【堀田信弘の今日の語録】 『この会社は、きっと伸びるだろうな。他の会社と違うことができること自体に可能性を秘めているから。』


IT業界について  「活・喝・勝」


救う者は救われる

代金の支払い遅延、返品の禁止など、下請会社の利益保護のために下請法というものがある。昨年、一部法改正があり、これまで対象となっていなかったIT業界も対象になった。

注文書の交付義務というのものがある。親事業社は、注文書を交付して、注文を明示する。これまでは、注文書などの契約書が後回しにされ、とにかく作業に着手するようなことがあった。そのため、注文書が出ていないことを理由に、キャンセルされることがあった。

そのほかにも、親事業社は、受領拒否の禁止、下請代金の遅延禁止、代金の減額禁止、返品の禁止、買い叩きの禁止、報復措置の禁止などがある。

これらの禁止事項は、日常茶飯事に行われてきた。

大企業からすれば、中小企業などの下請会社は、奴隷のような存在としか思っていないようだ。

下請法が施行された今でも、法の抜け穴を探し、未だにイジメがある。例えば、下請代金について、下請代金の期日を定める義務というものがあるのだが、経営的な見方をすると、できるだけ支払いを遅くしたいと考える。キャッシュフローを考えたとき、入金後に支払いをするのであれば、問題なく経営できるのだが、これが逆になれば、借金をして先に払い、後から入金があるようなことが起こりえる。これを下請法では、大企業には、期日を明示し、しかも30日などの短期間で支払ってあげる義務が課せられている訳である。

法律では、検収に対し、受領を拒否することは禁止されており、検収日より起算して速やかに支払う義務がある。ところが、大企業は、納品を仮納品扱いにして、その後のテスト期間を経るという検収日を数ヶ月後に設定することがある。しかも、支払いは、法律では考慮されていない手形である。何ヶ月後も先の手形を出し、形だけは支払ったことになる。こうなると、下請会社は、納品後、半年も入金がないことが起こるのである。

下請法がでる前よりも、より一層手形で支払われることが多くなっている大企業も多い。

特に、元々電機メーカなどの製造業に分類されるメーカなどである。

先日、あるIT会社の社長とお会いした。

その会社は、三年ほど前、数億円の大規模開発をメーカより受注した。多額の借金をして、外注費や社員の給与などを払いながら、約一年間かけて、何とかやり遂げた。しかし、そのメーカは、仕様の認識をめぐって受領を拒否。会社は、予想もしていない倒産の危機を迎える。何度もメーカに掛け合うも、代金を支払ってくれない。

遂に、裁判に訴える。弁護士をつけ、多くの費用と時間を費やし、裁判に臨む。その間、会社は、社員のリストラを余儀なくされる。それでも、会社を倒産される訳には行かない、何とか代金が入ればとの思いで一杯だ。その甲斐あって、見事、裁判では主張を認められ、メーカは全額支払うことになった。

何とか命拾いをした会社は、やっと立ち直れると思った矢先だった。相手のメーカの担当者は更迭され、新しい担当者に変わった。挨拶に行くと、今後一切取引をしないと通告される。その会社は、そのメーカからの仕事がほぼ100%だったため、再び危機を迎える。

裁判で勝った代金よりも、最も大きな額の仕事が一瞬にして無くなった。

何十名もいた社員は、数名になった。毎日が金策にのみ失踪する社長。あと何日もつかのジリ貧な状態。もう一銭もお金を借りることもできない。

今、私に何ができるか考えている。

IT業界の下請構造を打破したい。大手の横暴に屈っせず、対等な関係でやり合いたい。

私も過去に、メーカの部長と大喧嘩をしたこともあるから、その社長の気持ちが痛いほどわかる。

でも、今は、相手が憎いというより、どうしたらその社長を救えるのかを考えている。私にそんな大きな力がある訳でないが、目の前で飛び込もうとする人を見て、止めない訳には行かない。例えこちらも傷つこうとも、偶々その場面に出くわしただけの理由であっても、止めないことはできない。だからと言って、助けられるかどうかはわからないが、放っておくことは私にはできない。

関われば、一瞬にして私の会社も吹っ飛ぶ。とても大きなリスクだ。今度は、私が助けを求める側になることも十分にある。

もっと早く下請法が施行されていればと思うと残念だ。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年8月 2日 08:14