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視点を変える

人は、考え方が変われば、行動も変わるものだが、そう簡単に変われないから厄介だ。余程衝撃的な出来事や強制的な環境変化がない限り、 人の考え方など変わらない。ましてや、人が人の考え方を変えるなどという大それたことは不可能に近い。

しかし、組織のトップリーダーは、刻々と変化する周囲の環境に応じて、否応なしに変化が可能な組織を作る必要がある。時代の変化、 取引先の変化、制度の変化など、こちら側が変化したくないと思っていても、周囲の環境は黙っていても変わって行く。

自分の部下は、何度も同じことを言っても変わらない、自分の組織は何度行っても動かないと愚痴を溢す上司がいる。組織である以上、 その組織に所属する人間の考え方や気持ちが変わらなければ、トップダウンで強制的に命令しても、上手く行かないだろう。

上司は、組織が変わらなければならないことは、頭で理解している。何度も部下に命令したり、なだめたりを繰り返したが、変わらない。 結果、その上司は、部下に対して「こいつらはダメだ」と諦めの気持ちを持つようになる。

その瞬間、部下達は、「あの上司ではダメだ」と上司の改革の意思の弱さに諦めの気持ちを持つようになる。そして、その組織は、 変わらない組織となる。

人が、人の考え方を変えようとすることはナンセンスである。

自分自身が気づき、自らが変わらなければと自発的に強く思わなければ、他人が変えることなどそもそも無理なのである。大体、 例え表面的に考え方が変わった言ったとしても、行動に移せない人が実に多いこと。 変わらなければならないと多少なりのきっかけが作れたとしても、その結果行動が変わらなければ、 結果として考え方が変わったということは言えないのである。

では、リーダーは、組織を変えることができないのだろうか。

答えは、ノーだ。

リーダーが、この組織をどう変えるか、なぜ変える必要があるのかという強い信念があれば、必ず変えることができる。

それぞれの人の考え方は変わらないかも知れないが、組織は変わると断言して良い。組織は、人の集まりではあるが、 集まっている人は固定的でもなければ、好き勝手に集まって好き勝手な行動をしている訳ではない。

組織の行動を変えれば、組織の考え方も変わる。組織の考え方が変われば、そこには新しい考えを持った人たちが集うようになる。

では、行動を変えるには、どうしたら良いか。

最も刺激的で、ダイナミックな改革を望むのであれば、環境を変えることである。

例えば、職場を変えたり、業務の内容を変えたり、或いは上司を変えたりと、その人を取り巻く物理的な環境を変えてしまうと、 その人それぞれは変わらなくても、職場の雰囲気は大きく変化する。

変われと精神論ばかり言っているより、こちらから強制的に変えてしまったほうが手っ取り早いのだ。

しかし、環境を変えることは、コストやリスクが大きいのも事実である。変わった結果が良くなるとは限らないし、 変わるための費用やリソースが必要となる。

例えば、通勤に何時間も費やして、毎日満員電車に揉みくちゃになってヘトヘトになっていたとしよう。この環境を変えるには、 職場を変えるか、職場に近いところに引っ越すか、或いは、最近普通電車にも数多く導入されているグリーン車に乗るかなどが考えられるが、 何れもコストやリスクが大きい。

では、環境を変えずして、この満員電車地獄から抜け出すには、どうすれば良いだろうか。

「満員電車を地獄と思わないような強靭な気力を持つ」などと言った空論、このような考え方を変えようという試みは失敗する。

考え方を変えるのではなく、視点を変えるのだ。

視点を変えれば、行動が変わる。行動が変われば、考え方も変わるのである。

先の例で言えば、始発電車で通勤すれば良い。

そうすれば、足を伸ばして座れるし、寝ることも、本を読むこともできるグリーン車並にくつろげる。しかも、会社に着けば、 誰にも邪魔されることなく、その日の準備やメールの整理など静かな貸切の空間で仕事ができる。営業であれば、皆が出社するころには、 営業に出かけることができる。

そもそも同じ何時間か仕事をするのであれば、夜遅くまで仕事するのと、朝早く仕事をするのと何ら変わらないはず。

このように視点を変えて見ることは、重要なことである。

組織を言えば、例えば社内ルールや制度を変えるといったことが考えられる。環境を変えるより、リスクやコストはかからないし、 ダメなら何度も変えれば良い。変えて、変えて、良いものにして行けば、自ずと制度やルールは変わるもの、 変えるものという組織文化が生まれる。

結論から言えば、大きく変えたいのなら、大きく変えることばかり考えていないで、直ぐに変えられるものから、 やれるものから確実に変えてみることだ。

視点を変える、そして、実行する。始発電車で通勤すれば良いと視点が変えられても、実際に行動できる人、 やり続けられる人は実に少ない。

トップが諦めたら変わるはずもない。変えられるものを見つけ、変え続けるが、変わる組織になる。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年1月28日 12:20