年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。苦悶や猜疑や、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰も長年月の如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。
人は信念と共に若く、疑惑と共に老ゆる。
人は自信と共に若く、恐怖と共に老ゆる。
希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる。
これは、私の大好きな「青春の詩」の一節である。"青春とは人生のある時期ではなく、心の持ち方をいう"から始まる「青春の詩」は、サムエル・ウルマンが70歳代で書いたとされる。
私は、この詩が好きで、この詩のような生き方をしたい。一方、この詩は、私の老いを予想するが如く、若さを保つ難しさを提起してくれる。
理想を失う時に初めて老いがくる。理想は失いたくない。それなのに、現実がそれを押し潰そうとのしかかる。
苦悶や猜疑や、不安、恐怖、失望が、私を襲い、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまうのだ。
私は、老いたくない。だから、苦しい時、悲しい時、失望した時、自信が揺らぐ時、この詩を読み返す。
若さとは、未熟さである。つまり経験が少ないことである。経験という技法に頼らず、恐怖を知らず、無我夢中で走ることができる。これこそが若さの秘訣である。未熟さが、強みなのだ。
しかし、未熟さが故に、失敗したり、裏切りにあったりする。その経験は、トラウマとなり、同じ失敗をしないように避けようとする。悲しんだり、苦しんだり、失望したりすることを回避しようとする。今まだ知らなかった恐怖も知り、理想が遠いことも知る。
経験とは、未熟さの強みを打ち砕き、避けるための技法を身につけさせようとする。未熟さの強みを失うと、若さの特権を見失う。経験が、若さをむしばむのだ。
希望ある限り若く、失望と共に老い朽ちる。
経験は、希望だけでなく、多くの失望も与えてしまうのだ。
私は、この詩をもとにしたいくつかの信念がある。例えば、来るものは拒まず。さらには性善説、そして、まずは自分が人を信じること。これらの中核となる考えは、怖いもの知らずである。
人は自信と共に若く、恐怖と共に老ゆる。
私は、自信を維持しようと懸命だ。しかし、周囲や現実が、恐怖を与える。来るものを拒んでしまう。規則を強化して性悪説を前提としなければならない。私は信じても、平気で裏切るものが現れる。
葛藤する。それでも、来るものは拒まず、性善説、そして、これからも自分が人を信じることを続けるのかと。
迷う。老いても良いのかと。老いてはダメだと。青春とは人生のある時期ではなく、心の持ち方をいう。私は、既に青春の心を失ってしまったのかと。
もがく。嫌だ、絶対に若さを保ちたい。理想を失う時に初めて老いがくる。情熱を失う時に精神はしぼむ。私は、理想を追いかけ、情熱を失いたくない。
周囲には、葛藤することも、迷うことも、もがくことにも疲れ、青春を放棄してしまったものを見かける。
私のせいかも知れない。
私より若い彼らの勢いや未熟さを寛容できなかったのかも知れない。私は、自分の若さのみを考え、周囲の若さを吸い取ってしまったのか。
こうして、私もまた精気ある魂をも芥に帰せしめてしまうのだろうか。
私は、嫌だ。
青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。逞しき意思、優れた創造力、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。
私は、逞しき意思、創造力、情熱、勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、この心の持ちようを絶対に捨てたくない。
行動は、経験から得られた技法を用いても良い。しかしながら、心の持ちようは、捨てないでほしい。そして、同時に、私は、私と関わる全ての人に、同じように心の持ちようを絶対に捨ててほしくないと訴え続けたい。でも、これを保つのは、並大抵なことではない。私は、私自らが苦しみ、もがき、維持しようと懸命なのだから、他人に軽々と、絶対に捨ててほしくないとは公言できない。ただただ、祈るのみである。
経営者やリーダーなど、人の上に立つには、自分との葛藤に勝ち、青春の素晴らしさを示すことが大切であろう。私も、その葛藤に打ち勝ちたい。
疑惑や恐怖、失望など、信念と希望と、自信があれば、必ず乗り越えられるに違いない。
来るものは拒まず、性善説、まずは自分が人を信じること、結果は関係ない。失敗もあれば、問題も起こる。それで良いのかも知れない。それは、もし仮に、来るものを拒み、性悪説を唱え、簡単には人を信じない人に変身したとしても、きっと、結果は、失敗もあれば、問題も起こる。だから、変えたとしても何ら変わらず、それどころか、逃避し、回避したという老いだけが結果として残るだけだ。
老いを選ぶ必要はない。
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投稿者 :堀田信弘: 2008年11月27日 05:57