【堀田信弘の今日の語録】 2010年7月31日 『衰退の陰は、発展と共に常に忍び寄っている。』


世の中について  「活・喝・勝」


人を注意できるほど自分は立派か

先週、娘の小学校で運動会があった。知的障害のある長男を連れて見に行った。

5、6種目おきに娘の出番が回ってくるような状況で、自分の娘の出番がない時は、退屈なものだ。

大人でさえ退屈なのだから、全く妹の出番に関心がない息子にとっては、なおさらに退屈なことだろう。自分は、なぜ自分の妹の運動会に来て、自分は何のためにここにいるのか理解できないようである。彼にとって唯一の楽しみは、昼食くらいなものだろう。

彼は、何時間も何時間もやることがない。そわそわして、落ち着かない。イライラして、同じところを何度も何度もグルグル回っている。

娘の出番の時、ビデオカラメを片手に家族は一斉に見やすい場所に移動する。

出番が終わって、自分たちの席に戻ろうとすると、一人置いてきた長男が、すべり台のところで見知らぬ男性に話しかけられていた。

近づくと、どうやらすべり台で遊んだのが問題らしい。周囲に聞こえるような大きな厳しい口調で、叱られていた。

私は、とっさに駆け寄り、「すみません。何かしましたか」と尋ねると、「中学生がすべり台をするなって言ったんだよ」と答えた。

席に戻ると、息子は自分のオシリをパンと叩き、「おしり痛い」と言った。彼の仕草を見るとどうやらあの人におしりを叩かれたようだ。

私は、障害があることが判らなかったのだから、仕方ないと思った。

気がつくと、その人は、私たちの席から見えるところに座っていた。

校内で禁止されているタバコを吸いながら、ビールを飲んでいた。

私は、物凄く腹が立った。許せないと思った。

何様のつもりで、正義ぶって人を注意したんだ。悪いことをしたから注意したと、勝ち誇ったあの態度。俺は良いことをしていると周囲に誇示し、私たち親子を見せ物にした。

そういう自分は周囲を気にせず、タバコを吸っている。正義どころか、酔った勢いで天狗になっているだけじゃないか。

私は、腹が立った。それは私たちが恥をかいたからではなく、彼のこの矛盾に満ちた態度にだ。

なぜ、人は、人の失敗が許せないのだろうか。

彼の論理には、中学生がすべり台を滑るのは問題で、それを見た大人は、そのような子供を注意することが正義だという思想があるのだろう。

常識的には、大きな中学生がすべり台を滑るのは問題かも知れないが、禁止されている訳ではなく、誰かに迷惑をかけた訳でもない。

それに対し、校内禁煙と禁止されているのにタバコを吸う行為は、常識な問題ではなく、禁止されていることをした上、周囲の人に迷惑で嫌な思いをさせているではないか。

自分がやっていることはさておいて、人を注意する権利があるのだろうか。

しかも、大人は、そのような子供を注意することが正義だという思想は本当に正しいのだろうか。話もできない知的障害者であることの認識もできない大人が、おしりまでを叩いて注意する資格があるのだろうか。

確かに、注意をしない大人が多くなった昨今ではあるが、上から下を見るような態度で、酔っ払いに叱られた子供は、大人のことを信用するだろうか。信用できない大人に叱られた子供は、大人に不満を持ち、社会に反発するようになるのではないか。

このような事象は、社内でも起こりかねない。

社長が部下の失敗を注意する。子供を注意するのと同じような気持ちで、良かれと思って、正義感を示す。

他部門の失敗に腹を立てる。ここぞとばかりに怒りをぶちまける。ここで厳しく注意すれば、今後は失敗しなくなるだろうと注意する。良かれと思って注意する。

しかし、良くはない。

何様だ。

人を注意できるほど、自分は立派か。自分は失敗しないのか。良かれと思うこと自体が、大きな勘違いであり、何様なのか。

人の失敗を許せない人は、必ず孤立する。

孤立しないためには、相当な愛情が必要なのである。愛情がない注意は、全く意味を持たない。

上司が部下を注意、指導することは極めて重要な仕事だが、愛情が伴わなければ、しないほうがまだましだ。愛情もなく、能力もないような上司に叱られても、効果はゼロどころかマイナスにしかならない。せめて能力のない上司でも、それくらいは理解してほしい。

人の失敗ばかり目につく人は、人を注意できるほど、自分は立派かと自分を叱ってみよ。

どうも人のミスが気になる、どうも人のせいにしたがる、これは、自分の無能さを表しているのだ。

人を注意できるほど自分は立派か、振り返ってみるがよい。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2008年9月26日 05:31