「うちの部下はやる気がない」とぼやく上司がいる。その上司は、ボヤク前に自分が能力のない上司であることを認識し、ハーズバーグの動機付け要因論を勉強すべきである。
論によれば、働く意欲には、衛生要因と動機付け要因の二つに分類できる。衛生要因(ハイジーンと言う)とは、簡単に言え不満の元となる要因である。そして、動機付け要因(モチベーターと言う)は、満足の元となる要因である。
言い換えると、衛生要因には、これが満たされないと不満に感じることがあるが、これが満たされたもやる気がでるものではない。つまり、マイナスの方向に左右するバロメーターなのである。例えば、給料は安すぎれば働く意欲は起きないが、だからと言って一時的に高くしてもそれで満足というもにはならないのである。永遠に満たされることのない要因とでも言えよう。
経営者としては、この衛生要因は、最低限、一般以上になるように努力すべきである。だがしかし、例え給与を高くしても、決してその人がその会社に満足かと言えば、必ずしもそうとは行かない。現に、私が経験した限りでは、自ら進んで転職を考える人間は、概して優秀なほうで、比較的給与も高い人のほうが多い。それは、動機付け要因に対する施策が何ら取られていないか、あるいは、衛生要因のことばかり考えているため、他社の衛生要因を気にする社員にしてしまったことなどが考えられる。
衛生要因とは、人間で言えば、短所をできるだけ少なくするようなものである。少し飛んだ例で言えば、気に掛けていた異性が、鼻をほじっている姿を見たら、それだけで冷めてしまうだろう。かと言って気にもかけていない人が、鼻をほじっていないからと言って、それだけでその人を好きになるはずもなく、極当たり前としか感じないであろう。
つまり、衛生要因とは、会社が社員に、短所と言われないような最低限のことをなすべき事項なのである。これができていないと、鼻をほじった姿を見たのと同様に、一発で会社を嫌いになるものと言えよう。
一方、動機付け要因は、プラスのバロメータを表す。
衛生要因のように、たった一点で不満足がおきるものではないが、これがないとより頑張ろうという気持ちが起きないのである。人間で言えば、長所。先ほどの異性で言えば、どこか一点の仕草や、かけられた言葉で、一瞬にして恋に落ちるようなもの。理由もなくどこかに引かれ、やがて論理的に好きになった理由という長所が整理されて行く。まさに、感情の世界。
動機付け要因は、その名の通り、モチベーションの高さを意味する。
仕事の内容や、責任範囲、権限、達成感や成長性など、人それぞれモチベショーンの高さに寄与するものは異なる。社会性や正義感をあげる人も入れば様々である。
つまり、給与や制度、福利厚生などと言った会社で画一的に決める衛生要因とは異なり、動機付け要因は、上司との相性や、社風、社長の人柄、リーダーシップ、会社の事業内容、社会的な関わりなど、人の気持ちを揺れ動かす形のないものである。
衛生要因については、世の中に恥じないような最低限のレベルを維持すれば良いが、動機付け要因については、まさに経営者次第なのである。経営者が、動機付け要因に関心がなければ、決してモチベーションが高い組織などできるはずなどない。
「うちの部下はやる気がない」とぼやく上司は、動機付け要因に対し、何ら手を打っていないのである。つまり、それは、無能な上司であることを意味する。そして、そのような部下があちこちの部署にいるのであれば、経営者は、その無能な上司から問題点を聞き出せていないもっと無能な経営者ということになる。
やる気を起こさせるには、心に火を付ける以外にない。それは論理的なやり方ではなく、人が人を好きになるように、一人ひとり違う訳であるから、長所に光りを当てて真剣に付き合わなければそう簡単なものではない。
勿論、会社として画一的にやれる人事異動や、昇進、権限の明確化、表彰などは行うにして、それ以外の社長の人柄、リーダーシップなど社風を決定するようなものは意識して長期的に、かつ永遠に向上させる意欲を社員に示さなければダメだ。
私の会社は、恥ずかしながら、衛生要員は極めて低い。社員に申し訳ない気持ちで一杯である。福利厚生制度もないし、給与も十分ではない。でも、私は、モチベーションの向上については、社風として全員が一致して取り組んでくれていると感謝している。感謝していると言うのは、私が積極的に働きかけなくても、進んでモチベーションの高い社風の確立しようとしてくれているからである。
そんな私がやれるのは、最大限の権限委譲、自由な行動、抜擢、そして、仲間として真剣に話すことだけである。どんな大きな会社になっても、末端の社員とも一対一で何時間でも話す時間は確保するつもりだ。これ以外の仕事は、全てその他の人に任せる。
「うちの部下はやる気がない」とぼやく上司がいたら、まず、自分のモチベーションを高めるにはどうしたら良いか考えることだ。自分自身がその社風の中で、モチベーションが上がっていないのに、部下にやる気が生まれるはずがない。自らが、会社を改革するつもりでいれば、部下も上司について行くだろう。経営者は、そのような上司が現れた時に、自由と権限を持たせてやらせることができるかが問われる。それができなければ、やる気の生まれない会社は、社長の性格そのものとしか言いようがない。
そして、社員は、そのときまで我慢していた衛生要因の低さに気がつき、遂に会社を辞める。そのような会社では、早く気がついたほうが優秀だということだ。だから、給料が高い人ほど辞めて行くのだ。しかも、社長の姿を目の前で見ている職位が高い人ほど、去ってしまうものなのである。
最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。
感謝。 毎朝6時に社内朝礼ブログをこちらで公開しています。こちらもご覧頂けたら幸いです。
この内容に共感頂けたらこちらをクリックして下さい。ありがとうございます。
※このブログは日本最大級の社長動画サイト賢者.TVのランキングで堂々第一位となりました。
投稿者 :堀田信弘: 2006年9月14日 08:06