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ビジネスについて  「活・喝・勝」


虚業と実業

家内や子供たちに、「お父さんの会社は何をしているの?」と聞かれた時に、単純明快な答えが出せない。あるいは、自社のサービスをたった一言で、ズバリと表現することができない。

最近、私は、現在の事業について、モヤモヤとした気持がある。私のやっている事業は、何なのかと自問自答する。社会にどう貢献し、社会に何を残しているのかを真剣に考えれば考えるほど、このモヤモヤとした気持が益々深くなる。

振り返ると、世界同時不況を引き起こしたのは、元々アメリカ発のサブプライム問題が発端であった。その後、金融危機が起き、さらには株価が暴落して行った。

その後、GEなど自動車会社が破たんの危機を向かえた。自動車産業の裾野の広さは、電機メーカも含めあらゆる産業、実体経済全体に影響を及ぼす結果となった。

金融危機が実体経済を飲みこんだ。

堅実な事業、実を伴う事業。具体的な価値を生み出す、実体のある事業を実業という。その経済活動が、実体経済である。

この対義語は、虚業である。

堅実でない事業、実を伴わない事業。具体的な価値を生み出すことのない、実体なき事業を虚業と言うと辞書にある。

皮肉な言い方をすれば、世界は、真面目な実業が不真面目な虚業に潰されたということだ。

だが、私は、金融が悪だということを言いたいのではなく、実業とは何なのか、追及したいところである。

どのようなサービスや商品が虚業で、どのような商売が実業だということを論ずるつもりはない。また、どこからが虚業で、どこからが実業だという線引きをすることも意味がない。

恐らく、どんな商売であろうと、大部分の会社は、虚業をしているつもりなどないであろう。

では、虚業が悪で、実業が善というのなら、何が実業と言えるのか、明確に答えることができるだろうか。

私は、家内や子供たちに、「お父さんの会社は何をしているの?」と聞かれた時に、単純明快な答えが出せないのと同様に、実業とはこれだと即答できないでいる。

そして、私は、自らの事業を振り返って、堅実な事業、実を伴う事業、具体的な価値を生み出す、実体のある事業を行っているかと問われ、これが私の実業だと自信を持てないでいる。

では、堅実な事業とは何か。

堅実とは真面目という意味か。決して不真面目なつもりはないが、何を持って堅実な事業と言えるのだろうか。

実を伴う事業とは何か。

実を伴わない事業など想像できなから、消去法で実を伴う事業と言えようが、実とは何か。利益か、それとも、目に見える形にすることか。

具体的な価値を生む出す事業とは何か。

実体のある事業とは何か。

どう答えれば良いのだろう。

堅実でない事業をしているつもりなどない。実を伴わない事業をしているつもりもない。だが、具体的な価値とは何で、実体のあるものとは何なのか、軽々に答える用意ができていない。もちろん、虚業などしているつもりは毛頭ないのだが、どうも実業という言葉に、モヤモヤとした気持を感じる。

このモヤモヤとした気持の一旦は、衣食住という人間の生活に密着した事業に直接関与していないことがあげられる。

あるいは、コマースという最終消費者との接点がないこともあげられる。

このような気持ちになったきっかけは、わが社で住宅のリフォーム事業を開始したことに起因する。また、ベトナムにおいて、不動産事業を開始したことも同様だ。

住に関わり、消費者に接することができる事業は、直接顧客の満足度を感じ取ることができる。高い安い、使いやすい、まずい、など顧客の声がサービスを向上させられるのだ。

「ありがとう」と言うことが聞こえた時、その充実感は忘れられないであろう。

だからと言って、衣食住や最終消費者との接点があるものを実業だなんて断じるつもりはない。

しかし、せめて、「お父さんの会社は何をしているの?」と聞かれた時に、単純明快な答えを出せるようにはしたい。それをすなわち実業だとは言えないが、その構成要素である堅実な事業で、実体のある事業であることは間違いないであろう。

そして、仮に、私が実業を定義するとすれば、「ありがとう」と声が聞こえる事業だとしたい。心から喜ばれ、感謝され、感動され、ありがたいと思われる事業でなければ、実のある事業とは言えない。

つまり、私の考える実とは、単に利益や形ではなく、「ありがとう」と言われることである。これが実だ。この実を伴う事業こそ、実業ではないだろうか。

思い起こせば、このブログを開始した5年前、私は『ありがとうと言われる仕事』の中で、「私は、ずっと「ありがとう」と言われる仕事をしたいとと思っておりました。」と書いている。あれから、5年が経ち、もう一度、「ありがとうと言われる仕事」を真剣に模索してみたい。

私は、これからもっともっと、このありがとうという実を追及できる事業を推進して行こうと思う。直接、社員の耳に「ありがとう」と言われることをわが社の基幹業務にして行きたい。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年5月21日 05:46