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ビジネスについて  「活・喝・勝」


確率より可能性を信じたい

私は、一人一人の目を見て、真剣に話をした。必死だった。しかし、その中の一人は、一度も私と目を合わせることをしなかった。彼は、ずっと資料に目をやり、腕を組んでいた。私には、彼が資料の中のあら探しとしているようにしか見えなかった。

数字は嘘をつかないと言わんばかりに、決算書に釘付けだった。数字人間だと思った。

先日、私の何気ない疑問に明快な答えを出してくれて本を見つけた。

その本のタイトルは、『じゃんけんはパーを出せ』だ。著者は、東大工学部を卒業後、アメリカMITでMBAを取得した若菜力人氏。

私は、ベトナムの子会社ライジングマスターに行った時、社員懇親会を開く。その懇親会で必ず行うのが、じゃんけん大会である。私と30人全員がじゃんけんを行い、勝った人だけが私からお土産をもらえる。

これまで、何十回と試してみた。その結果、私が最初にパーを出すと、グーを出して負ける人が多いことを知っていた。さらに、私がグーを出すと、パーを出して勝つ人が少ないことも知っていた。私は、理由が分からないが不思議に思っていたのだ。

そんな疑問に答えてくれたのが、前述の本である。

通常なら、グー、チョキ、パーという3種類を出す確率は、1/3づつだと常識的に考える。もし、サイコロを振るゲームなら、1から6までが出る確率は、どれも1/6。小学生の算数にも出題されるくらい均等であることは判る。

しかし、じゃんけんは、1/3の確率ではないのである。そのことを知っている人は、どれくらいいるだろうか。1/3ではないのではと考える人はどれだけいるだろうか。私は、理由は分からないが、ずっと以前から不思議な現象だと思っていた。

1/3の確率でないことを証明するには、実際にやってみるしかない。本には、725人に1万回以上ものじゃんけんをさせた結果が載っている。

その結果、グーを出すのは約35%、チョキは約31%、パーは約33%であった。つまり、グーを出す可能性が一番高く、チョキを出す可能性は最も低いだ。だからパーを出せば、チョキに負ける可能性よりもアイコか勝つ可能性が高いという訳だ。

1万回以上も行い、人間の考えが入らないゲームならどれも33%になるはずである。

それがじゃんけんではそうならない。ちなみに、世界じゃんけん協会(WRPS)のHPにもチョキの出る可能性は最も低いとある。

私は、この本を読み終えた時、冒頭の一度も私と目を合わせることをしなかった数字人間を思い浮かべた。

私は、じゃんけんが人間の心理ゲームであることを知り、この世で起こることが単純な確率では説明できないことを知った。グーを出す割合が高いだとかそういう統計的なことは、私には関係ない。1/3でないことに意味があるのだ。

人間には、心がある限り、数字のような確率では計れないのである。人間には癖もあれば、心もある。だから、チョキの割合が低くても、チョキを出す人は必ずいる。割合や統計は、私には関係ない。

あの数字人間は、私の心よりも、紙に書いてある数字にしか興味がなかった。恐らく彼は、私が、じゃんけんの確率がどれも1/3でないことを説明しても信用しないであろう。あるいは、その逆にパーを出す割合が高いという統計を知っていて、パーばかり出すようなアホではなかろうか。

評論家に多い。

数値を見て評論するのが仕事だから、数値の重さ、高さ、バランスばかりを気にする。あたかも経営者の医者にでもなったようなつもりで、脂肪が多いだ、血糖値が高いだとか、評論する。

そして、彼らが行うのは、高い数字を低くするような指摘のみ。リストラこそが経営と誤解している。低い数値を上げる方法は知らず、高い数値を下げろというだけだ。人減らしや経費を削れというのは、どんな馬鹿な経営者でも、あるいは評論家のように一度も経営をしたことがない人でも誰でも言える。

そういう意味で、彼らは、病気を治す医者にはなれない。それは、人の心を知ろうとしないからだ。

人間は、そんなに単純ではない。私の長男は、医者に重度の障害があって、言葉も話すことなどできないだろうと言われた。その息子は、今、漢字までかけるようになった。医者は、過去の高い統計を見て、そう告げただけで、僅かな可能性に対して、どのようにすれば改善するかのアドバイスは全くなかった。私は、違う医者を求め、その後10年以上も毎週指導して頂く先生に出会えたのだ。

人間は、そんなに単純ではない。社会は、そんな単純でない人間の集まりである。その人間が、人間社会で行う会社経営は、まさに複雑系そのものだ。理屈なしだ。

それが分からない数字人間は、まぁ、私には関係のない人種だ。

私は、人間力に興味がある。数値では表せない人間に興味がある。好きか嫌いか、できるかできないか、無限の組み合わせ起こる様々な出来事。予想もしないハプニング。とても、数字で表すことなどできない。

私は、このブログの副タイトルに"確率より可能性で選ぶリーダーに"と付けた。

私は、15年前、「言葉も話すことなどできないだろう」と断言され、僅かな可能性も指南されなかった。それでも、私は、希望を失わなかった。

私は、確率より可能性を信じたい。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年3月 4日 05:36