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障害者について  「活・喝・勝」


小さな出来事と大きな出会い

金曜日の夜は、毎週新幹線で茨城の自宅に帰宅する。途中、小山駅から水戸線に乗り換え、東京駅から2時間を経て自宅に着く。

水戸線は、小山駅と水戸駅を結ぶ単線の電車。運行は、一時間に一本。地方のローカル路線だけあって、昼間こそガラガラだが、朝晩は通勤、通学の人たちで座れない時も多い。

先日、小山駅に着いた。水戸線が動いていない。このようなトラブルは、単線の電車には結構多い。どこかで事故や故障が発生すると、全てが止まってしまう。小山駅は、始発、終点であり、折り返し地点になっているから、上り電車が到着しなければ、下り電車はない。

私は、下り電車に乗るため、前の駅で車両故障を起こした上り電車を待っていた。

30分ほど待った。

駅員からのアナウンスによると、故障場所が特定したとのことで”間もなく”復旧の見通しだと聞こえる。

それから30分。未だに復旧しない。水戸線が4両編成の短い電車だ。しかし、一時間も経つと、次の電車に乗る予定の乗客も集ってくる。

やがてホームには多くの人が待つようになった。

再び、駅員から復旧作業に戸惑っており、後続の電車と連結して、小山駅に向かうとアナウンス。復旧時間は未定に変わった。

さすがに、1時間以上も冬の寒いホームに立っていると、ストレスも溜まってくる。乗客のみんなは、イライラし、何人もが駅員に状況確認に行く。携帯電話で家に連絡する人も増え、ホームはざわついてきた。

再びアナウンス。もはや何を言っているのか判らない。余計にイライラする。都会のように迂回方法がないから待つしかないのだが、納得できない気分で一杯だ。

時間が経過していくと、ホームには入りきれない人で一杯になった。

私は、本を読んで気を紛らわせていた。そのため、傍にいる人のことを気にしなかった。いつの間か、私の隣には、中年の女性と30代の女性がいた。

顔を見て、一瞬、心臓がきゅーんとなるのが判った。

彼女たちは、不安そうな顔をして、今にも泣き出しそうな顔で、手話でやり取りしている。

私は、手話が判らないから、ゆっくりと大きく口を開いて、「どこまで行くのですか」と尋ねた。中年の女性は、私の右手を取って、手のひらに駅名をひらがなで書いてくれた。

私は、「もうすぐ来ますよ」と応えた。

耳が聞こえない人にとって、今、何が起きているのか判らないことは、私のようにイライラするのではなく、不安になるのだと初めって理解できた。

やがて、故障車両は連結されてホームに入ってきた。電車を切り離し、2時間以上遅れて下り電車は出発した。

電車の中は、満員電車。私の隣には、彼女たち二人がいる。こんなローカル電車で山手線のような満員になることはない。考えて見ると、車窓から景色が見えないと、どの駅に着いたのか判らないものである。車内のアナウンスが聞こえないとなれば、もはやどこを走っているかなど正確に把握できなくなってしまう。

私は、駅に着くたび、駅名をゆっくりと話してあげた。彼女たちは、私から駅名を聞くたびに、嬉しそうにニコニコしていた。

彼女たちが降りる駅に着いた。二人は、私と握手し、満面の笑みで降りていった。

私は、今日、彼女たちと出会わなかったら、きっとイライラして自宅に着いたことだろう。一週間ぶりに我が家について、妻と子供たちが楽しみに待っているのに、イライラして帰るハメになっていたことだろう。

彼女たちのお陰で、子供たちに貴重な経験をした話をすることができた。

小さな出来事で大きな出会いができた。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2007年1月14日 09:31