私は、人に与えた以上のものは、その人からは与えてもらえないと思っている。
恋愛でも同じ。何かのきっかけでこの人に何かをしてあげようと思うところから恋愛感情が始まる。与えるとその結果が返ってくる。何かをしてあげると、相手も何かを返してくる、これで恋愛関係は成立だ。
もしろん、与えても、相手から何も返ってこないことだってある。
それは稀ではなくて、それが普通と思わなければならない。だから、恋愛は難しい。
それでも、与えられるの待っているのではなく、与えることからでないと始まらない。
親子関係でも同じだ。
生まれたばかりの赤ちゃんに、ミルクを与えたり沢山の愛情を与える。赤ちゃんは、笑ったり、泣いたりして、癒しを与えてくれる。泣いてばかりいる赤ちゃんを見て、こちらばかり与えていると感じ、赤ちゃんから与えられる癒しを感じなければ、育児が嫌になる。
愛情一杯で育った子は、親孝行を考える子に育つ。親が与えなければ、子も与えてくれない。
社員でも同じだ。
上司が部下に多くのチャンスを与えなければ、部下は成果を与えてくれない。いつまでもダメな部下だと思っていたら、その部下もいつまでも上司のために何とかしたいとは考えない。
私は、ベトナムに行くと、毎回、最後の夜は、全社員20名を近くの日本料理屋に招待する。
皆、日本料理がとても好きで、珍しい料理が出てくると大はしゃぎする。「ヨォー」(乾杯の意味)と何度も何度も繰り返し、自然に各自が団結しようと盛り上がる。
毎回、社員はとても楽しみにしてくれているようだ。食事をすることより、私と話ができるのが嬉しいようである。「社長」「社長」とあちこちから、私に質問をしてくる。学校の先生が入学したばかり小学一年生に取り囲まれているようだ。この時間は、私にとってもとても大切な時間。私は、場を与えているのみだが、社員から与えられることのほうが多い。それで私は満足だ。しかも、団結して行く我が組織を見て、嬉しくて感激させ覚える。
こんな食事会を毎回行っているのだが、今回は、続きがあった。
「社長、二次会に行きましょう」とひとりの社員が誘ってきた。
私は、日本では、二次会に上司が行くのはダメだとずっと言ってきた。理由は、二次会には行く人と行かない人が出て、不公平が生じるからだ。行った人は、社長におごってもらえ、事情があって行けなかった人は嫉妬を覚えるからである。また、上司がいないほうが、上司の悪口でも言ってストレス解消になればとの考えもある。だから、社員との二次会は行かなかった。
しかし、今回は、「全員が行きますので、どうしても社長に来てほしいのです」と言ってきた。
私は、今回限りと思って「それじゃ行こうか」と言うと、全員が大喜びした。
二次会は、ホテルの最上階にあるサイゴン川の夜景が見えるカラオケだった。20名が入る大きな部屋で、日本の歌、ベトナムの歌、英語の歌をみんなで歌った。ベトナム人もカラオケは大好きらしい。
二次会が終わり、支払いをしようとすると、支払いが済んでいた。社員がお金を集めて支払ってくれたのだ。
私は生まれて初めて部下からおごってもらった。
社長が社員からおごってもらう、こんな出来事は全く私の頭には無かったので、夜景の美しさと重なり涙がこぼれるくらい感激した。とても嬉しかった。
与えた以上のものを与えられた感じだ。どうして、そこまで私に何を期待するのだろうか。
もっともっと私が社員に与えなければならないことを痛感した。
与えた以上のものは返ってこない、この考えは基本だ。与えてもらうために与えるのでもない。与えてくれなくても、与える気持ちが重要である。与えて、与えて、与え続ける気持ちがあれば、もしかして与えた以上のものが返ってくるかも知れない。
でも、与えた以上のものが返ってくるのは、感動や感激など与えたものでは得られないものである。
ベトナムの社員、幸せな気持ちにしてくれてありがとう。
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投稿者 :堀田信弘: 2007年6月 9日 10:00