【堀田信弘の今日の語録】 『この会社は、きっと伸びるだろうな。他の会社と違うことができること自体に可能性を秘めているから。』


リーダーについて  「活・喝・勝」


器の大きい小さいは強硬と柔軟の使い方

『大胆かつ繊細という能力は、特段際立った能力でもなく、極普通の人が持っている能力である。

例えば、ある平凡な人が宝くじを当たったとしよう。大抵の人は、家か車を買うことを考え、直ぐに行動にでるだろう。昨日まで夢のような品物が、これを買うと決断した瞬間に買えるとなれば、普通の人は大胆な行動に出るはずだ。

また逆に、給料前日になると、普通の人は、明日の給料日を前に少しは贅沢を控えようと考えるだろう。給料日前日でもお金が有り余る人ならともかく、家計を任させている主婦などは、たった一日くらいは我慢しようという気持ちが起きるのが普通のはずだ。』

これは、『大胆かつ繊細』の中で書いた一文である。

私は、この中で、「大胆かつ繊細」という全く相反するこの二つの感覚を合わせ持つことは、経営者にとってとても重要なファクターであると述べた。

そして、普通の人も自然に持っている能力であるが、経営者に関して言えば、それだけでは足りない。

順調なときに大胆な判断は、誰にでもできる。お金があるときにお金を使うことは誰でもできるのだ。経営者は、お金が無くても、投資しなければならないし、お金があっても貯めなくてはならないときがある。

だから、順調な時に繊細な判断をし、慎重になるべき時に逆に大胆な行動をしなければならないのである。

経営者にとって、大胆と繊細とは、大胆な時に大胆に、繊細な時に繊細にすることではないのである。

それと同じことは、強硬と柔軟という相反することにも言える。

私は、強硬と柔軟という行動姿勢に対し、特に交渉において重要な考え方だと思っている。

交渉とは、押したり引いたりして、どれだけ自分が譲れて、どれだけ相手から譲歩が勝ち取れるかである。10対0で、相手を打ち負かし、リング上にノックダウンすることではない。

できればこちら側の譲歩は少ないほうが良い。そして、それに反して相手からの譲歩が多いに決まっている。

だが、交渉に勝つというのは、譲歩の割合が多い少ないだけでは言い表せない。どちらか一方の譲歩が多ければ、何れ他方は不満に感じることであろう。つまり、交渉とは、お互いの満足度であり、最も良い交渉とは、お互いの満足度が高いことである。

片方が、他方よりも満足度が高いということは、他方がその分低いということになる。それをバランス良く交渉できるかが鍵である。

単純な例で言えば、値引き交渉。

相手が500円で売りたいとすれば、こちらはいくらで買いたいかを示す必要がある。交渉下手は、本当に買いたい値段の400円と言う。すると、相手は、間を取って450円でいうことになる。交渉上手は、本当に買いたい値段よりも低い300円と言う。相手が間を取ってくるのを期待するからである。

間を取って、上手くいけば、お互いの交渉満足度は高い。

ところで、強硬と柔軟、大胆と繊細のように、簡単なものではない。

多くの場合、強硬と柔軟な行動姿勢は、同居することが困難である。言いかえれば、この二つが同居できなければ、リーダーではない。逆に言えば、リーダータイプの人ほど、この相反する強硬と柔軟な考え方を上手に使い分けることができる。

例えば、社員との交渉。

柔軟派の人は、交渉が決裂しないことを最優先するあまり、全てを柔軟に受け入れようとする。

一方、強硬派の人は、決裂することを前提に交渉するから、一歩も引かない。

何れの場合も、片方の能力しかなければ、どちらの結果も期待できない。

私は、社員が会社に要望を言ってきた時、まずは100%要望を受け入れることを考える。しかし、同時に私は経営者であり、単純にそれをそのまま取り入れれば、他への影響が全くないということは絶対にあり得ない。だから、私は、それを取り入れる際には、ほぼ同等の要求を考える。

そして、お互いに、一気に100%取り入れることの難しさを共有し、まずは50%づつ実施するところから順次充実させることを交渉のポイントとする。

これは社内の例だが、対外的には、もっと強硬と柔軟な二つの考え方を持つことは重要である。

そして、このことは、いつも意識していないと、必ず一方側の考え方に流れてしまうということである。リーダーは、強硬だけでなく、柔軟でなければならない。

そして、強硬に出る時にこそ柔軟に、逆に柔軟に対応するような場面でも、強硬に意思を貫くことも必要である。これを上手に使い分けられると、器が大きいと言われる。しかし、両方兼ね備えていても、全く逆に振る舞えば、器が小さいと言われる。

器の大きい、小さいとは、強硬と柔軟の使い方が最適かということである。

譲れないものは強硬に譲れない。しかし、譲れるものは大胆に思い切って柔軟に譲れば良い。どうせ譲らないなら一歩も引かず、どうせ譲るなのら百歩も譲れば良い。

最後まで読んで頂き、感謝申し上げます。

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投稿者 :堀田信弘: 2009年6月12日 05:58