【堀田信弘の今日の語録】 2010年9月 3日 『 左手と右手は、矛盾だらけだが、決して片方が無くなっても良いと言うものではない。矛盾の両輪は、私の目指すところ。』


起業・独立  「活・喝・勝」


来るものは拒まず

最近、わが社には、毎月4、5人位のペースで社員が増えてきている。それでも、応募してくれる人の数はまだまだ増えない。

起業家にとって、最初に直面する問題のひとつに、人が採用できないというものがある。

営業を採用したい、事務がほしいと願っても、応募がない。応募があっても、会社を作ったばかりの社長だけがいる小さな事務所に、入社してくれる人は極めて稀だ。

優秀な人材がほしいのは当然だが、優秀どころか応募すらない。例え応募があっても、ろくでもないものしかこない。少しだけまともな者が来て内定をあげても、辞退されてしまう。こんな日々が続く。

私も、これまで何百人もの採用面接を行ってきた。

今の会社を作る前の、バブルが崩壊した不景気の頃は、募集をすると必ず応募があった。新聞社主催の合同新入社員説明会では、私の会社には、長蛇の列ができるくらい人が集った。その会社は、比較的優良な顧客を持つ会社であったので、その頃の私は、選ぶ側という気持ちが強かったかも知れない。

ところが、ある地域に進出するために、事業所を作った時は、中々人が集らなかった。私の机がひとつがあるだけで、全くのゼロからのスタート。システム会社の事業所だから、人がいなければ成り立たない。毎日が採用のことだけを考え、面接、面接の日々だった。その頃の私は、何か面白そうな人物だったら全て採用するつもりで臨んでいた。

しかし、その当時の私は、起業した訳ではないから、本当の意味で、起業社長の気持ちは判らなかったかも知れない。

なぜなら、応募があった人に、会社パンフレットを見せ、会社の実績を説明するからである。

起業をするとそうは行かない。パンフレットもないし、あったとしても実績がない。

私は、次第に採用とは50:50の関係だと思うようになった。お互いが選べるのだから、こちらも応募者に誠意を表さなければダメなのだ。この採用は50:50という考えは最近までそう思っていた。

しかし、景気が良くなると、もはや50:50の関係では成り立たなくなった。大企業がどんどん採用を増やし、少子化社会も相まって、益々採用が難しくなることが予想される。中小企業は、選ぶのではなく、選んでくれた人を大切にしなけれならなくなった。50:50ではなく、0:100になったのだ。

今、学生に最も人気がある業種に、外食産業がある。理由は、2、3年後に店長になれるからだそうだ。アルバイトを管理し、プチ経営者になれるからだ。それと、もうひとつの理由は、採用間口が広いことにある。

高卒の人も入れば、専門学校生も大卒もいる。学部も様々で、一流大学も三流もゴチャ混ぜで採用する。その訳は、能力よりもやる気を優先しているからだ。逆に言えば、やる気さえあれば、学歴や能力に関係なく、誰でも店長になれるシステムができあがっているからと言えよう。

優秀な人材が来ないと嘆く前に、普通以下の人材が来ても機能するシステムを構築できるか、これが、これからのベンチャー企業には大切なのである。

そして、起業したばかりは、社長の理念や志に共鳴してくれた人を集めることが最も大切なのである。応募があった人材が、社長と会社を選んでくれた共鳴者であれば、能力よりも優先すべきなのである。それが私が言う0:100の考えである。

ベンチャー企業の社長は、人材の能力があるかどうかを見極めるのが仕事ではなく、人材を口説くのが仕事なのである。内定を出して、辞退されるのは、その社長に魅力がないからである。辞退されることは恥ずべきことだと自覚しなければ行けない。辞退されたのは、自分に口説く能力がなかったのである。もし、口説く能力が高く、辞退されなければ、必然的に応募者の中では最も優秀な人材が採用できるはずである。優秀な人材が採れないのは、社長が優秀でないからだ。

起業は、仲間創りと言っても過言ではない。人が集らないことを経験した起業家であれば、誰でも来てくれた人のことを仲間と思うはずである。社長や会社の理念に共鳴して集ってくれた仲間であるならば、能力以上の力が発揮できるはずだ。そして、社長は、理念に共鳴してくれた仲間のために、乏しい能力でも発揮できるシステムを創らなければならないのである。

0:100というと誰でも良いから採用しろというのと誤解を招くかも知れないが、そんなことは言っていない。理念に共鳴できないのなら、それは仲間とは言えない。給与や待遇で選ぶのならば、同じような会社はいくらでもあるから、何れ去る日が来るだろう。

私は、今の会社を作った時、来るものは拒まず去るものは追わずと決めた。仲間として参加してくれる人は、拒みたくない。ただ条件はひとつ、仲間か否かだ。

このブログも私の考えを知らせるひとつになっている。このブログを通じて多くの人と知りあうことができた。採用だけでなく、社長同士の仲間創りも、これまた起業家の仕事なのだと思う。社内だけでなく、外部にも仲間がいなければ、会社を起動に乗せるのはできない。

起業は仲間創りだ。そのためには来るものは拒まずの精神がなければ、人は集ってこない。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年9月 9日 10:56