夕方は毎日どしゃぶりの雨が続いている。今回は、初めて一年中で一番涼しい時期である雨季シーズンのホーチミンに来た。涼しいと言っても最高気温は30度もあるのだが、日本の梅雨と違って、湿気があるのではなく、雨が天然クラーの役目をして涼しいという感じである。
私がベトナムの子会社ライジングマスター(株)に行った時は、必ず毎日、朝礼を行っている。
経営理念、行動指針を全員で斉唱し、その後、私から一言短い話をしている。
今回は、イソップ童話の「よくばりなイヌ」の話をした。
『肉をくわえたイヌが、橋を渡っていました。ふと下を見ると、川の中にも肉をくわえたイヌがいます。イヌはそれを見て、思いました。(あいつの肉の方が、大きそうだ)イヌは、悔しくてたまりません。(そうだ、あいつをおどかして、あの肉を取ってやろう)
そこでイヌは、川の中のイヌに向かって思いっきりほえました。「ウゥー、ワン!!」そのとたん、くわえていた肉はポチャンと川の中に落ちてしまいました。「ああー、あ」川の中には、がっかりしたイヌの顔がうつっています。さっきの川の中のイヌは、水にうつった自分の顔だったのです。』
以外にもイソップ童話を知っている社員はほとんどいなかった。
皆、目を丸くして、幼稚園児が話しを聞くように真剣に聞いている。時々、ニコニコしながら、とても興味があるようである。
私は、「よくばりのイヌ」の話を聞いて何を感じたかを尋ねた。
「あまりよくばりをすると、失ってしまうのですね」と答えてきた。
私は、「人間も、あまりお金お金とばっかり言っていると、信用を失ってしまう」と言った。
ライジングマスター社の社員は、全員大学卒でほぼ100%の社員が英語を話せる。9割近くの社員が日本語の読み・書きができ、7割の社員は日本語を話せる。それでも、毎朝約1時間は、日本人による日本語教室を行っている。
極めて優秀な社員ばかりだ。ベトナムでは、日本語のできる技術者や通訳の需要がとても多く、優秀な人ほど少しでも高い給与を求めて、転職を繰り返すものが多い。
ライジングマスター社の社員の行動指針に「私たちは、人から信頼されるように行動します」というのがある。
私は、もう一度、全社員にこの言葉を言わせ、話を続けた。
「会社を辞める度に給与が上がるかも知れないが、その度にその人の信頼は下がります。どうせまた辞めてしまうのだろうと思われるような人は、最後には、どこからも雇ってもらえなくなります」と言って朝礼を終えた。
私が、ベトナム人社員と話しをして、とても関心するのは、とてもピュアなことである。
終業時間になると、私の机の前に来て、「社長、お先に失礼します」とニコニコしながら話す。私は、一度もそのようにすることを指示したことがないにも関わらず、自然に全員が行うようになった。
そんな中、一人の女性社員が「社長、朝のお話はとても面白かったです。とてもためになりました。またお願いします」と言ってきた。
こんなことは、日本で一生社長をしていても経験できないかも知れない。
私は言った。
「ありがとう。今日も一日ご苦労さまでした」
彼女は満面の笑みで「また明日もよろしくお願いします」と言ってくれた。
ベトナムに来て良かった。私自身がピュアになる。
最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。
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投稿者 :堀田信弘: 2007年6月 7日 12:04