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経営者について  「活・喝・勝」


私は身の程を知っている

公園で、小学生の男の子が取っ組み合いの喧嘩をしていた。止めようかと思ったが、一方が泣きだし負けを認めたようだ。勝った側の男の子は、相手の汚れた服を手で払ってあげていた。

この男の子は、大物になるなと直観的に感じた。

私は、小学生の頃、何人もの友達と何度も取っ組み合いの喧嘩をした。私の記憶では、あまり勝った記憶はない。私の相手は、いつもクラス、学校で強そうな者ばかりだった。

今でも夢に出る幼なじみが二人がいる。その二人は、同級生の中で組織を二分しそれぞれのトップにいた。彼ら二人は、小さな頃から喧嘩が強かった。しかし、その二人が争う場面を見たことがない。実は、私もその二人とは喧嘩をしたことがない。

中学校に行っても、その二人がトップに君臨した。他の小学校からの合流組も二人を認めていた。偶々、私は、彼ら二人と小学校1年生から中学校3年生まで一度も同じクラスになったことがない。

二人は、学力も上位で、地元の進学高校に進んだ。そのうちの一人は、高校に行ってからボクシング部に入り、他校からも知られる喧嘩の強い男になった。

数週間前、経営者向けのセミナーでこんな質問をされた。

「この中で、子供の頃、喧嘩をしたことがある人はいますか」

私も含め、8割ほどの人が手を挙げた。

「では、その中で、親父と喧嘩をした人はいますか」

私も含め、3割ほどになった。

「それでは、手を挙げている中で、自分は喧嘩が強かったと自慢できる人はいますか」

1割にも満たない数人に減った。私は、迷いながらも、手を挙げなかった。

「残った人の中で、もし何代目かの後継社長なら、間違いなく成功するでしょう。もし創業社長なら、会社を大きくできると思います」と講演者が言った。彼は、経営コンサルタントとして、後継問題や、人事コンサルなどを手掛けている人物だ。

どうやら彼の理論では、男に限って言えば、喧嘩ができない人は経営者に向かないらしい。

喧嘩が強く、自分の親父とも喧嘩するくらい負けず嫌いで、意志の強い人間は、強固な組織を形成できるらしい。もちろん、ただ喧嘩が強いだけではなく、学力も、知識も、理性も伴っていなければならない。

私は、この理論が正しいかどうかは別として、このような考えに似た考えを持っている。だから、私は、その観点から自分の身の丈というのを十分に知っているつもりだ。

気に入らないことがあれば、先生にも殴りかかったこともある。それでも、自分は喧嘩は強くなかった。喧嘩が強いとは、腕力が強いという単純なものではない。喧嘩の仕方を知り、相手の弱点を一瞬で判断し仕留める俊敏さを兼ね備えている。

私はその能力が弱い、と知っていた。

そしてこの考えは、経営者として照らし合わせた時、私はナンバーワンには向いていないことを意味している。私は、これまでも自分は経営者のトップとしては不十分だと考えてきた。私は、自分の身の丈を知っているからである。上には上がいることも知っているからである。

私は、自分ではナンバー2が適任だと思っている。誰もがそんなことはないと言うが、自分では自分のことを十分に知っている。

私は、身の程知らずにはなりたくないのだ。

「この中で、手を挙げなかった方。悔しいかも知れませんが、これが世の中の実態です。しかし、だからと言って経営者として失格かと言えばそうではありません。ようは身の丈を知り、身の程知らずになるなということです。自分を知り、その範囲の中で、しっかりと経営をするということだと思います」

私は、これまでナンバーワンとしてこのグループを率いてきた。4年足らずで20億円ほどの企業になったが、これが私の想定範囲である。これまでもそうだった。その程度ならできたが、倍の40億、50億、さらには100億というようなモデルは描けない。それが私の限界を示している。

しかし、私は、中途半端に喧嘩好きだ。負けず嫌いのせいか、このままでは終わりたくない。そのために私は、私の企業から、我々の企業へ脱却しなければならないと考えている。そして、我々の企業から公の企業になるように。

そのためには、私がトップであっては支障を来すと考えている。そして、私は、私が最も得意な役割の分野で、本領発揮しなければならないであろう。

今、子会社のトップでいる社長たちは、どれだけこの考えを理解できるだろうか。身の丈、身の程を図り知ることができるだろうか。

自分の限界を知らなければ、自分が生きる道は見出せない。私は、この会社を作る以前から、自分の身の程を知っていた。その身の程が今、訪れただけに過ぎない。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年3月18日 05:41