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リーダーについて  「活・喝・勝」


見る力

経営とは、航海のようなものだ。コロンブスは、約100人の乗組員を引き連れて、大西洋を西に向かった。大西洋にはほとんど島がなく、行けども行けども海で、一向に島が見えてこない。出航から二ヶ月経っても全く陸地が見えてこないため、船員の間に不安が募っていった。

コロンブス自身も内心は、予想を遥かに超える長旅となっていて、弱気になっていた。リーダーが不安になれば、当然組織は揺らぐ。

その結果、船員たちの不安はコロンブスへの不満に変わり、「後3日経っても陸地が見えなかったら引き返す」とコロンブスに約束させた。

リーダーの強い姿勢が崩れたとき、組織はリーダーに対する信頼感を失い、弱体化する。不安が不満に変わるのは、全てリーダーの責任である。

幸いにしてコロンブスは、約束の3日目にサンサルバトル島を発見、かろうじてリーダーの面目が保たれた。

経営をしていると、しばしば出口の見えないトンネルに突入することがある。

先の見えない長い長いトンネルだ。

しかし、日が沈めば翌日は必ず日が昇る。そして、また日が沈み、だまっていても日はまた昇る。地球が丸るいと信じることができれば、どんどん進めば必ず陸地に戻るはず。例え新しい陸地が見つからなくても、地球を一周したことは証明できる。

ここが改善できればと思い悩んでも、じっとしていては何も始まらない。

人さえ採用できればと夢を見ているだけでは、人は採れない。採用するためには金がかかる、もし採れなかったらと考えていたら、何も手を打つことができなくなる。

何事も動かなければ、絶対に動くことはできない。

リーダーが動き回れば、必ず結果がでる。リーダーが、動いても成果が上がらないと諦めたり、悩んだりすれば、組織もウツ状態に陥ってしまう。部下たちは、リーダーの心の持ちようを敏感に感じるものだ。リーダーの迷いは、良い結果を生まないのである。

結果の出ない長いトンネルに入った時、リーダーは、トンネルを照らす明るい性格でなければならないのだ。そして、先の見えないものを、リーダーにはこう見えるとメッセージを送る勇気が重要だ。

見えないものを見えるようにする力、これが構想力である。

見る力とは、見えないものを見ることができる力なのだ。見えないものを見えるようにするにはどうしたら良いか。つまり、構想力を高めるにはどうすれば良いか。

私の答えは、多くを見ることだ。見るものが多ければ多いほど、新しい発見があり、それをヒントに組み合わせたり、応用したり、逆さまにすることで、新しいものを生み出せないだろうかという見ようという気持ちが生まれる。これを日々繰り返していると、現実を見る力は、見えないものを見る力に変わる。

ここ最近は、毎日のように多くの社長と会食をする。どんなに酒が好きな私でも、体がボロボロになるくらいクタクタになる。

しかし、学ぶもの、発見するものの大きさは何事にも変えがたい。昼間の営業行為では、商品の商談などの話が中心で、夜にならなければ社長の生き方や考え方、将来像などを見聞きすることは少ない。

コロンブスという冒険家は、見えない大陸を見る力があったのだろう。具体的に目の前に見えるようになるまで描ければ、それは構想から信念に変わる。必ず見て見ようという実行段階に進み、成し遂げようと言う意地が生まれ、やがて見ることが達成できるのではないだろうか。

見る力がない人を見つけることは簡単だ。

見る力がない人に、見えないものを見せようとすると、できない理由を言ってくる。これに対し、見る力がある人に見せると、どうやったらできるかを言ってくる。そもそも見えないものなのだから、現実的に見える問題点を言っても始まらない。

見えないものという架空であり、目標であり、夢である将来の話をするのだから、未来志向の意見が出なければ話にならない。

不思議なことに、一般の営業マンや管理職と比べ、社長というポジションにあるトップの方は、見る力が高い人が多い。

見る力があるからトップなのかも知れない。もし、自分が、いつも現実的な問題点に目が行ってしまうような社長だとしたら、さっさと後進に道を譲ったほうが懸命だろう。

何故なら、どんなに見える力があった社長でも、年と重ねるたびに、経験が邪魔をして、見ないようにする力が生じてきてしまうものである。現に、若い社長ほど怖いもの知らずの夢を追いかけるタイプであり、常に先を見よう見ようとしているものである。

コロンブスは、大陸を発見して帰還すると、ある男に「ただただ西に西に向かっただけで、偶々島を見つけただけじゃないか」と言われた。

コロンブスは、民衆を前に「この卵を机の上に立ててごらん」と言った。誰ひとりと卵を立てることはできなかった。

コロンブスは、卵の下をコツンと割って机の上に立て「人がやった後から、どうこう言うのは誰にでも出来る」と言った。

社長は、誰かに言われてからやるのではなく、自分が最初に言い出すことが極めて重要である。自分自身が見る力を持って、新しいやり方をトップダウンで指示し、自らもその信念に基づいて突き進まなければ組織は動かない。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年6月16日 14:38