【堀田信弘の今日の語録】 2010年7月31日 『衰退の陰は、発展と共に常に忍び寄っている。』


求める人材  「活・喝・勝」


利用し活用する

サラリーマンにとって、最大の決断とは、入社する時と退職する時だろう。特に、退職する時は、本来重要な重い決断をしなければならないはずだ。ところが、サラリーマンにとって最大で唯一の決断が出来ない人がいる。

退職理由は人それぞれである。でも、決断した結果なのだから、その退職理由は、重いはずだ。

採用に応募してくる中途採用者の履歴書には、何度か転職を繰り返している人が見られる。中途採用なのだから、必ず一度は前職を退職してきているのは間違いないが、何度か転職を繰り返す人の中に、本当に決断しての末なのかと思われるものがある。

退職する時、誰もが迷うはずだ。現在の会社で起きている様々なこと、これから起きえること、過去、現在、将来を見渡して、自分がこの会社いるメリットとデメリットを分析する。

この時、メリットのほうがデメリットより上回れば、そこで退職を留まるだろう。しかし、通常は、退職という二文字が頭に浮かんだところから、もう既に退職への流れは生まれている。だから、退職する理由は、当然、今の会社にいるメリットよりデメリットのほうが大きいということになる。

では、このデメリットが上回った退職理由とは、どんなものだろうか。

退職理由を大分類すると、プラス要因とマイナス要因に別けられる。プラス要因というのは、言い換えれば前向きな理由である。「ここではやり尽くした」「他にやりたいことがある」「もっと大きなものに挑戦したい」など、現在より将来への夢やステップアップのために退職するというのが、プラス要因である。つまり、現在の会社にいて実現できるのかと、別の会社に移って実現できるのかを比較して結論を出したものである。

一方、「給与が安い」「上司と相性が合わない」「自分の評価が低い」「会社の雰囲気が悪い」など、過去から現在に発生している事象に突き当たり、回避、逃避しようというのがマイナス要因である。言い換えれば、これらの理由は”逃げ”だ。

マイナス要因の中には、残念ながら自分の問題ではなく、会社が潰れそうで給与が滞っているとか、セクハラとか、パワハラとか、環境要因も含まれる。だから、一概にマイナス要因だから悪いと言っているのではない。

問題は、退職と入社というのは、サラリーマンにとって最大で唯一の決断であるはずなにに、それができていないことである。

退職するかいないか十分に悩んで、将来を予想し、現在よりも転職したほうがメリットがあるときちんと考えた末の決断であったのなら、プラス要因であれ、マイナス要因であれ問題ない。このように悩んだ末に決断し、将来に向かって失敗しないように真剣に転職先を考えるから、転職の失敗の可能性は低くなる。

ところが、真剣に悩まず、その場の気分、勢いで流れにのるように退職した人、これは決断を伴っていない。このタイプは、退職理由に、マイナス要因を上げる人が圧倒的に多い。「給料が安い」「仕事がきつい」などのマイナス要因から、逃げ出した人だ。将来の夢や目標に向かって退職するプラス要因とは異なり、マイナス要因から逃げ出した人は、もう一度逃げ出す可能性がある。

一旦、与えられた環境から逃げ出すことで、次の安楽できる環境を得た人は、その環境が時と共に変化して行くと、再び逃げ出すことで安楽を得ようと考える。

しかも、決断という重要な決意を持った人と違って、流れるままに現状から逃げた人は、再就職先の選択をも失敗する可能性が高い。

何度も転職を繰り返す人のうち、逃げだしたマイナス要因を言う人は、転職を安易に考えているから、再就職先の選択も安易になる。短期間で退職を繰り返し、「入社したけど、思っていたことと違った」と平然と言う。自分が会社を見る目がなかったというか、真剣にその会社が自分にあっているのかを悩み決断していないから、そういう結果になるのだ。

何度も転職を繰り返す人であっても、プラス要因で決断して退職した人は、転職の度にステップアップしている人もいる。転職の度に、キャリアアップし、より自分が成長して、高い目標に向かっているのである。

転職が上手く行っている人をさらに分析すると、与えられた環境を最大限に活かして、成果をあげている人が多い。今の職場、今の役職、ポジション、役目の中で、自分に合うとか合わないとかを言うのではなく、必ず答えを出す。つまり、与えられた現状をきちんと卒業しているのである。その上で、より高いものがここで実現できるのかを問い、時には会社に求め、その上で、転職を決意する。つまり、会社を無事に卒業していくのである。

私は、社員に「会社を利用し活用しなさい」と言っている。

利用というには、利点を見出し、用いることである。欠点を見つけてばかり言っていても始まらない。活用は、その性質を最大限に活かすことである。利用し活用するということは、会社の持っているポテンシャルを把握し、そのフィールドの中で走り回ることである。

走り回った末に、そのフィールドでは狭いと考えたら、そこを卒業すれば良い。そして経営者は、常にフィールドを大きくする努力をしなければならないのだ。退職する人を留める暇があったら、同じ理由で新たな退職者が出ないような経営改善をすることが重要なのである。それは、社員と経営者との競争なのである。社員が走るスピードが速ければ、退職者が増える。いち早くフィールドを大きくすることを一刻も早く取り組む必要がある。

会社を利用し活用させる。それが社員も会社も成長することに繋がると、私は確信している。

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投稿者 :堀田信弘: 2006年11月29日 08:43