実力主義・成果報酬の会社は、高い実績をあげた者ほど給与が高いのが当然だ。では、実績とは、何か。売上か、利益か、会社への貢献度か。
思考錯誤を繰り返し自社にあった人事考課制度が確立されていく。「結果の公平」になるように、最終的には、「会社が求める人材像」に近い人ほど給与が高くなって行く。
現場のプレイヤーであれば、個人に配分された売上や利益と行った目標の達成度によって報酬が決まるだろうし、マネージャークラスになれば、チーム目標の達成度によって決まるだろう。
年功序列が崩壊し、年齢や経験年数ではなく、与えられた職務や役職によって報酬が決まるようになり、その報酬の高さと「会社が求める人材像」は極めて比例的でなければならなくなった。
通常の会社では、社長の給与が最も高い。そして、常務や役員、部長とテーブルが下がって行く。もちろん、同じテーブルでも成果主義だから、部長の中でも差がでてくるのは当然なことである。
ならば、最も給与の高い社長の姿、行動力は、「会社が求める人材像」に最も近いはずである。
自分のように動いてほしいというトップのメッセージが人事考課制度にも反映され、自らが自己採点して、それにふさわしいと考えて決定された報酬が社長の給与だ。
もし、「会社が求める人材像」に反して、その評価以上の給与を貰っていたとしたら、それは詐欺だ。部下には、こんな社員になりなさいと「会社が求める人材像」を示しておきながら、その姿とかけ離れた能力や実績しかあげられないようなトップは、自ら減俸すべきである。
そんなトップが社長になっている会社では、「部下の仕事をする上司」が必ず現れるようになる。その上司の目標は、チームの成果をあげることまでは理解しているが、その上司に求められる「会社が求める人材像」を理解していない。
例えば、上司を含めて10人のチームであったなら、本来上司がやるべきことは、一人の能力を1から1.1へと10%のレベルアップをさせることが仕事である。本当に部下を愛しているならば、10%のレベルアップができれば、その部下の給与は比例して上がるからだ。部下からすれば、適切なアドバイス、指示命令によって目標達成、さらには10%もの向上ができ、給与があがれば上司の存在意義も伝わるはずである。
ところが、能力のない上司は、一人の能力を1と考え、結果9人では9にしかならず、残りの1は自らが担当しなければならなくなる。
そのようなマネージメント不在の組織では、必ず1も達成できない部下が生まれることになる。そうなると、不足した分を誰かが補わなくてはならなくなる事態が発生する。
「会社が求める人材像」にあったマネージャであれば、不足した分は、何人かの部下に再配分してより成果をあげさせることで、その部下の給与をさらに上げることに貢献できるだろう。
「会社が求める人材像」に相応しくないマネージャか、もしくは、会社がマネージャに対し、間違った人材像を設定していた場合になると、マネージャ自らがその不足した分をセッセと補うことだろう。
それは、詐欺行為だ。
なぜなら、部下は、プレイヤーとして、目標に対し給与が決められており、しかも、一般的には上司よりも給与は安い。上司は、チームに対する目標が設定されているということは、数値目標が高いから当然部下よりも給与が高い。
部下の不足した分を補って一見チームの目標がクリアーされたように見えるが、その上司がやった行為は、部下がやらなければならない、部下の単価であるこそ意味がある仕事なのに、上司の高い単価で、安い単価の仕事を下ということになる。
一瞬は、チームの目標が達成されたように思えるが、その上司が行った詐欺行為は、本来部下ができないような仕事をするから高い単価になっているのに、部下でもできる仕事をしたがために、組織の長としてやらなければならない何かを確実に失ったのである。結果OKで評価されて、高い給与を貰った行為は、これが詐欺ではなくて何であろうか。
人の良い上司ほど、部下が遅くまで残っていると、どうしても手伝ってあげたくなるらしい。一端やさしい上司に思われる習慣が身についてしまうと、元々現場経験があるから上司になっているので、ついつい部下の仕事と自分の仕事がイコールになって行く。このような上司は、先輩と上司がもはや理解できない状態なのだ。
こんなタイプの上司は、必ず仕事を抱え込んでしまうようになる。部下の不足分も、自分の分もやらなくてならなくなり、もはや組織の長としての体はなしていない。
もし、会社が、「会社が求める人材像」が間違っていたら、これほど悲劇的なことはない。
例えば、マネージャもプレイヤーとして、人一倍大きな数字を持たされるとか。
正確に言うと、「会社が求める人材像」が間違っているのではなく、それを策定した社長自身がプレイヤーでいたいのだろう。
それなら強い組織など諦めたほうがマシだ。
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投稿者 :堀田信弘: 2006年1月12日 09:09
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