長女の小学校の卒業式に出席した。
彼女は、障害を持って生まれた長男の年子の妹ということもあって、いつも良い子でいようという気持ちを持っていたように思う。
4歳の頃、初めて予防注射に行った時。泣きじゃくる他の子供たちの姿を見て、私に尋ねてきた。
「なぜ泣いているの」
「注射が嫌なみたい」
「なぜ注射が嫌なの」
「痛いと思っているみたいだね」
「注射は痛いの」と不安そうに尋ねる娘。
「痛いよ」と私は応えた。
「どうして注射をするの?」
「病気にならないようにするんだよ」....「痛かったら泣く?」
「泣かない。病気になりたくないもん」
「そう強いんだね」
他の親は、「注射が終わったら何か買ってあげるから、泣かないで」となだめている。私は、娘が小さな頃から、真正面から向き合った。
注射が終わると、「痛かった?」聞く。
「うん、痛かった」
「泣かなかったの?」
娘は目に涙を浮かべながら、「うん、泣かなかった。お医者さんが強いなと言ってくれたよ」と必死に応えていた。
「そうかよかったね、強いんだね」
帰宅すると、妻に「お医者さんが強いねと言ってくれたの」と自慢げに話していた。それから、8年が経った。
そんな娘が、卒業式が終わり、教室に戻ると、みんなの前で大声をあげて泣いた。
娘は、四月から自分で選んだ中学校に行く。教室の仲間との別れを惜しんだ。
卒業文集に、『私は、特別支援学級の先生になりたい』と娘の夢が書いてあった。『理由はふたつあります。ひとりは、お母さんのような先生になって、色々な子供たちのためになりたいからです。もうひとつは、お兄ちゃんがどんどん成長する姿を見てうれしかったからです。お兄ちゃんの障害がよくなるようにしたいです。』と書いてあった。
卒業おめでとう。
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投稿者 :堀田信弘: 2007年3月24日 11:40