私は、雑誌に載っていた松下電器の中村邦夫社長の言葉が大好きだ。それは、このブログを始める直前だった。中村社長は、『私は「改革は若者にしかできない」と言い続けてきた。「若ければいいのか」と反論されることもあるが、私は必ずこう答える。
「若ければいいのです」と』とインタビューに答えていた。
私は、この「若ければいいのです」という一言がとても印象に残っている。
私の好きな詩に、サムエルウルマンの「青春の詩」 がある。
詩には「青春とは人生のある期間を言うのではなく、心の持ちようを言うのだ」とある。同じように、中村社長が言う「若ければいい」という意味も、若い気持ちが重要だということを言っているのだと理解した。
若さの特権は、失うことを恐れない自由奔放な考えと、真っ直ぐに突っ走る勢いだ。経験則からは語ることができない斬新なアイデアは、経験が豊富なものからは生まれない。多くの失敗を経験したものはリスクヘッジを行い、多くの成功経験をしたものは違ったやり方を嫌う。
常に失うことを恐れ、守りに入ってしまう。
だから、若くなければ改革はできない。
改革、革新ができる人、それを若者と呼ぶ。それは、考えてから走るのではなく、走りながら考えることで何かを変える、新しいものを生む原動力なのである。
しかし、中村社長の「改革は若者にしかできない」という言葉には、一般的に言う年齢が若いという意味も含まれている。一般論で言えば、年齢が若ければ若いほど、革新的な考えがある。けれど、年が取ったからと言って革新的な人間ではないというは言い切れない。
年を老いても、前述のように若い気持ちを持っていれば、年齢の若いものと負けないようなプラス思考でアグレシッブな考えを持つことだってできる。
ところが、中村社長は、若者の中にも、年を老いたような考えを持つものもいるのを承知の上で、それでも「若ければいい」と言い切る。
年が若くても保守的で、ネガティブな考えを持つものがいるとしても、「若い」ものに賭ける。
私は、正直に言うと、これを理解するまで、採用や抜擢するとしたら、若くてしっかりした考えをもつものか、年齢が行っても若々しい考えをもつものを選択していた。「若ければいいのか」と反論されたら、「若いだけではダメだ」と言っていただろう。
それ以来、「若ければいい」ということを大切に思うようになった。
もし、仮に年が若くても保守的で、ネガティブな考えを持つ者がいたとしても、それは偶々その人のこれまでの出会いや少ない経験がそうしているだけなのかも知れない。
人生の4分の1程度の年数程度で偶々そのような気持ちになっているかも知れない。たとえそのような状況であったとしても、残りの4分の3の年数で起こりえることなど誰も予測することは不可能だ。
たった一人との出会いで、その人の考えや、これから経験することで勢いを増すことだって十分あり、ないとは決して言えない。
その可能性と将来があるのが若者なのである。
だったら、私がその一人になれれば、その人の持つ可能性が最大限に引き上げられるかも知れないではないか。
そうして、私は、若い人に色々なことを任せることで、自信を持たせ、できるだけ早い段階で色々な経験をさせたいと思うようになった。
まだまだ若い人には負けない斬新なアイデアが出せるという思いも当然ある。しかし、そんなことを続けていては、斬新なアイデアを生む人を育てることができないとも考えている。ならば、私ができることは任せることしかない。
しかし実際には、任せるということは言うが易し、やるのは極めて難しい。普通は、自分ができることしか中々任せることができない。
しかも、自分でリカバリが効く簡単なものしか任せられないものである。自分しかできないと思っている間は、難しいことや、ましてや自分もやっていないことなど任せられないものである。
私は現在、3人の社長に経営を任せている。印鑑も通帳も渡してある。リスクは承知の上だが、信用することによって得られる効果は、信用しないで任せずリスクヘッジする効果よりも遥かに大きいと考えている。もし、仮に、裏切られたとしても、それは、私のどこかに落ち度があったからであり、その損害は私が負えば済むことだ。
こうして、若い経験の浅い人に、私は全面的に任せていく考えである。しかし、私自身がまだまだ若いせいなのか、何も言わないで黙っていることができないダメな性分がある。できれば言うことを少しづつ減らし、本当の意味で任せていきないだが、私がまだまだ成長したい気持ちがあるのか、言うというよりは伝えたい気持ちで一杯になってしまう。
それでも、誰にも負けないくらい任せることは意識しているつもりなので、仲間たちにはもう少しだけ我慢してもらって、任せることを常に考えていることだけは信用してもらうよう努力していきたい。
同時に、リーダーになった人たちには、任せることができるようになってもらいたいと伝えて行きたい。
最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。
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投稿者 :堀田信弘: 2006年6月21日 00:02