さの関係だ。

人との出会いは、必ず積極性がないと絶対に成立しない。男女の出会いも同じで、何も話しかけなければ進展は見られないのだ。

しかし、積極性だけでは、しつこく感じたり、うっとうしく感じたりして、所謂片思いに終わる。

ましてや電話だけで顔を見たこともない人と会う訳だから、積極性が過ぎて強引でもダメだ。そのためには、相手の警戒心を取り去るような真摯な姿勢が重要だ。

先ほどの会話の例をもう一度見てみると、「お忙しいでしょうから、そちら様のご都合の良い日に合わせますが、何日など如何でしょうか?」には、単純な会話の中にも謙虚さと積極さの両方が混ざっているのである。もし、謙虚さだけであれば、冒頭のように「どうでも良い」と思われるだろうし、積極性だけでは「何様のつもりだ」と勘に触るだろう。

実際に出会った多くの若い青年の中で、好感が持てる人は、謙虚さの中に積極さがある。ものすごく積極性がある話をしても、それを上回る謙虚さを持っている。

逆にすごく良いアイデアを持っていても、自信たっぷりに一方的に話すタイプには「別にあなたでなくても他がいるから」という傲慢さが見える時がある。このタイプは、起業家を目指すような自信家の人に多いが、私は好んで付き合いたいと思わない。

積極さというのは、謙虚さの内でなければ人とのネットワークは作れないと考えているからだ。
積極さの中に若干の謙虚さがあっても傲慢な態度は決して拭えない。

できるだけ大きな謙虚という器を作り、こぼれない程度に一杯に注ぐ積極さという熱い液体。

大器をもつ人とはこういうことなのだと思っている。この一週間に出会った人の中で、若くても大器の可能性を持つ人が何人もいた。一方、この人と付き合いたいと思うような年配の経営者には最近お目にかかっていない。

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投稿者 :堀田信弘: 2005年12月11日 21:02