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企業経営について  「活・喝・勝」


X理論でもY理論でもない

私は30代の時、管理職とは何をなすべきか、マネージメントとは何なのかということを独学で勉強した。いま振り返ると、私にとって、中間管理職という立場を経験したことは、人生においてとても良いことだったと振り返られる。

あの当時の経験がなかったら、今の私の新しい考え方もなかったことだろう。

その当時の私は若かった。正論がすべてだと思っていた。しかし、やがて正論だけでは通用しないことがあることを知る。あるいは、何が正論なのかというそもそも論があることも知った。

下からは突き上げられ、上からは押さえつけられるのが中間管理職だ。名前の通り中間に位置しているのだからそんなことは当然なことであり、まず、そのことが理解できなければ、中間管理職として得られるものはない。

中間が嫌だと逃げ出すようにスピンアウトするような人間は、自分がトップになった時に、有能な中間管理職を育てることなどできやしないであろう。

私は、若いながらも、その程度のことは十分に理解し、組織における最も組織を理解する立場であることを自覚していた。

しかし、その自覚によって、私がとったマネージメント手法は、X理論だった。

X理論とは、ダグラス・マグレガーが2つの異なる人間観を元に、X理論とY理論とのマネージメント手法を開発したうちのひとつである。

X理論は、人間は元々怠ける生き物で、責任をとりたがらず、放っておくと仕事をしなくなるという考え方である。この場合、命令やルールで管理し、ノルマを与えるアメとムチによる経営手法だ。

当時の私は、終身雇用制と年功序列が崩壊し始めた頃で、能力や実力さえあれば年齢や経験は関係ないというキャッチフレーズに流され、何のためらいなく成果主義という建前に乗ってX理論的マネージメントを取り入れていった。規則を定め、規律や形式までも重んじた。

そんな最中、父親が亡くなる。

父親は、県の官僚であったため、葬式には県知事を始め、県内外から3千人近い参列者があった。

それほどまでに、現職官僚の肩書は大きかったのだろう。

しかし、一方で、もし肩書きがなかったらどうだったのかという思いが生まれた。

案の定、一年目の一周忌に訪れる人はほとんどいなかった。つまり、肩書きや仕事での付き合いだけであって、死んでしまった人には用無しだという感じがした。

そんな気持ちの中、私は会社を辞めた。

予想通り、その年の年賀状は、4分の1ほどに激減していた。

私は新しい会社を設立し、これまでと全く逆の道を辿ろうと試みた。

Y理論の実践である。

Y理論とは、人間は生まれつき仕事が嫌いではなく、自己実現のためなら自ら進んで行動し、問題解決をするという考え方である。働く人の自主性を尊重し、自由度を高め、自発的に責任感を持たせるという経営手法だ。

それが、100社設立、100の事業展開、100人の社長誕生という発想に繋がっていった。

その当時私は『性善説と性悪説』という内容を書いたが、私はかつての性悪性から性善説に変化していったのだった。これはX理論からY理論に変化したのと同じである。

それから5年が経った。

かつてダグラス・マグレガーは、Y理論が万能でなく、持続するのは困難だと認め、Z理論という新たな開発を始めた。そして、私も新たな発想が必要だ痛感した。

ちなみに、Z理論とは、1970年代、短期雇用、昇進・専門的キャリア、個人の意思決定や重い責任追及などY理論を取り入れたアメリカ型経営(A型)企業に対し、日本型経営(J型)が著しく発展するのを分析するところが元になっている。A型にJ型の良いところを徹底的に取り組んだ形だ。簡単にいえば、Z型とは、責任の明確化とコンセンサスを重視するというものである。

J型経営は、個性よりも集団主義と安定性を重んじ、終身雇用制によって帰属意識、忠誠心を高めることに重点が置かれていた。しかし、Z型の台頭により、くしくもこの考えは、私が30代の頃、一斉に崩壊し、日本企業はA型化して行った。その当時、私が取った手法は全く正反対のX理論型だったのである。

私がこれから取り組むのは、X理論でもY理論でもZ理論でもない。かつて、私や日本企業が真似をして失敗したように、これからは他の経営手法を真似る必要はない。いわば、独自のマネージメント手法を確立することが必要であろう。

他社とは違うと言われてナンボの独創的な経営手法を取り入れていきたい。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年4月25日 05:02