今、私は、日本がかつて40年間もの間、植民地にしてきた町にいる。気温26度の東京から、約10度違う15度の気温はとても肌寒く感じる。
4、50階クラスのビルがニョキニョキと立ち並ぶ。その間を、片側5車線のロサンゼルスを思い起こさせる巨大な道路。とにかく町中の道が広い。車のスピードは時速70キロを超え、スイスイと走る。渋滞はない。クラクションの音も極めて少なく、静かな町。
この町は、成田から約3時間の中国大連市。人口は約600万人。ビルも道路も全ての作りが大きいためか、意外にも人が歩いている姿を見かけない。巨大マンションがこれだけ多くあるのだから、相当な人がいるはずだが、人を見かけないのは不思議だ。
日系企業が、1,300社以上も進出しているという。そのためか、日本語が話せる人は、一説によると30万人近くいると言われている。
中国国内でもトップクラスの大連民族学院という大学を訪れる。この大学は、1万人以上の学生がいる総合大学だが、名前に民族とあるとおり、中国国内の56全民族の学生がいる国内唯一の大学だそうである。なるほど、こうして見ると、同じ中国人でも蒙古、満族、華族、朝鮮族など顔が明らかに違うように思える。
コンピュータ関連学部に行った。この学部の学生の90%は、英会話は問題ない。中でも、来月に卒業するこの学部の中で、日本語ができる学生約30名は、既に日本で働くことが決まっているという。日本の企業は、3年生のうちから面談を行い、優秀な学生をどんどん採用して行くそうだ。
日本のIT企業では、採用戦争が起きている。
景気が良くなるにつれて、中小企業の採用は厳しくなり、中々優秀が学生を確保するのが難しくなっているのだ。中小企業に限らず、ここ大連に訪れて中国人の学生を採用して行く企業の中には、有名大企業も多い。
日本での就職戦争は、もうすでに海外にまで広がっているのだ。
私もここに訪れるまで、想像していなかった。IT業界に真ん中にいながら遅れていた。中国国内で働いた経験があるものを日本に連れて行くことは当然知っていたが、未経験を直接採用してしまうとは恐るべしだ。
企業にとって、政府による少子化対策など、もはやあてにできず、自らが人材の市場開拓をしてくる格好である。日本の中にも、都市と地方の格差が拡大し、地方には多くの人材がいるにも関わらず、日本語ができて身につけた技術力もトップクラスの大学卒業となれば、もはや日本人のでる幕はないか。
大体にして、日本の企業は日本語ができる人を絶対条件としていることが、衰退の道を歩んでいるかも知れない。もし、たった一人の日本人マネージャーが、英語が出来たなら、英語が堪能な優秀な学生は世界中にいる。
海外に来て感じるのは、いつも日本人は、英語ができないばかりか、日本人の日本語のまずさだ。主語なし、曖昧、結論がわからない、こんな日本人と付き合う外国人は本当に苦労する。
それでも、こうして中国にまで来て、未経験者を採用して育てようとする日本企業があるのは、中々のものである。日本人しか使わないと言い切る、日本人しか使えない企業に未来は展望できない。
日本人が減って行くのは明らかだから。
会社の経営にとっては、社員の数はそれほど重要ではないが、社員数が減っている企業よりも増えている企業のほうが当然、業績も伸びていることは間違いない。少数先鋭を叫ぶ会社であっても、その少数を維持するには、補強は不可欠である。
人材の補強、増強は企業の成長性そのものである。
私は、この地を訪れて、多国籍の企業設立を決めた。徹底して日本人にこだわる会社もあれば、徹底して多国籍にこだわる会社があっても良いと思う。
どうせ同じ人間なのだから、気が合うのなら外国人であろうが構わない。気の合わない日本人と、我慢しながらやるよりマシだろう。
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投稿者 :堀田信弘: 2007年5月23日 01:28