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境遇の共有

今日は、朝から息子の養護学校のPTA活動があった。昨年度の役員として、最後の仕事であるPTA総会を進行し、無事に新年度の役員に引きついた。夜は、最後の反省会、4年間務めた思い出話しに花を咲かせた。

障害を持つ親たちで集まると、初めて参加した人とでも、なぜかすぐに意気投合してしまう。

養護学校は、言わずと知れた障害を持つ子供たちの集まりで、親たちの悩みは共に共通しているとからであろう。

一方、娘が通う普通小学校は、地域が同じというだけであって、子供のたちの能力も違えば、親たちの子供に対する思い入れや接し方にも相当に差があるから、子供に対する悩みの共有というよりは、親たちの相性のほうが優先されるところが大きい。

障害の親の場合、悩みの共有の根源は、子供が生まれた時からのいくつもの出来事の共有である。この世の中に、何万人に一人しかいない病気にかかった子供を持ったとき、「なぜ我が子だけがこのようなことに」に思い悩み、私だけが世の中で最も不幸ではないかと考えてしまう。

自分だけがこんな辛い思いをしているのかと考えていた時は、他に同じような障害を持つ人など世の中には存在しないと思い込み、ただただ健常者の親を羨ましく思ってしまうものだ。

それが、何万人かに一人しかいない病気になっている人が、同じ地域にも何人かいるということに気づいたとき、その人が経験したことと自分が経験したこととがピタリと重なり、出会った瞬間から嬉しくなってしまう。このように境遇を共有できることが、他にあるだろうか?

職場を共有したり、幼なじみと郷里を共有したり、共に学んだ学校を共有することはあっても、中々境遇を共有し、目的や意識を共有することは少ない。それだけ境遇を共有することは、強い絆が生まれるのだ。

同じようなケースで言えば、同じ釜の飯を食って、死に物狂いで働いたり、戦ったりして、辛い思いを共有した時が該当するのではないだろうか。言わば戦友のような存在ではなかろうか。

このことを、リーダーとして、組織を率いることに照らして考えて見る。例えばスポーツで言えば、
試合に勝つために激しい練習で共に汗と涙を流したりするようなできるだけ辛い境遇を共有したほうが、辛い境遇をしない場合に比べ、試合勝ちたいという目的意識の共有、つまり団結力は高い。

もし、練習が楽で、サークルのように楽しさを優先したとしたら、そのチームは、楽しい境遇は共有できたとしても、強い団結力が生まれることは少ないのではないだろうか。

会社で言えば、楽しく和気あいあいで仕事をすることは大切だが、一旦危機が訪れた時、それを乗り切ろうとする強い意識をもったまとまりの集団を作るのは極めて難しい。

会社を設立したばかりの頃は、いつ倒産するかも知れないような不安定な状態にあり、社長は眠れない日々が続く。そのような辛い時期を、安い給料で、毎日遅くまで一生懸命に働き、それを乗り切った会社は必ず成功する。ところが、大量に資金を集めるのに成功し、または、スピンアウトして比較的楽に以前の客を継続できた場合などは、必ずと言って良いほど社長は堕落し、やがて謀反が起きたり分裂したりするものだ。

会社は、スポーツではないのだから、社員に厳しいことを押し付けたり、辛い思いをさせることはナンセンスだという楽観主義の人が実に多い。一理あることは認めるが、野球のように試合で素晴らしいプレイを見せられるのは、あらゆるケースを想定した辛い練習があるからである。

もし、辛い練習がなければ、本番で一度も練習をしたことがない事象に対して、問題なくプレイすることは運任せとしか言えない。

それは、会社で言えば、日頃から通常の仕事を通じ、起こりえることに対する危機感と、問題意識を持たせ、何本もノックをするようにあらゆる事象を練習して置かなければ、いざ本当の危機や、或いは一世一代のチャンスのときに力が発揮できるはずがない。

そのために、組織が辛さという境遇を共有することは、とても重要なことではないかと考え。

共に同じ釜の飯を食うだけでなく、共に涙を流すくらい辛い場面を、最も信頼できる部下たちと一緒に悩み、議論して、何とかして乗り切る。これは、リーダーが意識して場面設定していけば、野球の練習と同じように設けることができる。

社内の会議や目標管理におけるリーダーの役目は、限りなくそれに近いものが生み出せ。

会社の成長は、境遇の共有者の数に比例すると言っても過言ではない。

練習に耐えられないものは去るかも知れない。しかし、残った者は、辛さを共有した戦友になる。それの数が多いほど、間違いなく組織は強い。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年5月13日 23:16