ナンバー2とは、企業で言えば参謀か、名補佐役と言えよう。私は、これまで数多くの経営者とお会いしてきたが、社長は勿論のこと、ナンバー2的存在の人とも沢山出合ってきた。
私自身、以前の会社ではナンバー2の立場を経験したこともあって、ナンバー2の役割は、私なりに理解しているつもりである。
ナンバー2が存在する企業を分析すると、3つのパターンに分類できる。
ひとつは、ナンバー2がしっかりしていない企業。
この企業の特徴で多いのは、創業時に、実力とは別にやむ得ずナンバー2となった場合や、あるいは、ナンバー2がずっと存在しないまま来て、途中から中途採用などで抜擢した場合などの会社が多い。
このような企業では、社長のリーダーシップが強烈で、ナンバー2と言っても、名目だけで実質的に機能していないことが多い。ところが、企業規模で言うと、不思議なことに、小さい企業と大きい企業の両極端に分かれる。ナンバー2が形だけであっても、トップがしっかりしていれば、比較的大きな組織を動かすことができる。しかし、トップがしっかりしていなければ、 30人以下の小さな組織しか形成することはできない。
この組み合わせは、単に人数だけでなく、上場するような会社もあれば、ジリ貧になる会社もあることから、ナンバー2の存在にはあまり関係のない組織体と言えるのではないか。上場するような会社もあるわけだから、ナンバー2がいなくても、トップがリーダーシップを取れて、トップへの信頼が厚い組織であることが条件であろう。
昔のダイエーや西武がそうであったように、王国型の組織だが、トップへの依存が強いため、自立的に機能することが難しい組織と言えよう。しかも、一般的には、ダイエーや西武のようなある意味で成功したケースは稀で、大体は数百人規模の組織になるとナンバー2なしでは難しくなるだろう。それを知ってか、ナンバー2をほしがっているこのような企業は、コロコロとナンバー2を入れ替える傾向も見られる。
一方、トップよりもナンバー2のほうがしっかりしている企業もある。
この企業は、少人数から創業した企業でも、100~200人くらいまでの中堅企業に育つ可能性を秘めていると思う。このような組織でのナンバー2の役割は、一般的に多いのは番頭型である。トップの豪快さや、曖昧さとは異なり、ナンバー2が細かいところを詰め、実務を一手に引き受けている。こういう企業は、安定性が抜群で、堅実、着実というイメージが強い。
私が知る限り、このトップとナンバー2の組み合わせは、IT業界では、一番多く組み合わせのように思う。
また、社長が外交的な企業ほど、この組み合わせが見られる。逆に言えば、トップが営業などの渉外活動をするため、ナンバー2はやむ得ずか必然的かは別にして、社内の内部統制が中心になる。だから、トップより細かい調整や事務など事務的な動きがテキパキとできる人が、ナンバー2に相応しいと言える。
この二人の最大の弱点は、役割が異なることだ。役割が違うから二人三脚でという利点があるように思えるが、実際には欠点のほうが目立つ。そもそも、トップとナンバー2は、対等の二人三脚ではない。ナンバー2は、トップを補う、あるいはトップの方針を具現化することにある。だから、トップとナンバー2は、横に二人並んで、左右の両輪ではないのだ。
水平ではなく、垂直な関係が重要なのである。
トップがハンドルとすれば、ナンバー2はそれを実現するエンジンであれば良い。そういう意味での役割分担であれば良いのだが、トップよりナンバー2のほうが優れていると、エンジンが持て余すのである。何のハンドル操作もなければ動くこともできないし、宝の持ち腐れになる。
このような組織のナンバー2の人と話すと、トップの無能さに嘆いている。
「始めのうちは、二人の性格の違いが上手く行くと思った。」と言う。しかし、自分が頑張れば頑張るほど、トップの姿勢、行動、考え方に不満を持つようになる。もはや別れたほうが懸命だ。
トップに不満を持ったら、役割分担はできない。トップがハンドルを動かさないのであれば、ナンバー2がトップに変わってハンドルを動かさなければ組織は不幸である。
私は、このような関係に陥る最大のポイントは、二人の金銭感覚が関係しているように思う。このような二人の組み合わせでは、ほとんど場合、トップはお金を使うが、ナンバー2はお金を使わないことが多い。どうしても内部管理が中心になると、使えなくなるものであるが、それだけではなく、トップのお金の使い方が理解できないため、不満を感じ、使えなくなるのである。
極めて少ない組み合わせだが、トップもナンバー2も共に顔が見えるコンビが稀にいる。これが第三のパターンだ。
この組み合わせは、急成長を生み出す原動力を持っている。前述のコンビと異なり、役割分担ができているだけでなく、最大の特徴は、ナンバー2が優秀でいながら、トップを支えていることにある。
そして、保有する能力の分野が比較的近いことがあげられる。営業と技術のようなソニーの盛田と井深のコンビは例外だが、一般的にこの組み合わせは、どちらも営業とか、どちらも技術という組み合わせが意外に多い。
同じ営業という分野でも、二人の関係は、明らかに考え方が異なり、かつやり方も違う。だが、明らかに二人には差がある。その差をナンバー2が認めているのだ。だから、トップが取りこぼしたものを拾ったり、あるいは、進んで特攻隊になったりして、トップを支えられるのだ。
このような同じ分野を知る二人だから、金銭感覚も比較的近い。だから、トップはトップ、自分は自分で決済し、お互いに使い方に対し不満を持つことが少ない。
数多くあった経営者の中で、この組み合わせは、ほんとうの稀だ。稀だから、あまり確率的なことはあてにならないが、私が知っている中で、この組み合わせで上手く行っているのは1種類しかいない。それは、トップとナンバー2との年齢の差がないか、あってもそれほど差が大きくない。また、ナンバー2が若干年上のこともある。
稀というのは、ここに理由がある。一般的に、年齢が近いと大半は、トップを支えようという気持ちは薄くなるものである。この年齢の差は、若い頃ほど乗り越えるのは難しいものである。年齢が上でもトップに不満を感じるのが普通なのだから、年齢が逆転していたり、同い年でトップを支えるという気持ちを持つのは至難の技だ。トップが魅力的で、ナンバー2がトップを尊敬し、謙虚でなければあり得ないのである。これは、一方でなく、両方が素晴らしいということを表しているのである。
二人が素晴らしいのだから、成長しないはずがない。
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投稿者 :堀田信弘: 2007年1月 2日 06:26