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経営者について  「活・喝・勝」


伸びる社員と伸びる会社

先日、設立したばかりのソニックブラスター(株)に中途採用者6人入社したということで、ドリームクラスター・グループ主催の歓迎会を開催した。

同じ子会社のフリーランスター(株)で稼動している技術者も35名を超え、もうじきグループ全体で技術者の数が50名を超える。年末までにフリーランスター社は、80名超を目指しており、ソニックブラスター社の20名とあわせ、今年中に100名規模になる。このまま推移すれば、来期のグループ全体の売上は10億円を突破することだろう。

ここ何日か、20名規模の社長、30名規模の社長、100名規模の社長とお会いすることがあり、偶々、何れも長年同規模で伸び悩んでいるとの話を聞いた。

IT業界には、昔から20名の壁、50名の壁、100名の壁などという会社が大きくなれないというジンクスがある。正確には、ジンクスではなく、20名、50名、100名規模の会社が多いということで、実態を表しているのに過ぎないのだが。

私は、以前から、この会社規模の壁について、社長の考え方が大きく影響していると感じていた。

先日お会いした社長の会社の特徴は、会社設立して5年から10年目の会社である。そして、低迷を感じ始めたのは3年前くらいが多く、中にはもう5年間低迷しているところもあった。つまり、会社ができて3年目から5年目に低迷期を向かえていることになる。

3つの会社は規模が違うが状況は非常に似ている。では、なぜそれでも規模に差がでるのか。そこから考えて見ると、ヒントが見える。

20名の会社は、設立メンバ4人で出資し、共に役員になって会社を3年程度で大きくしている。30名の会社は、10人の社員を引き抜いて、数年で20名増加させ30名になった。100名の会社は、大手メーカを退職した社長とその部下数名で設立し、一年間で30名ほどの会社にした。

これらの共通点は、ゼロからのスタートではないということである。

生まれた瞬間に立てるようになっていたり、あるいは走り回れる能力を持って誕生した。目も開くこともできず、おっぱいを飲むのがやっとの状態で生まれた赤ちゃんからすれば、実に恵まれている。しかし、そこに落とし穴がある。

同じ規模の会社でも、ゼロから一年間で30名になった会社と2年間で100名になった会社とでは、その成長性と新陳代謝力が全くことなる。ゼロから成長することができた会社は、壁というジンクスすら知らない。

生まれた瞬間に立てるようになっているということは、立つための方法を見出すステップを経験していない。生まれた瞬間に走り回れる能力を持っているということも同じで、どうやって走れば早く走れるかを研究する前に、オリジナルなフォームで走っている。

このような会社は、土を耕して、種を蒔いて、水をあげて花を咲かせるという重要なステップを飛び級しており、咲いている花をどうやったらもっと増やせるかで悩んでいるのと同様な現象になっている。

会社の生い立ちから見ると、このような似た特徴があるが、だからと言って20名からスタートした会社が悪いという訳ではない。ある会社は、20名がまとめてスピンアウトして、その後200名近い会社に急成長させた社長もいる。そこで、もうひとつの特徴は、設立時の生い立ちだけでなく、社長の性格、考え方が成長を鈍化させる要因であると言える。むしろ、社長の考え方のほうが高いウェィトを持つのだが、設立時の生い立ちも一緒になるのが不思議なものである。

その社長の特徴は、一言で言えば、「使えない」人だ。お金を「使えない」、人を「使えない」、商品を「使えない」。人、金、モノの経営3資源を使うことができないのだから、伸びるはずがない。

会社設立時、何かの商品や顧客を持って独立しているから、最初からモノがある。直ぐにでもお金が生まれる仕組みが構築できた訳だが、その商品を他に拡張したり、顧客を開拓したりする必要性に迫られていなかった。

そのため、低迷して初めて、新規顧客開拓や新商品開発に着手するが、商品を生む苦労、顧客を開拓する苦労を知らないから、明確な方向性が打ち出せず、あれもこれもに手をつけ始める。

その社長は、無借金経営を自慢していることもある。設立した直後から顧客がついているため、直ぐにお金が回っていた。そのため、資金繰りなど心配なしに、順調にスタートしたため、苦労してお金を集める術を知らない。

このタイプは、思い切った投資ができない。借金をして、必要なものに投資するというお金の使い方を知らないから、ある範囲のお金であれもこれもやろうとし、どれもこれも少ししかお金を掛けない。

このような社長が人を使えるはずもない。

20名の会社は、4人で設立したため、社長のリーダーシップが発揮できる環境にない。正しく言えば、リーダーシップがないから4人で始めたと言っても過言ではない。30名の会社は、引き抜いた10名が能力的に足を引っ張る時期を迎えている。100人の会社の社長は、大手の会社にいたから、中小企業にはできない社員が多くいることに納得行かない。

そろそろ結論を言うと、伸びない会社は、社長が人を使えないことが圧倒的に大きい。

人を使えるというのは、社員が伸び伸びと動け回れる環境を作ることだ。時には、皆の知恵を引き出し、時には何も考えずに走りまわさせる、危機感を共有し、成長することに共鳴感を持たせることが重要である。

他の会社にいた時よりも、自社にきてからのほうが伸び伸びと働けると答えられる社員は、明らかに伸びる。伸びる社員が多くいれば、会社も伸びる。これが伸びる会社を作るための答えだ。

ある意味でゼロ地点を経験するということは素晴らしいことだ。何もない状態は、失うことなど考えず、足すことだけに専念できる。その貴重な会社設立時の思いを経験していれば、例え失ってもゼロに戻るだけだと割り切れる。

マイナスになるのではなく、元に戻るだけだから気持ちの上で強くなり、攻めの経営ができる。

20という時点からスタートすれば、それ以下はマイナスに写るから、リスクヘッジを先に考える。だから、リターンの高いものに挑戦できない。

"何事にもチャレンジしよう"という標語を掲げている会社は、チャレンジできないことを表している。それは、全ては社長がチャレンジできないからである。同じように低迷期を向かえた会社でも、打開できた会社もある。

それは、社長がチャレンジした会社だ。古株の社員と思い切って決別したり、ナンバー2と勘違いしていた幹部を降格させたりすることをやっている。マイナスに戻るのではなく、ゼロに戻る勇気があれば、若い社員の何人かはゼロからでも再出発しようと奮起するはずである。

膿を出せば、会社は直ぐに成長を取り戻す。

人を使うということは、使えない人を使い続けることでなく、動ける可能性がある人にチャンスをあげることである。一人残らず、今よりワンステップ上の仕事をさせられれば、社員が伸び、会社が伸びる。社員が伸びないには、伸びない仕事ばかりさせて、伸びないことに諦めているからである。それは社長が悪い。伸びない会社は、社長が社員を伸ばしきれないからに他ならない。

現状維持を考えていたら、会社は間違いなく衰退する。普通に伸ばそうと考えても、経営の世界では現状維持が精々だ。成長させたいのであれば、リスクを覚悟した投資、施策を打たなければあり得ない。他から凄いといわれるくらいの投資しなければ、他より上には行けないのだ。それによって投資が失敗しても、他と同じレベルに落ちる程度と考えていれば気は楽だ。

社長よ、チャレンジする攻めの経営をしよう。そうすれば、必ず伸びる社員が生まれ、伸びる会社になる。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年7月17日 10:08