センスがある人。洋服のセンスがあるとか、経営センスがあるとかと言って使われる。辞書でセンスを調べると、物事の微妙な感じや機敏を感じ取る能力、判断力、感覚とある。
良いセンスを持ちたいものである。
つまり、物事の微妙な感じや機敏を感じ取る能力を持ちたいものである。
先日、ある経営者からとても良い話を聞いた。
横軸に"知識の幅"を表し、縦軸に"知識の深さ"を表すと、その面積は、知識という情報を元に形成された「視野の広さ」を表すと言う。なるほど、幅広い知識を持った人も入れば、専門分野に対して深い知識を持った人もいる。それを横×縦の面積で表せば、「視野の広さ」が表せるとは面白い。広く浅い人と、狭く深い人の知識レベルの「視野の広さ」は、変わらないのである。
であれば、広く深い知識を持っているほうが「視野の広さ」が広くなる。ところが、実際には、広く深い知識を持つというのは、中々困難なことであり、横軸か縦軸の一方に秀でるほうが遥かに現実的だ。でも、横だろうが縦だろうが、実は、努力次第で何とかなるものである。
経営者であるならば、この面積はできるだけ大きい方が望ましい。知識の幅が広ければ、
横展開という発想を生みやすい。そして知識が深ければ、業界唯一で先端なものを生む可能性がある。それが掛け合わさった時、斬新なアイデアとなる。
だから、経営者は、色々な人と出会ったり、多くの本を読んだりして、横軸も縦軸も広げようとする。これは当然のことであり、惜しんではいけない。
では、経営センスとは何だろうか。
言い換えれば、経営の微妙な感じや機敏を感じ取る力であろう。
経営の微妙な感じとは何か。それを感じ取る感覚とは何なのだろうか。
私は、センスとは「視野の広さ」を活かせる人だと思う。
どんなに「視野の広さ」があっても、その広さを縦横無尽に駆け巡り、必要なものを必要な時に、とっさに引き出せる力ではないだろうか。それは、当然、「視野の広さ」が広いほうが圧倒的に有利だ。しかし、情報に溺れてしまうようなタイプでは、身動きが取れなくなる。また、逆に、それほど「視野が広く」なくても、自分の持つ視野を存分に活かし、その時々に敏感に感じ取って、良いところだけを利用できる人もいる。
そういう意味で、センスの良い経営者とは、必ずしも「視野の広さ」とは比例しない。簡単に言ってしまえば、どんなに勉強しても知識だけでは意味がなく、それを利用して行動しなければ何の意味もないと言うことである。だからと言って、視野が狭くても良いと言っているのではない。
私は、部下に、ことある毎に「本を読みなさい」と言っている。それは、「視野の広さ」がないことは、何ら自慢できるものではなく、恥ずることだからである。
「視野が広い」人がそれを活かせないことを論じる前に、最低限の広さは必要だからである。だから本を読め。
その上で、「視野の広さ」に自惚れては行けないと言う。
「視野が広く」でも、センスがない人は経営者ではなく、評論家かコンサルタント、あるいは学者か、ただの情報通であろう。
広さを活かさなければ意味がない。ところが、センスを磨くというのは、「視野を広く」することより遥かに難しい。言わば、「視野を広く」するとはIQを高めることであり、センスを磨くとはEQ(心の指数)を高めるようなものである。
心の持ちよう、心の在り様とも言い換えられよう。
例えば、あるお客さんのところに営業に行った時、「こんなサービスではうちでは使えない。他社と同じような方法で提案してほしい」と言われたとしよう。とてもネゲティブな表現だ。
実は、私自身が営業をしてみても、お客から「ためらい」「拒み」「否定」と言った言葉を受けることがある。良く考えば、営業なんて仕事は、それが当たり前のように続くものであるが、精神的に弱腰になっている時や、体調が良くない時は、「これはダメか」と受け取ってしまうものである。
しかし、体調が良い時は、不思議に、先ほどの言葉が、ヒントに感じることがある。
「こんなサービスではうちでは使えない。他社と同じような方法で提案してほしい」ということは、うちの提案は珍しい視点からのアプローチだったのかも知れないと勝手に思い込む。ということは、「そこに何かチャンスはないか。」と考える。
例えば、もし担当者が違ったらどうか、或いは、もっと他社との違いを鮮明にしてはどうかなど、「ためらい」「拒み」「否定」をプラスに転ずる発想を持ってみる。これが体調が良くないと「ちだけがアホな提案をしていた」と思ってしまうものである。
これができるのは、体調が良いだけではできない。ある程度の「視野の広さ」がなければ、上と下を逆さまに見る逆転の発想や、問題点をニーズに変える視点の転換など「視野の広さ」を活かした柔軟な頭と、思い込みでも良いから勝手に感じ取る前向きな気持ちがなければ生まれない。
これは飛び込み営業を経験して、散々嫌な思いをしたもののほうが生まれ易い。確率的に考えれば、圧倒的に部の悪い飛び込み営業だが、100軒中1軒に当たった時の感激が、99軒の苦い思いを吹き飛ばすようなものであり、その嬉しさがなければ、とても飛び込み営業などやっていられない。それをやり切れるのは、基本的にはプラス思考でないと無理だ。
そんな中で、たった一軒の良いイメージを頭に入れ、当たり前のように降り注ぐ「ためらい」「拒み」「否定」を何とか良い方向に持って行こうとする。そのようにして営業センスが磨かれる。
経営センスも同じようなもの。
一々、お客からダメだと言われたことを引きずって気にしていたら、とても1軒のお客さんなど見つけられるはずもない。そんなに確率が悪いのかと悩む前に、そんなに確率が良いものが既にあったら、あなたの会社はもっと大きくなっているだろう。
センスとは、人の言った言葉を選択し、微妙な感じや機敏を感じ取る能力であり、かつ、良い手段を「選ぶ力」であろう。ヒントを見つけ出す力、これが選ぶ力であり、経営センスだと思っている。
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投稿者 :堀田信弘: 2006年6月25日 09:08