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起業・独立  「活・喝・勝」


フォロワーシップとリーダーシップ

今月より、社内の席替えがあった。私の席は、列の真ん中だ。私の周りは、社長や役員、ほとんどの営業、事務スタッフが揃っている。

恐らく、このような座席になっている会社は、世の中にはほとんどないであろう。もし、外部の人が見たら、私の席がどこなのか、見当がつかないはずである。

このような席順にしたのには理由がある。

元々、わが社には社長室などの個室はない。全員が同じ大きさの席、同じ椅子に座っている。同じフロアーに数列、整列して並んでいる。

以前は、それぞれの列の先頭に、その島の代表のような形で幹部が並んでいた。それを今回の席替えで、それら代表をサミットのように一か所に集めた。

その意味は、彼らに、社長のスタッフという役割を強く認識してほしいからだ。

そして、もう一つは、私や社長が、現場の真ん中にいて、リアルタイムに現場のやり取りに接したいからである。

この変更は、私にとって、大きな変革である。それは、自由と責任から、責任と自由へと180度考え方を変えたからである。

では、なぜ社長のスタッフという役割を認識すべきなのか。それまで社長として振舞っていた彼らが、真っ逆さまにスタッフという立場を認識しなければならないのか。

それは、フォロワーシップを発揮できるリーダーになってほしいからである。

今から数年前、現役大学生に出会った。

彼は、卒業後にすぐに起業することを考えていた。何度か会って、彼のビジネスプランを聞いた。やる気とそのプラン自体は良かったが、私は反対した。

「一人で商売をやるのなら反対しない。しかし、会社を設立して社員を雇ってやるのなら反対だ」と言った。

理由は、彼の性格にあった。

他人の意見を聞かない。恐らく私が何を言っても、反対しても彼はやるだろう。そして、彼は、素直ではなかった。もっと言えば、謙虚さがない。彼は、先輩後輩の関係が嫌だから体育会系の部活はしなかったと公言していた。

彼は、一人っ子で育ち、親から叱られることさえもなかったようだ。そうした生い立ちから、上下関係を嫌い、わがままに育った。そして、彼は、リーダーシップを誤解していた。

私は、彼に限らず、組織の上に立つような人は、絶対に一度は組織の中に入って揉まれたほうが良いと思っている。自分が組織を経験しないで、組織を構築すべきではないと思っている。

これは、成功するとか失敗するとかという次元ではなく、下になった立場を理解するためである。そして、最も重要なことは、リーダーを補佐するフォロワーシップを身につけてほしいからである。

フォロワーシップが取れない人間は、真のリーダーシップは取れない、これが私の考えだ。

私自身は、リーダーシップよりも、フォロワーシップのほうが得意な人間だと自己評価している。だから、私は、元来、トップよりもナンバー2のほうが向いていると考えているのである。

リーダーシップと対となるフォロワーシップ。先導者(リーダー)と従属者(フォロワー)の関係は、単に上下関係を意味するのではない。

リーダーを補い、リーダーを助け、リーダーがリーダーとして役目に専念できるようにするのが、フォロワーの役目だ。つまり、リーダーの考えを読み取り、リーダーシップが取れるように積極的にフォロワーシップを取ることである。

リーダーの手を煩わし、リーダーの仕事を増やして、リーダーが細かいところまでやらなければならない状態を作るような人間は、自分がリーダーになっても上手く行くはずがない。

しかも、その原因は、自分のフォロワーシップの問題ではなく、リーダーシップの問題だと自惚れ、従属者であるということを放棄してしまう。

フォロワーシップが取れる人間が、やがて、リーダーになれば、同じようにフォロワーシップの取れる人間が集まる。その逆に、フォロワーシップを認識できない人間が、リーダーとなれば、権力や肩書きだけの独裁的リーダーシップとなるのだ。

強いリーダーシップを取るには、頼もしいフォロワーがいなければならない。フォロワーがいない状態では、リーダーは権力をかざすだけとなる。

前述の学生から、先日手紙が届いた。

卒業後、やはり直に会社を設立したようだ。今、アメリカにいるとのこと。会社設立して、数か月で倒産したとのこと。

彼は、今、アメリカで就職し、"丁稚"をしているらしい。

「堀田さん、私は、堀田さんが言った丁稚をしています。下積み時代の無かった私にとって、この頃になって丁稚の大切さが判りました」

フォロワーシップとリーダーシップ。リーダーには、フォロワーシップ経験は必須である。

人の上に立つということは、人の下になった経験が必ず活かされる。人の上に立つということは、上の立場と下の立場の両方を理解できなければならない。

リーダーから「フォローありがとう」と言われたことがある人は、きっとその人も、部下に「フォローありがとう」と言えるような部下が集うであろう。

フォロワーシップ。

これは、もっと言えば、リーダーに目指すとか目指さざるとかに関係なく、人間社会で生きていくには、必須である。

フォロワーシップ力、この力は、その人の人間力を表わすのではとも思う。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年4月27日 05:03