何とも判ってもらえないことがある。何とも説明のしようがないことがある。それは、勘と直感だ。ある心理学の本によれば、行きつくところ、勘も直感も同じだということを述べているが、私はそうは思わない。
私にとって、勘と直感は明確に違う。
そのことが中々判ってもらえない。また、何とも説明が難しいのである。
まず、前提として誤解してほしくないことに、私は、論理的な考え方ができないものには納得行かない。それは、私に限らず誰しも同じであろう。矛盾だらけの、理屈が通らないことには、誰でも納得できないはずだ。
だから、その代表的な例として、山勘のような思いつきの発想には嫌気を指す。
例えば、ジャンケンというゲームがある。もし、山勘に優れているというのなら、相手が何を出すのか、予測できるはずである。優れているのなら、何度ジャンケンをしても、勝てるはず。しかし、相手が何を出すかなど、判るはずもない、適当な勘だ。3回も4回も連続で勝ったとしても、偶々勝ち続けたに過ぎず、50回もジャンケンをすれば、ほぼ五分五分の成績になろう。
私が定義する勘とは、無作為に、無意識に、無鉄砲に、そして、何よりも無責任に出す思いつきのことである。私は、勘などあてにしない。
しかし、直感は違う。
直感は、本能とは違う。本能は、経験的な要素や、その思考基準、知識、教養などの蓄積に関連することのない、生まれつき持っていると想定されている性質である。この性質は、もちろん、人によって異なる。
だから、それぞれが本能的な動き方をすると、時にその本能によるところに当りが生じることが稀に起きる。時にそれは、本能を源にした勘が優れていると誤解してしまうものである。人それぞれに、生まれ持った性質が異なるから、その勘とやらの当たる確率が若干の差が生じることもあろう。
だが、直感と本能に頼る勘は、違うのだ。
私の定義する直感とは、本能とは真逆で、経験的な要素や、その思考基準、知識、教養などの蓄積によるものである。簡単に言えば、様々な経験や知識から一瞬にして、それにマッチングする事象を引き出す力、予測する力である。
一瞬の内に、作為的に、意識的に、感覚的に、とっさに判断できる瞬時の技である。この直感は、勘のような無責任なものではなく、おぼろげながらも心の底で確信にも似た判断ができるものである。
しかし、その理由を問われても、そこに明確な理由はない。
私は、初めて出会った人に対し、直感的に相性を感じる。しかし、私の直感力は、瞬間的ではなく、引き出す能力が優れていない。それは、初対面の相手であるならば、話をしながら、相手の目の動きや、身なり、話し方などを数分に渡り観察する。それくらい、私の直感力のスピードは遅く、しかも慎重である。
だが、私の直感は、高い精度で、確信に変わる。そして、その瞬間、感じた結果と、予測は近い結果を見出す。その最大の理由は、確信に変わった瞬間から、予測した結果に向かって動き出すからである。つまり、予測が外れないように、行動するのである。だから、予測と結果がイコールになる訳だ。
私は、それこそが直感ではないかと思っている。
直感的に感じ取ったものに対し、それを信じ行動する。その結果、直感と外れれば、それは、また経験として蓄積される。蓄積が多くなれば、母数が増え確度が高まるはずである。しかし、それに伴う行動がなければ、それは経験として蓄積されない。勘があたった、外れたという事象のみである。どのような場合に、どのような行動をして外れたのか、当たったのかということが直感力を高めることなのだ。
私は時より、私がした直感的な予測と、勘を勘違いされることがある。私の中では、明確に違っているのだが、他人にはこの違いを知るすべもない。ただ、唯一言えることは、私の直感力は、鈍いということである。だからそれを鋭くするために、誰よりも多く、"事前に"様々なことを考えているということである。
明日の打ち合わせの手順、出るであろう内容、投げかけたいことなど、そう言ったところに関しては、事前に相当数の時間を費やしている。だから、そこで、とっさに出る私の発言は、思いつきのように誤解されるが、私にとっては想定内のことなのである。それは、私が直感力が鈍いことを認めているから、それを補うすべとして、想定問答をすることで、擬似的な直感力を見せているに過ぎないのだ。
私は、スピードという点で、直感力に瞬時性がない。それでも、私は、直感力を大切にしている。そして同時に、勘との違いを十分過ぎるほど認識している。
経営者にとって、直感力は重要である。なぜなら、直感力は、経験的な要素や、その思考基準、知識、教養などの蓄積によるものであるからだ。直感力と勘とを誤解せず、自らの生き方を源にした直感力こそ、その人のすべてを凝縮しているようにも思う。
経営者にとって、直感力を高めようとすることは重要だ。直観に理由はないが、直感を高めるのには理由がある。
直感で判断できないような経営者は、複雑系に値する経営には向かない。
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投稿者 :堀田信弘: 2009年2月18日 05:30