MBAの経営管理方式には、トップダウン方式とボトムアップ方式というのがある。
元々、この二つの方式はアカウンティングの用語で、予算管理の手法を意味する。トップダウン方式は、経営陣が各部門の予算を決定し、 各部門に伝達する方式。ボトムアップ方式は、部門責任者が予算を設定し、経営陣の承認を得て、全社の予算を決定する方式である。
簡単に言えば、「上が決め下に落とす」のがトップダウン、「下が考え上が決める」のがボトムアップだ。
一般的には、全く相反する方式のように受け取られることが多い。
トップダウンは「上が決め」、ボトムアップは「下が考え」のところにスポットがあたられるため、トップダウンは中央集権・ ピラミット型、ボトムアップは分散分権・フラット型と理解させていることがある。
そのため、トップダウンは、下の意見を取り入れず一方的に上が決めるもの、ボトムアップは、皆で考え、 良い提案を上が受け入れて民主的に決めて行くものという誤解が生じる。
会社員でも一歩外に出れば、地域社会、日本国民の一員であるから、当然、民主主義・自由主義の国の中で生きている。我々は、 共産主義や一党独裁、王政強権国家の中にいる訳でないから、トップダウンがワンマンでボトムアップが公平・ 民主主義のような感覚を持ってしまう。
もう一度、企業の経営管理方式の話に戻すと、 トップダウン方式もボトムアップ方式も民主主義かワンマン化の選択を意味しているのではなく、あくまでも予算管理方法の違いである。
しかも、よくその言葉を見ると、「上が決め下に落とす」のがトップダウン、「下が考え上が決める」のがボトムアップで、 全く相反しているのではなく、決めるのは何れも上なのである。どちらの方式であっても決めるのは経営者以外にあり得ないのだ。
つまり、トップダウン方式は「上が考え」、ボトムアップ方式は「下が考え」の部分が違うのであって、決めるのは上の役目なのである。
もし、「下が考え下が決める」のがボトムアップであったなら、会社経営は上手く行くだろうか。
絶対に上手く行かない。
なぜなら、下が決めるのであれば、経営者が不要になるからだ。経営者が不要な会社というのは、経営責任を取る人もいなければ、 下の考えが二分したときに采配する人もいないということであって、もはやその姿は企業ではない。
民主主義的に多数決で決めるようなやり方は、企業経営とは別の世界である。 多くの社員が反対しても経営者の判断で重大な決断をしなければならないときもあるし、多くの社員がやりたいと提案してきても、 コストや方向性などで受け入れられないものだってあるはず。
私の会社では、トップダウンとボトムアップのバランスを常に考えている。
ひとつは、ボトムアップ方式のメリットである分権・権限委譲である。最大限の権限を与え、できるだけ自発的・ 自主的に行動できるようにしている。
そして、もうひとつは、ボトムアップ方式のメリットである「下が考える」組織つくりである。私は、ある方向を示し、 その具体的な手法や各論については、上も下もなく徹底的に議論、検討する。どんどん反対意見も出し、 違った見方や別の方法はないのかブレインストーミングする。時には、話が拡散し、どんどん方向性がずれて行く事もあるが、 その中で別の問題点が発見できたりするから、ある程度はお構いなしだ。
しかし、最終的に決めるのいつも上の責任だ。
決めるまでの議論は歓迎、決まってからの反対意見は認めない。なぜなら、「だからやらないほうが良いと言ったんだ」とか「ほら見ろ」 というやつが必ず出てくるからである。ましては、決まる前に意見を言わなかった人に限って、 結果が見えて来てから反対意見を声高に言うのはルール違反である。
トップダウンとボトムアップ、何れにしても経営者が意思決定機関であることを社員に徹底させることができないようであれば、 どちらでも上手く行かない。
ドリームクラスターは、トップダウン方式を志向している。しかし、現実にはボトムアップ型である。なぜなら、 私が考えるトップダウン方式は、経営と執行の明確な分離であって、まだそこには至っていない。経営者が意思決定を行う経営責任を持ち、 執行者は決められたことを最大限実現に向かって邁進する執行責任者とに完全に分離して兼務させない方式を取りたい。
目指すべくトップダウン方式は、現在のボトムアップ方式が完成、発展させることができれば、下が執行者になり、 上が経営者になるだけで、実現できるものと思っている。経営者はグループ全体の予算管理と執行の監督を通じて、 常に考える経営者になればその姿は、トップダウン方式であると考えている。
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投稿者 :堀田信弘: 2006年2月18日 10:59