ソフトウェア開発会社は、顧客にソフトウェアを開発して提供する会社である。私は、かつてそのソフトウェア会社において、エンジニア、営業として、顧客にシステムの提案を行っていた。
システム化を図ることで、業務の効率化や情報共有、見える化などができ、システム化が経営革新に繋がると説明していた。
しかし、当時、いつも疑問に感じていたのが、自社内のシステム化、経営革新である。
ソフトウェア会社でありながら、自社内のシステム化は如何なものかと思っていた。これは、周辺のソフトウェア会社でも同様で、顧客にシステム化を提案しておきながら、どのソフトウェア会社も自社への取り組みは二の次であった。
つまり、ソフトウェア会社において、業務の効率化や情報共有、見える化などというシステム化が、経営革新に繋がるということを実践していなかったのであり、それはすなわちその会社の経営者がそのようなものは必要ないと考えていたのに違いない。
私は、顧客に対して、言っていることと、自社がやっていることと矛盾することを説明していたのである。
その後、私は、QMS(クオリティ・マネジメントシステム)という考え方に基づいて、自社内の生産、販売のシステム化を図ろうとした。生産性を把握するための工数管理、受発注、見積もり等のワークフローなどを盛り込んだ。
そのシステムは、突貫工事で造られたため、使い勝手の問題等が多くあったことであろう。しかし、私にとっては、ソフトウェア会社がソフトウェアを経営層も含め活用することに意義を求めていたのである。
あれからもう何年も経つから、使い勝手の問題が解消され、より高度化されていれば良いが、恐らく、使われなくなっていることだろうと想像できる。
それは、そのシステムの良し悪しの前に、経営層がどれだけソフトウェア会社としてシステムをどう使いこなすかということに本気になっていないからである。
ソフトウェア会社がソフトウェアを使いこなせないということは、自分の商品は不味くて食べられないのを知りながら売っているようなものである。
このようなことは、他のアウトソーシング会社でも言える。
アウトソーサーは、顧客より業務を請け負う。顧客には、自社で運営するよりも効果的、効率的とアウトソーシングの意義を伝える。アウトソーシングとは、持たざる経営を根っこから支える最も重要な手法なのである。
持たざる経営とは、自社で保有するよりも、外部をフルに活用することで、本業に専念し、できるだけ経営資源を集中させようという考え方である。
持たざる経営という考え方を持たないと、放っておけば、次第に組織が肥大化し、同時に非効率化が進むからである。100人足らず小さな会社でも、放っておけば、組織が細分化され、組織間の隔たりが起き、小さいながら大企業病となる。だから、できるだけ、最低限必要なものに集中し、外部に委託しても可能な業務は内部に持たないようにすることが、小回りの利く効率の良い組織にできるのである。
振り返って、わが社は、アウトソーシング会社だ。
アウトソーシング会社は、自らがアウトソーシング会社を効果的に活用し、持たざる経営を推進すべきである。
わが社では、それを推進させるために、わがグループ内のすべての組織は、利益を生む出すプロフィットーセンターとなっている。利益を生む出さない間接部門は一切ないのだ。
我々は、アウトソーサーとして、持たざる経営を自ら実践する責務があるのだ。
しかし、現実には、持たざる経営という強い意志を持っていなければ、ゆっくりと持とうとする考えが浮上する。無駄な役割の人が増え、組織が肥大し、間接的な業務を行うような人員が生まれる。これは、強い意志がなければ、必然的に生まれる事象なのである。
そして、それは強い意志だけではなく、経営者としての資質の問題でもある。アウトソーサーがアウトソーシングをできなくなったら、その使命は終わりだ。ソフトウェア会社がソフトウェアを活用できないのと同じなのである。
これからも、各社は、持たざる経営を強く意識すべきである。
それは、アウトソーサーとしての責務としてだけではなく、大企業病にならないようにするためでもある。
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投稿者 :堀田信弘: 2009年1月11日 05:20