【堀田信弘の今日の語録】 2010年7月31日 『衰退の陰は、発展と共に常に忍び寄っている。』


経営者について  「活・喝・勝」


知識と教養

一ヶ月に何十人もの人と名刺交換をしているが、非常に稀に、名刺交換の瞬間に他の人とは違うと感じることがある。先日お会いした29才の若い社長がそうであった。

風貌は、銀行マン風で、まじめで清潔な感じだった。見た目は、笑顔が素晴らしく、好青年という感じだが、話方は同年代と思わせるぐらい堂々としており、かつ、丁寧で品のある話方だ。

年齢よりも若く見えるような格好をしたり、若者風の砕けた話方をする人がいるが、それは品がなく思う。ところが、この若い社長は、見た目は、見える通りに若々しく、年相応だ。しかし、性格は年齢以上にしっかりしている。

席についた瞬間、私は尋ねた。

「社長は、社長になって何年くらいになるのですか」と。

予想通り以外な答えだった。

「丁度10年です」

19才から社長をしているということだ。

私の直感通り、極めて珍しい稀な人と出会った。

その社長によれば、高校卒業後、直ぐに父親が経営する保険代理店に就職。父親とたった二人の小さな会社で、営業を学び始めたその矢先、父親が事故で突然亡くなったらしい。既存の顧客がいることから、必然的に社長を継ぐことになったそうである。

なるほど、10年も社長をしていれば、普通の29才の若者とは、経験した数も、苦労も違うはずだ。堂々と見えたのは、そういうことだったのか。

これまでも、大学在学中に起業をしたという社長とは何人か会っている。しかし、この社長は、何かがもうひとつ違う。若さのわりに堂々と見える人はいるのだが、それにプラスして品の良さをあわせ持った人は、学生起業家には以外に少ない。

学生起業家の多くは、商売好きの学生が、学生の風貌のまま社長になったような感がする。大学生であることをそっちのけて、起業して成功したから、中退したとか、適当に卒業したとか、4年間はほとんど勉強をしなかったという人が多い。

しかし、この高卒の社長は、有名大学を出た才覚な持ち主でないのに、かもし出る謙虚さ、優しそうで、品のある話し方は何なのだろうか。

経営のケの字も知らないで突然に社長になった。夢半ばで父が逝ってしまった後、何とか父の残したものだけは守ろうと思ったらしい。人間は、不思議だ。役につくと役になるものである。

しかしそれは、努力した場合だけだが。その社長は、保険の資格を取るために様々な勉強と、経営に関する本を毎日何冊も読んだそうだ。教えてくれる人もなく、必死だったようである。

その苦労を経験した自信から、今でも毎月何十冊もの経営に関する本を読んでいるそうである。人の何十倍も勉強しないと、とてもついていくことができないと謙虚である。

その人を見て、自ら進んで苦労して身につけた知識は、教養になることを知った。嫌々仕方なく学校で身につけた知識は、単なる情報の集りである知識にしか過ぎない。テレビを見て楽しんで見聞きした情報は、雑学にしか過ぎない。

品のある人、言い換えれば、それは教養のある人なのかも知れない。

教養と知識は違う。

本という情報から、自分の性格を磨き養い、教えてもらうことだ。知識の量が多いことが良いのではなく、何を感じ、どう受け止めて、自分の性格を見つめ、成長しようとするその過程を繰り返している人が、教養のある人なのだろう。そういうった教養を持った人は、他の人から見ると品のある人に見えるのだ。

知識があることを見せ付けるのではなく、穏やかな話方や、謙虚な表現、苦労しないと簡単には見につけられない。

こういう出会いを通じて、私はまだまだと自覚させてくれることに感謝したい。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2007年4月17日 08:41