【堀田信弘の今日の語録】 2010年7月31日 『衰退の陰は、発展と共に常に忍び寄っている。』


企業経営について  「活・喝・勝」


親孝行と親不幸

全ては親が悪い。自分が生んだ子だから、親が子の運命を勝手に決めていいのだろうか。私は、そうは思わない。医者の子供は、医者を目指させ、政治家の政治家になる。いわゆる世襲。

私は嫌いだ。

最初の親は、無一文から、ぺんぺん草も生えていないところから始める。何もないところから生み出す。創造する。だから、そんなことを成し遂げた人は偉大である。それが親であるならば、尊敬し、敬愛することは何ら不思議ではない。

敬愛し、憧れとなり、目指す存在となるのは、子として当然なのかも知れない。

理解できなくもない。しかし、これが政治や経営となると素直には認め難い。千代の親が作った組織のトップになることには、私は好きじゃない。

お金や建物という有形なものはどうでもよいが、人脈や看板、ノウハウのような無形な財産を継ぐことが私には許せないのだ。ぺんぺん草から木まで育てたその苦労を知らずにして、血縁というだけで簡単に継承する。そのような人が組織のトップとして相応しいのだろうか。百歩譲って、仮にその組織の中では最も能力が高く、その子がその組織の中では最も継承者に相応しいとしたとしても、ダメだ。

稀に江戸時代の将軍や、世界で最も世襲が成功している天皇家のようなものは存在するが、一般的に世襲で、その組織が右肩上がりで成長するとは思えない。

創造を成功させた初代の親を越えるような、子が登場しない限りありえない。創造を成功させた親を越えるというこは可能なのか。

私の答えはノー。

なぜなら、親を尊敬し、敬愛し、目標にした時点で、もう既にその人が最大に成功したとしてもその親レベルである。目標が閉鎖的で排他的で、小さすぎる。親がやれなかったことを目標に掲げない限り、親を越えることはできない。

親が一番上と思った瞬間、その子は親以上にはなれない。

親が問題だ。

親が、”自分のようになれ”というような育て方をする限り、その子は親以上にはなれない。”自分のように”と自分を目標とさせることで、親を越えられない子を育てるのだ。

親以上の子に育てたければ、「親の後は継ぐな」、「親と違ったことをやれ」、「大きな目標を持て」と親を越えることの意義を伝えないといけない。

親が問題だ。

子供には罪はない。むしろ、けなげに、親の後を継ぐことが、最大の親孝行になると思っている姿に悲しささえ覚える。私が悲しく見えるその子は、自分では悲しいとなど思っていない。親を目標に、親孝行に向かっていると満足げである。

そんな子にしたのは親の問題だ。

親が、子に親孝行を求めている。親孝行をされたいと考えている親は、子供の幸せをどう考えているのだろう。

子供に余生の面倒を見てほしいと言いたいのだろうか。親が余生を向かえる頃、子は働き盛り。親の都合で、子のやりたいことや、子の人生をも、親の身勝手で一方的に決める。親が決めないにしろ、親が「みなくてよい」と言わない限り、子は自発的に親のいわんやを推測することになる。それで親の面倒を見なければ、その子は親不孝ものになる。

そんなアホな。

子を親不幸ものにさせたくないなら、親は、子に告げなくてはならない。「おまえはおまえのやりたいことをやれ」と。それが本当に子供の幸せを考えた親の責務ではないだろうか。

幸か不幸か、残念ながら既に二代目や三代目を継いでいる人。私は、その人のことを嫌いでもないし、批判している訳ではない。できれば、継いだ以上、親を越えるような事業に挑戦し、千代を超える経営者になってもらいたいと思っている。

でも、その人が、有能な経営者なら、我々の世代で、もう辞めようじゃないか。次のリーダーは、外部から入れると宣言しようじゃないか。そして、本当に子を愛するなら、「お前には後は継がせない」と言おうじゃないか。

親が悪いんだから、我々が親になった時、我々こそが、それを断ち切れるリーダーなければならない。その瞬間、その人は、親を越える。そして、これまで右肩下がりのジリ貧になった組織を、外部のシガラミのない有能な人間を新しい風を起こすリーダーとして向かいいれれば、その組織は再び息を吹き返すだろう。

偉大な親が創造した組織をもっと発展させたければ、世襲を断ち切ることだ。

偉大な親を越えた子こそ、親孝行ものではないのだろうか。

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投稿者 :堀田信弘: 2007年4月14日 09:45