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企業経営について  「活・喝・勝」


公明正大

先週は、飛ぶ鳥落とす勢いのライブドアへの強制捜査があった。ライブドアの経営方針には、「当社の方針は、 強固で安定した経営基盤を維持しつつ高成長を続けていくことです。急成長の中で歪みがちなマネージメント・営業の体制を再構成しつつM&A戦略を進め、売上・利益を大きくしていく(以上抜粋)」と書かれている。

「急成長の中で歪みがちなマネージメント」と、現在発生している一連のトラブルについて、あたかも予測していたかのように、歪みが発生する可能性について十分に認識していたようだ。

マネージメントの歪みには、一般的に3つの段階で発生すると言われている。

まずは、第一世代のマネージメント。新しく組織として機能し始めたばかりで、 かつ少人数の小規模な組織での初歩的なマネージメント期。自己管理中心の、選任マネージャーがいない組織だ。各自に与えられたものは、 各自が自分で管理することを前提とした最も簡単な方法だ。この時期の歪みは、誰かの仕事が停滞すると、自己完結できなくなり、 上司や同僚が助けてあげることで何とか乗り切ろうとすることだ。

本来の原則を超え、助け合い精神が度を過ぎると、次の第二世代に移行しようとする時期あたりから、指揮命令系統が曖昧になったり、ぬるま湯体質に陥ったりする危険が孕んでいる。

次の第二世代は、指示型のマネージメント期だ。人数が増え、 業務内容が複数になってくると、専任のマネージャー(初期は社長が兼務することが多い)が、日報を出すように指示したりして、報連相 (ホウレンソウ)を徹底しようという時期である。この時期のマネージメントの歪みは、 指示する選任のマネージャーがボトルネックとなることである。的確な指示や、報告に対する速やかなフォローが滞るようになり、 個としての活動から組織としての活動への脱皮が中々できなくなることである。

会社の規模が大きくできない会社は、 この第二世代のマネージメント期で止まっていることが多い。

第二世代の専任マネージャーから、複数の専任マネージャーが誕生するころ、 組織は部門制などの簡単な組織図が生まれるようになる。すると、マネージャーの力量の差が、組織の結果の差に表れ始め、 組織間の成果の差に気づき始めた部下達は成果主義を望むようになる。

これが第三世代のマネージメント期だ。 まず個人の評価制度を確立しようという動きが起き、次に組織の成果及びその長の責任が明確化されはじめる成果主義での管理方法だ。 第二世代の指示型より、成果を重視するようになり、上手く人参とムチの関係が築けると成長を支える。

しかし、この第三世代のマネージメントの歪が最も危険だ。 第一に組織より個人を重視する傾向が生まれ、社内スキャンダルのようなトラブルが発生し易い土壌が生まれる。第二に、 能力の格差からリストラの必要性が生まれ、内部の風通しが悪くなる。噂や陰口が相次ぎ、 あるいは退職者の告発による信用を失墜させるようなトラブルまで発生する。

さらに最悪なのは、取締役や部長などの経営トップ層の人間が、 仕事とプライベートとのバランスを崩し、飲み遊び、ゴルフ、果てには愛人問題や、 ギャンブルなど個人的な事件が組織に大きな影響を与えるようになる。これは、高い成果を上げた社内成り金タイプの人が陥り易く、それまでの 「良く働き良く遊ぶ」を自慢していたことが「遊び」で足を引っ張ることになるのである。また、 現場営業の空発注や数字を操作するといった成果主義への重圧からなる倫理の欠如が起こる。

この第三世代のマネージメント期は、会社崩壊、トップの交代、 金銭的不祥事など会社の存亡を揺るがす大きな危機を孕んでいる時期である。

ごく一般的な通常の会社であれば、この第三世代までを10年ほどかけて向かえる。 その間は、第一世代、第二世代と、それなりに組織のあるべき姿を考え、苦労して第三世代に到達するものだが、年数だけでなく、 組織が大幅に変貌しながら急成長を遂げるベンチャー企業は、一気に第三世代からスタートするケースが見られる。

組織としての体制が整わず、機能していないのにも関わらず、成果主義の巧妙から、 組織なき組織でもトップのカリスマ性やワンマンによって、一気に急拡大を遂げる。

ライブドアは、このマネージメントの歪みを察知していたわけだ。しかも、 単なる第三世代のマネージメント期のリスクではなく、急成長することによって起こりえるのは、 軟弱な地盤の上に立つ鉄骨のない巨大なビルのようなひ弱な組織の崩壊である。つまりライブドアは、 偽装マンションのような欠陥住宅に住んでいたということだ。

無事にこの期を乗り切るには、企業倫理(コンプライアンス)と社会的責任(CSR) を徹底させるトップの公明正大な指導力だろう。企業が果たすべき社会的な倫理観、役員のみならず社員が一丸となって背負う社会的責任、 それと会社の目標や個人の目標などの成果といったトライアングルマネージメントだ。

単なる売上などの数値目標だけでなく、明確な社員像を提示し、 社会の一員としての高い倫理観を持たせる指導力が重要になる。本来、ライブドアのような上場企業や、それに順ずる大会社では、 このようなリスク管理がなされていなければならず、ましてやライブドアは、 コンプラインアスの遵守を声高に叫ぶ経団連に加入していたのだから。

中々、このフェーズまで行ける会社は少ないが、これは企業規模の問題ではなく、 小さな会社でも公明正大に取り組み意欲があれば、決して出来ないものではない。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年1月22日 17:08