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求める人材  「活・喝・勝」


ほめて見守る

山本五十六の「やってみせて、言ってきかせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」には、人材を育てる基本的な考え方が込められている。

また、親にとって、子供を育てるとは、叱ることと、ほめること、そして見守ることにつきるのではないだろうか。シツケをつけるには、叱ることも重要。長所を伸ばすにはほめることも重要だ。そして、何よりも、子供の能力を信じ、じっと我慢して見守ってあげることが大切である。

私の人材を育てる基本方針は、「言ってきかせ、させてみて、叱って、ほめて、見守ってあげる」である。

山本五十六の「やってみせて」は、実際に手本を見せるという意味でとても重要である。率先垂範ということであれば、否定するものではない。しかし、「やってみせる」ということは、上司ができることだけしかやらせることができないというのでは問題である。

世界のホームラン王となった王貞治を指導した荒川博は、選手時代には通算で16本しか本塁打を打っていない。それでも、不振だった王の持ち味を見つけ出し、一本足打法を考案、そして身に付けさせた。

そういう意味で、私は、上司というのは、自分がやれないこと、やったこともないことであっても、持ち味を見つけて「させる」ことのほうが大切ではないかと思っている。

だから、「やってみせて」はあえて除いている。

さらに、ほめると同じ位、叱ることも重要なことだ。人を育てるということは、ある意味で理屈ではなく、シツケと同じく、訓練的な意味合いも大きい。

最近は、学校でも会社でもメキッリと叱る人がいなくなったから、余計に叱り方というのも重要になった。

そもそも、叱るとは、やったことに対し、或いはやらなかったことに対し、起こったこと、つまり顕在化した事象に対して、なぜ、そのような行動をとったのか、どうしてそのように考えに至ったのかについて、本人が気がついていないことを言ってあげることにある。

「言ってきかせて」させたのに、そのようにしなかったり、何度も同じミスを繰り返したり、最悪なのは言い訳したりした時に、上司は愛情を持って叱る必要がある。叱られなければ、本人が自ら気がついて直そうという気が起きないことがあるからである。もちろん、ケースバイケースだから、いつも叱れば良いというものでもない。

叱るということは、強い組織を築くという観点からは必須ではないだろうか。私は、叱れない上司の組織で、強く団結した組織を見たことがない。

しかし、叱られることは誰でも嫌なことだ。だから、叱ることは難しいし、それを補えるくらいの愛情がなければ、どんなに理論的に正しく叱ったとしても人はついてこないだろう。

そこで、叱ると同等以上に、ほめることはもっと重要になる。

ほめて、ほめて、ほめ過ぎることはない。

多少大げさにほめても、ほめられて嫌な人はいない。ほめることは、最も人間関係を潤滑に進ませる効果的な方法であることは間違いない。

人はなぜ、ほめられると嬉しいのか。それは、他人に自分を認めてもらえるからである。認めてもらえるということは、見てもらえている、気に留めてもらえているといったひとつの愛情表現に近いものがあるからであろう。

叱ることができない人が多いのと同じく、上手にほめることができない人が実に多い。小さな欠点を見つけ、良かれと思って注意することが上司の役目と思っている限り、小さな長所を見つけることなどできやしない。

叱ることは顕在化した事象に対してだが、ほめることは潜在化している能力を引き出すことである。本人も気がつかないような長所を見つけてあげる手助けになることが最高のほめ方だ。

長所と短所は、表裏一体だから、その人の短所を直そうと思ったら、それを裏から見て、長所を引き伸ばすことで、短所をカバーするようにする。短所を直すことよりも、長所を伸ばすほうのが、遥かに人は伸びるし、何よりもお互いに精神的に健康的である。

そして最後は、しばらくじっと見守ってあげることが重要だろう。

手取り足とりとべったりしていると、依存度が高まり、親離れができなくなる。気がついても小さなことであればあえて見逃し、大切なことはどんなに小さなことでも叱ったり、ほめてあげたりして、放ったらかしではなく、常に影で支えてあげて寛容さも必要であろう。

言ってきかせ、させてみて、叱って、ほめて、見守ってあげる。

人を育てるには、こちらが育たなければできないことだ。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年4月19日 16:15