【堀田信弘の今日の語録】 2010年7月31日 『衰退の陰は、発展と共に常に忍び寄っている。』


リーダーについて  「活・喝・勝」


嫉妬はリーダーの恥

私はかつて『守りの我慢と攻めの我』の中で、「仏教では、身心を乱し悩ませ、人が苦しむ原因のことを、自らの煩悩という。煩悩は、俗に108あるとされているが、中でも最も恐ろしい人間の諸悪の根源を三毒という。」と書いた。

三毒には、欲を意味する「貪欲(とんよく)」と、怒りを意味する「瞋恚(しんに)」、それに「愚痴(ぐち)」がある。

「瞋恚(しんに)」とは、自分に背くことがあれば怒ってしまうというような心のことである。自分が求める心が妨げられた時、また、実現しない時に湧く感情で、欲求を妨げられた時には怒りとなり、欲しいものを他が持つと嫉妬になるとされている。

求める心が強いほど、その意志が強くなり、攻撃的で野心的な人格をつくる。こうして生まれる怒りと嫉妬は、身心を乱し悩ませ、自分を苦しめ、他人をも苦しめる原因となる。

嫉妬という感情は、競争による負けに対し、負けによって自分の価値を認められなくなったのではという、負けを負けとして素直には受け入れられない状態のことである。

長年、組織運営に携わっていると、評価や待遇に対する他人への嫉妬がいかに多いかを感じることができる。常に他人と比較し、他人を蹴落とそうという嫉妬心からの言動、あるいは蹴落とされた側の羞恥心からの言動は、まさに人間の毒だと感じる。

嫉妬という毒を吐いた人間は、自分がそれに毒されていることを知らず、嫉妬という毒の罠にはまる。つい先日まではとても仕事ができて、やり気満々で信頼も厚い人間が、一旦嫉妬という毒に犯されると、自分自身のコントロールができず、今度は全く信頼できないマイナスの行動を取るようになる。

本人は、気を引こう引こうとしているつもりだが、それが全て裏目に出ていることを全く認識できない。そのため、相手との関係は急速に悪化し、益々負けを負けとして素直には受け入れられない状態が高まっていく。そして、攻撃的となり、やがて、怒りに変わる。

私は、これまでもこのような場面を幾度となく見てきた。

ある先輩は、後輩が出世することに対し、嫉妬を感じていた。自分が追い抜かされるのではという恐怖心があったのであろう。そのような小さな器の人間では、その人が自分で想像できるように、案の条、追い抜かれる。

私は、これまで、恋愛においても、仕事においても、強い嫉妬心という感情を持ったことはないように思う。もちろん、仏ではない普通の人間だから、全く嫉妬心がないと言えば嘘になるだろうが、私は意識として嫉妬心を持たないように心掛けてきたつもりである。

私をそのような考えを持っているのは、負けず嫌いという性格ながらも、上には上がいるということを認識し、そして同時に上を追い求めているようなところがあるからだ。そして、嫉妬は悪という考えを持つようになった。

ちまたでは、女性は嫉妬深いと言われる。しかし、私は、会社経営をして見ていると、むしろ男性のほうが嫉妬深いように思う。また、様々な国に出かけて見ると、女性よりも男性のほうが嫉妬深いのは、日本だけのように感じもする。

私は、島国という土地柄が影響しているように思う。それは、いわば井の中の蛙となり、上には上がいるという認識を持ちにくいのではないだろうか。

それと、同時に教育の問題もあろう。私が子供の頃と違って、最近では競争よりも、平等、公平が重んじられ、社会に出た際に、初めて競争を知るからではないか。屈辱やコンプレックスなどを経験していない。子供の頃に、取っ組み合いの喧嘩をしていないなどが関係するのではないか。

つまり、嫉妬心は、陰湿という環境から生まれるのではないだろうか。

仏教では、三毒というくらい、誰もが持つ感情の一つで、それを戒めている訳だが、こと経営においては、嫉妬心は器の小ささを表しているようなもので、経営者としては大成しないだろう。経営者であるならば、他社、他人に対し嫉妬心をもったら、人の上に立つ資格を失う。

私は、それくらい経営者において、嫉妬心を戒めている。経営者の恥である。

強いものを強いと認め、自分の能力の限界を自ら認めることで、その中から生き残りを考えるべきである。

嫉妬の状態を抜け出すには、まず自分が嫉妬の状態にいることを認識できるようになることである。これができれば、嫉妬から抜け出せる。が、しかし、嫉妬の状態にある人ほど、自分が嫉妬の状態にあるという認識を持てない。だから、それほどまでに嫉妬の状態を抜け出すの難しいのである。

では、どのようにしたら自分で認識できるのか。

それは、嫉妬とは、自分が求める心が妨げられた時、また、実現しない時に湧く感情であるということである。つまり、自分の考えややり方が思い通りに進まず、その原因が他人にあると考えている瞬間こそが、嫉妬の状態にあるのである。

だから、事が上手く進まない、あいつのせいだと思ったら、「嫉妬」という言葉を思い出せば良い。他人のせいにしたことが、自分が負けを認められないという状態なのである。

それを知れば、克服できる。

そして、嫉妬など意味もなく、互いを不幸にするだけだということが理解できれば、その人の器は大きくなろう。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年3月26日 05:44