【堀田信弘の今日の語録】 2010年7月31日 『衰退の陰は、発展と共に常に忍び寄っている。』


若者について  「活・喝・勝」


怒る叱る褒める

叱れない上司が多い。以前のコラムで書いた「嫌われたくない症候群」 の人が増えているからだ。

若者の中には、失恋するのを恐れ、あえて出会いを求めない、恋をしない人がいるそうだ。本来、恋は盲目であり、 恋の病に薬なしと言われて、一旦好きになれば、周りのことなど見えなくなり突っ走ってしまうもの。

若いがゆえに、先のことなど考えないで、勢いで前に進んで行く。人を好きになることは自然なこととだし、 若い人がその感情を抑えることなど不要だ。それが若者の特権。

ところが、起こり得る期待より、起こり得るリスクを先に考える人がいる。それが嫌われたくない症候群だ。恋をして告白すれば、 幸せの日々が待っているかも知れないのに、その後の別れる辛さや、その前のフラレルことのほうを先に考えてしまう。何かをすれば、 何かが起きる、だったら、何もしなければ何も起こらないし、嫌な思いもしなくてすむと考える。

若い人が、若いが故の最高の特権、勢いを自ら放棄している。勢いを放棄したら、若者が若者でなくなる。

こんな風潮が、若くない人にも、次第に広がり、会社の中でも起き始めている。

部下を叱れない上司の出現がそれだ。

感情表現ができないタイプの上司に多い。いつもクールな人か、いつもニコニコしている人など、ほとんど感情の変化がない人は、 叱ることと怒ることの違いを理解していない、若しくは理解して感情を抑えているのかも知れない。

部下に対し、感情の表現があまり豊かでなく、喜怒哀楽が平坦だ。家庭においても、あまり子供のことを叱ったり、怒ったりしない。

叱ることと怒ることの違いが理解していない人は、叱ると子供に嫌われてしまうのではと考える。中には、 子供と友人のような関係を築くことがベターと考え、子供が学校に行きたくないとわがままを言っても、簡単に休ませてしまう人もいる。

怒るとは、やってはならないことをやったり、やるべきことをしなかったときに、注意すること。反省を促すことであり、 相手がやったことを認めなかったり、反省しなければ、時には感情的に注意することもあるだろう。怒るという感情は、人間の自然な感情だから、 悪いことに怒りを持って対応し、なぜ、怒るのかを知ってもらう必要があると思う。

ただ、一方的に感情任せにこちらのイライラから怒ることは問題であり、虐待と勘違いするようなキレルのは良くない。

叱るとは、考え方を注意したり、行動の仕方を正したりすることだ。叱るとは、両者の関係に指導の関係が築かれていなければできない。 なぜ、その考えが違っているのか、そのやり方ではまずいのか、起こり得る前に事前に行動を見て注意すること。怒るのと違って、 事が起こる前にやることではないだろうか。

子育ての本などでは、「怒ると叱る」の違いを書いているものが多くあるが、私の考えは、これらの本とは全く違う。一般的には、 子供には怒らず、叱れと書いてある。本では、怒ることは感情的になることであり、叱ることは良く話しを聞いて理解させることとある。

大切な子供だからこそ、熱く語り、時には厳しく怒るのではないだろうか。感情を入れないで厳しく叱ることは可能なのだろうか疑問だ。 感情的になって、度を越すようなことがないように戒める意味で言っているのだろうけど、私はダメなものはダメと怒るべきだと思う。

問題は、親子関係だろうが、部下との関係だろうが、両者の間に指導や教育という関係が成り立っているかどうかである。

上司が、部下を愛しく思い、あるいは部下が上司の指導法に理解を示していなければ、本に書いてあるように叱っても機能しない。 尊敬できない上司から言われれば、部下は嫌な思いをするだけ、可愛くない部下とはもめるからあえて厳しくもしない。つまり、 指導の関係が崩壊しているのである。

きちんとした関係を築くには、褒めることとのバランスが関係しているように思う。

ある本には、一叱って、九褒めるとか、叱った分と同じくらい褒めろとか、子育てと同じようなことが書かれている。しかし、実際には、 個々の対応は様々であり、褒める割合が多くなければやる気のでないものもいれば、褒めら過ぎると気が緩むものもいる。

どうやら、叱ることができない人よりも褒めることができない人のほうが遥かに多いようだ。 自信家タイプは人を叱れても人を褒められない、逆に叱ることができない人にも褒めることができない人が多い。何れの場合も、 指導の関係は崩壊している。

つまり、褒めることが出来なければ、親子だろうが、部下との関係だろうが指導の関係は築けないようだ。 その関係が築けないことに気がつくと、嫌われたくない症候群に入っていく。

やがて、起こり得る期待より、起こり得るリスクを先に考えるような人間関係になり、もはや信頼関係はなくなる。そして、 いつもお互いに腫れ物に触るような感覚を持ち、できるだけ関わらないようになって行く。

そして組織崩壊に繋がる。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年2月26日 09:07