【堀田信弘の今日の語録】 2010年7月31日 『衰退の陰は、発展と共に常に忍び寄っている。』


求める人材  「活・喝・勝」


我武者羅

今日5月1日はメーデー。日本は、世界で最も祝日の多い国になったが、なぜかメーデーは休日になっていない。世界の多くの国では、メーデーを休日としている。ベトナムは、日本の3分の1しか祝日がないが、メーデーは休日だ。

日本とベトナムでは、労働法の考え方もが大きく違う。

日本では、法定休日と法定外休日があり、法定休日とは、会社が自由に週1回休日にする日のことを言う。例えば、日曜日を法定休日とすれば、それ以外の土曜日や祝日、年末年始休暇などは、法定外休日ということになる。日本の場合、法定休日に労働者を出勤させると、135%の割り増し賃金を支払わなければならないが、法定外休日は、会社の自由である。

ベトナムでは、今年から祝日が1日増えたものの、テト(旧正月)を除く国民の祝日は5日しかない。その5日のうちの1日が、今日のメーデーである。ベトナムでは、この日のことを国際労働記念日と呼ぶ。(中国では国際労働節という)

ベトナムの労働法では、祝日に労働者を出勤させると、300%の割り増し賃金を支払わなければならない。日本の倍以上である。仮にその日を出勤させて、代わりの日を休みとする振替休暇を与えたとしても、祝日に働いた分は200%の割り増し賃金が発生する。

さすがに共産主義の国だ。労働者中心の考え方である。

そもそも、メーデーの発祥はアメリカと言われている。今から100年以上前の1890年、毎日12時間以上働くのが当たり前であったアメリカで、8時間労働を求めるデモが起きた。24時間の内、会社のために8時間奉仕し、あと8時間は休息のために、残りの8時間は自分のためのという考えだ。一日の半分以上を会社で働いていたのを、三分の一にしようとしたのである。

私は、アメリカで起きたこのデモではなく、共産国ベトナムのお陰で、少し労働者に対する意識が変わった。

私が、ベトナムを通じて知ったのは、国の労働者保護、労働者重視という考え方ではなく、ベトナム人の勤勉さである。

わが社のベトナム人社員は、定時になると一斉に退社してしまう。しかし、これは、8時間以上、働きたくないのではない。残りの16時間の使い方が、日本人とは根本的に異なる。

ベトナムは、発展途上国であるから、生活水水準は当然、日本より低い。しかし、ベトナムの経済成長率はもうすぐ二桁代に迫る高度成長期を向かえている。だから、ベトナム人は、自分も夢中で成長しようとしている。この高度成長の波に乗れば、自分の生活も豊かになると信じているからだ。

ベトナム人の多くは、ダブルワーカーである。日本の多くの企業では禁止されている兼業だ。定時以降に、別の仕事を行って稼ぎを増やしているのである。

それだけでなく、わが社の社員の何人かは、夜間の大学や語学スクールに通っている。少しでも自分のキャリアを上げたいと考えているからである。

ちなみに、わが社のベトナムの勤務時間は、朝8時から夕方17時までだ。睡眠時間を削って、余暇を楽しむことなく、学問や仕事に励んでいる。だからと言って、ベトナム人は、誰もみな定時で帰宅してしまうのかというとそうではない。管理職やプログラマたちは、毎日遅くまで残り、成果主義という考えを自然に持っている。勿論、その分、定時で帰れる一般社員より給与は高い。土日も誰の指示なく、仕事が残っていれば、黙って出勤している。

私は、経営者である。経営者は、労働者を厳しい環境に追いやって、こき使って苦しめることが仕事ではない。

私が経営者として行えるのは、残業を命令することでもない。人手が足りなければ、人手を増やし、各自の負担を軽くして、一方でコスト増にならないようにすることである。しかし、私は、そんな当たり前のことよりも、私が、私の会社の経営者として行えるのは、働いた対価を還元することに尽きる。

しかも、私の考える対価とは、給与ではない。

その人の生き方を伸ばしてあげること、あるいは夢を叶える手伝いをしてあげることである。

逆説的な言い方をすれば、私の会社には、勤務時間を気にする人は必要ない。これは長く働けと言う意味ではない。仕事がない人は早く帰って、自分のために時間を使ったら良い。しかし、その自分のための時間を、会社のために費やしてくれて、それがその人の成長に繋がるのなら、私はそのような人を応援したい。

できるだけ全員、毎日早く帰れたほうが良いとも思う。しかし、企業も国も、ある時は、我武者羅(がむしゃら)に働かなければ、成長しないのも事実である。企業で言えば、我武者羅で働く社員が多いほど、当然企業は、成長していると言えよう。

私は、だからと言って、全社員にそれを望んでいるのではない。夢を求めて、我武者羅に社長への夢を追いかけている社員が多いからこそ、わが社全体の我武者羅さは保てているのだ。

サラリーマンでいたい労働者と言う考え方からすれば、受け入れ難いものかも知れない。しかし、明日の経営者を目指している人にとっては、何れ、自分が経営者になった時、自分より社員を帰宅させても、自分は我武者羅に働かなければならないことは理解できるはずである。

だから、そんな我武者羅な社員に対し、私が経営者として行えるのは、その夢を叶えてあげることに尽きるのである。そして、我武者羅に動いてくれている仲間に、感謝することくらいしか私には能がない。

ありがとう。

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投稿者 :堀田信弘: 2007年5月 1日 15:36